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家・住宅購入コラム

住宅ローン控除の基本とその計算方法を徹底解説

「住宅ローン控除」という言葉は、マイホームの購入を検討している人なら一度は耳にしたことがあることでしょう。今回は、2022年から新しい制度になる住宅ローン控除を受けるための条件や計算方法、改正点、賢く使うためのポイントなどの詳細について紹介していきます。

住宅ローン控除とは

 

住宅ローン控除とは、正式名称が「住宅借入金等特別控除」と呼ばれる制度の通称です。
マイホームをローンを組んで購入した場合に、所得税から一定額が控除される制度のことをいいます。あまねく国民が住宅を取得できるように、住宅ローンを借りる際の国民の金利負担を減らす減税制度です。

それでは住宅ローン控除の概要と、最新制度の特徴について解説します。

住宅ローン控除(減税)の概要

「住宅ローン控除(減税)」とは、新築や中古のマイホームを購入する際や住居の改築・リフォームなどをする際に、条件を満たせば、一定期間、ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ、還付される制度です。

「<住宅ローン控除のイメージ>」

適用するための条件には、購入する住宅に関するものと借り受ける住宅ローンに関するものの2つがあります。住宅購入や住宅改修など、それぞれの場合について具体的な条件を示します。

控除を受けるためには確定申告が必要になります。所得税で控除しきれなかったぶんに関しては住民税から控除されます。

2022年4月以降の最新制度

「住宅ローン控除制度」は2022年以降、以下に解説するように改正されています。

変更点 現行制度 新制度
制度の適用期限 2021年末 2025年末
控除率 1.00% 0.70%
減税期間(新築) 原則10年間 原則13年間
減税期間(中古) 10年間 10年間
所得上限 3,000万円 2,000万円

 

<控除期間延長のイメージ>

2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した人の住宅ローン減税は、以下のようになります。

住宅ローンの返済期間が10年以上で、年末時点の残高に対して0.7%の所得税が減税されます。所得税から引き切れないときには、住民税から減税します。住民税から減税できる金額には上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までとなります。

● 住宅ローン残高:2,000万円、所得税:10万円 / 年の場合

→減税額:14万円

内訳)所得税から10万円、住民税から4万円

控除期間は13年間で、要件を満たせば13年間にわたって減税を受けることができます。

住宅ローン控除が受けられるのは?

(1)住宅ローンの返済期間が10年以上
新たに借り入れた住宅ローンの返済期間が、10年未満の場合には適用を受けることができません。

また、適用を受けている間でも、繰上返済などで、当初の契約の最初に返済した月から最終の返済月までの期間が10年未満になった時点で適用が受けることができなくなります。

(2)自ら居住
住宅ローン控除が設けられた趣旨から、減税を受ける人が居住することが条件です。投資用マンションや土地のみ購入する(家をしばらく建てない)場合には利用できません。

ただし、転勤などで一時的に本人が居住していなくても家族が住んでいる場合には適用を受けることができます。

(3)床面積50㎡以上
マンションの場合では、専有部分の床面積(登記簿上)で判断され、階段や通路などの共用部分は適用されません。

(4)居住用割合が2分の1以上
自営業などで自宅を事業に利用している場合では、その居住割合が2分の1を超えている必要があります。

(5)合計所得金額(*)2,000万円以下
合計所得金額が2,000万円以下の人に限り受けることができます。2,000万円を超えた場合は、その年は減税を受けられませんが、超えていない年は受けることができます。

なお、株式などの配当や売買益を特定口座を源泉徴収ありで申告不要にしている場合にはその所得は算入されません。

● 合計所得金額は、以下の合計額をいいます。
● 給与所得(給与所得控除後の金額)
● 不動産所得
● 譲渡所得
● 雑所得 など

住宅ローン控除を受けるための手続きは?

住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要で、入居年の翌年1月(還付のみの場合)から確定申告ができます。翌年以降は会社員なら年末調整により減税を受けることができ、以下を添付して会社に申告します。

● 銀行からの借入金の残高証明書
● 税務署から最初に申告をした年に交付される(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

所得税の減税分の還付は、確定申告年は確定申告後から1ケ月程度で銀行に直接振り込まれます。翌年以降の年末調整時は年末の給与と一緒に減税額が振り込まれます。住民税の減税分は、申告した年の6月以降にかかる住民税から減税されることになります。

住宅ローン控除(減税)の対象となる住宅は?

住宅ローン控除を受けるには、いずれの項目においても合計所得が2,000万円以下で、住宅ローンの返済期間が10年(一部5年間の緩和あり)という条件があります。さらに、新築か中古物件かなど項目によって適用条件がそれぞれ異なります。

新築の場合の適用条件

新築物件の場合は、次の条件をすべて満たさなければなりません。

☑新築または取得日から6ヶ月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること
※一般的に所有権移転登記の日(決済日)が多いのが実情です。
→自分で確認

☑住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
→源泉徴収で確認

☑住宅の床面積(延床面積:説明掲載)が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上が居住用であること
→自分で確認

☑住宅ローンの返済期間が10年以上あること
→年末残高証明書(10月〜11月銀行から送付されます。)で確認

☑居住した年とその年の前後2年間「(計5年間)」に、3,000万円長期譲渡所得の課税の特例等を受けていないこと

中古の場合の適用条件

中古物件は上記の新築物件の適用条件以外に下記の基準のいずれかを満たしていなければなりません。

☑住宅性能評価書(耐震等級1以上)を取得
→築25年以上の新耐震物件は管理会社に確認。築25年未満の物件は不要。

☑耐震基準適合証明書を取得
→決済(引き渡し)時に渡される証明書ですが、分からない場合は仲介会社に確認

☑既存住宅売買瑕疵保険に加入していること
→分からない場合は仲介会社に確認(※売主が加入している保険)

リフォームや増築の場合の適用要件

リフォームや増築の場合は上記の新築住宅の適用条件に加えて、下記の基準のいずれかを満たしていなければなりません。

☑マンションの専有部分の床、階段または壁の過半についておこなう一定の修繕・模様替えの工事

☑リビング、キッチン、浴室、などの修繕・模様替えの工事

☑耐震改修工事(現行の耐震基準への適合)

☑一定のバリアフリー改修工事

☑一定の省エネ改修工事
→すべて請負契約書と見積書で確認

これらのリフォーム工事費が100万円を超えていることも要求されます。

確定申告に必要な書類

 

確定申告に必要な書類一覧

住宅ローン控除(減税)が適用できることを確認した後に、確定申告の準備をします。
必要な書類は次のとおりです。

・確定申告書
サラリーマンは確定申告書A、個人事業主やフリーランスの場合は確定申告書Bの用紙を使用します。

・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
税務署または国税庁サイトからダウンロードできます。

・住宅ローン借入残高証明書
10月〜1月下旬までに借入先の金融機関から郵送されます。

・源泉徴収票
12月から翌年の1月31日までに勤務先から交付されます。

・土地建物の登記簿謄本
法務局または地方法務局で入手しましょう。

・売買契約書または建築請負契約書の写し
住宅購入の契約時等に不動産会社などから交付されますので、それをコピーして用意しておきましょう。

・マイナンバーが記載されている本人確認書類
「マイナンバーカード」と「住民票」が代表的です。「通知カード」の場合、運転免許証やパスポート等の本人確認書類のコピーもあわせて提出する必要があります。発行に少し時間がかかる場合もあるので、余裕を持って準備しておきましょう。

いつやるの?スケジュールの流れ

スケジュールは以下のような流れになります。

確定申告書類の提出方法は、下記のいずれかで行います。

1.税務署で申告する
2. 書類を郵送する
3.オンライン(e-Tax)で申告する

税務署の閉庁日(土日祝)や時間外でも、時間外収受箱に投函することにより提出が可能です。郵送の場合、通信日付印が提出日とみなされるので、日付が申告期限内を過ぎないよう注意が必要です。

まとめ

住宅ローン控除の減税額はこれまで拡大傾向でしたが、2022年には縮小されました。そのなかでも、最大限住宅ローン控除の適用を受けることができるよう、住宅購入時には環境性能を意識した家選びが肝要になります。

減税額が大きくなるメリットがあるのはもちろんですが、長持ちする品質の良い家、電気代
がかからない家を選ぶことになります。

「住宅ローン控除(減税)」を受けるためには、年末調整を受けるサラリーマンでも、初年度に確定申告を行う必要があります。

2年目以降は年末調整で住宅ローン控除(減税)の手続きを行えます。
※自営業やフリーランスの人は、2年目以降も確定申告をする必要があります。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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