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家・住宅購入コラム

【家を売りたいのに検査済証がない!】デメリットや対処法を解説

家の売却について不動産屋に相談すると、検査済証の有無について聞かれます。

検査済証とは、建物が建築基準法に適していることを証明する書類のことです。家を購入してから時間が経っていると、どこにあるかわからず焦ってしまうこともあります。

検査済証がない家は、さまざまなデメリットが生じるため注意が必要です。

この記事では、以下について解説しています。

・検査済証とは何か
・検査済証がないことで生じるデメリット
・検査済証の再発行や代用書類について
・検査済証がない家を売る方法

家の検査済証を失くしてしまった人や、家の売却を考えている人、家を購入する予定の人も必見です。

検査済証の基礎知識

まずは検査済証の基礎知識として、以下を解説します。

・検査済証とは何か
・記載されている内容
・いつ・どこでもらえるのか
・必要になる場面

検査済証とは何か

検査済証は、建物が建築基準法に適していることを証明する書類です。

以下の3点が完了すると交付してもらえます。

・建築確認
・中間検査
・完了検査

建築確認とは「これから建てる予定の建物が、建築基準法に適しているか」について確認する手続きのことです。建築確認が終わったら「確認済証」が交付され、工事を始められます。

中間検査とは、建物を建てている途中に「建築基準法に適した工事が行われているか」について検査することです。「中間検査合格証」を受けるまでは、次の工程に進めません。

完了検査とは、建物が完成したあとに「建築確認に沿って工事が行われたか」について検査することです。無事に完了検査が終わると、検査済証が交付されます。

検査済証の内容

検査済証には、以下のような内容が記載されています。

・検査済証の番号・交付日
・確認済証の番号・交付日
・建物の所在地・概要
・完了検査の日付

どれも重要な情報のため、大切に保管しなければなりません。

いつ・どこでもらえるのか

検査済証は、建物の引き渡し時に施工会社からもらえるケースが多いです。

完了検査の手続きは、一般的にハウスメーカーや工務店などの施工会社が代理で行います。そのため、検査済証は施工会社が受け取り、引き渡し日まで保管されます。

建物の引き渡し時には、さまざまな書類が渡されるため、検査済証をもらった覚えがないという人も少なくありません。

もらっていない可能性もある

そもそも検査済証をもらっていない可能性もあります。

とくに築年数が古い建物の場合、完了検査を受けておらず、検査済証が交付されていないケースが多いです。2000年より前に建てられた建物だと、半数以上が検査済証の交付を受けていません。

近年は、以下の出来事をきっかけとして、ほとんどの建物が検査済証の交付を受けるようになりました。

・違法建築物に対する取り締まりが強化された(2002年頃〜)
・検査済証がない建物は、住宅ローンの審査が通りづらくなった(2003年頃〜)

必要になる場面

検査済証は、主に以下のような場面で必要になります。

・住宅ローンを利用する
・リフォームを行う
・家を売却する

いずれも「建物が建築基準法に適していることを証明しなければならない場面」です。検査済証がない場合は、デメリットが生じます。

デメリットの詳細は、次の章で詳しく解説します。

検査済証がないデメリット

検査済証がないことで、以下のようなデメリットが生じます。

・住宅ローンの審査に通りづらくなる
・リフォームに制限がかかる
・家の売却が難しくなる

デメリットの背景について、それぞれ見ていきましょう。

住宅ローンの審査に通りづらくなる

検査済証がないと、住宅ローンの審査に通りづらくなります。

2003年、国土交通省は銀行などの金融機関に対して、検査済証がない建物には住宅ローンの融資を控えるように要請しました。目的は、建物における安全性の確保や、違反建築物への対策です。

国土交通省の要請により、現在でも住宅ローンを利用する際には検査済証の提出が求められます。検査済証がない場合は、住宅ローンの審査が通らない可能性が高いです。

リフォームに制限がかかる

家のリフォームに制限がかかることも、検査済証がないデメリットの1つです。

建物の構造に変更が生じるリフォームでは、検査済証を提出したうえで建築確認を申請する必要があります。もともと建っている建物が建築基準法に適していなければならないためです。

検査済証がない場合、建築確認が要らない軽微なリフォームしかできなくなってしまいます。

建築確認が必要なリフォームの例は、以下のとおりです。

・柱や階段の位置を変える
・増築により部屋を増やす、もしくは広くする
・屋根や外壁を張り替える
・間取りを大幅に変える
・車庫を設置する

家の売却が難しくなる

検査済証がないデメリットとして、家が売りづらくなることも挙げられます。

検査済証がない家は、以下の理由から買い手が付かないことが多いです。

・違法建築物の可能性がある
・住宅ローンを利用できない可能性がある
・大規模なリフォームができない可能性がある

家は非常に大きい買い物であるため、リスクはできるだけ避けたいものです。住宅ローンを利用できない場合、購入自体が難しくなる人も少なくありません。

検査済証がない家は、リフォームを前提に中古住宅の購入を考えている人の候補からも外れてしまいます。

検査済証の再発行や代用書類について

検査済証を失くしてしまった場合、再発行はできません。再発行してしまうと、同じ建物の検査済証がいくつも存在してしまう恐れがあるためです。

しかし検査済証がないままだと、多くのデメリットが生じてしまいます。デメリットを避けるために、検査済証を失くしてしまった場合は、検査済証の代わりになる書類を取得しましょう。

検査済証の代わりになる書類

検査済証の代わりになる書類は、以下の2点です。

・建築計画概要書の写し
・台帳記載事項証明書

また、完了検査を行っておらず検査済証が交付されていない家の場合は「建築基準法適合調査」を行う必要があります。

建築計画概要書の写し・台帳記載事項証明書・建築基準法適合調査について、次の章で詳しく解説します。

検査済証がない家を売る方法

検査済証がない家を売る方法は「家が建築基準法に適していること」を証明し、買い手を付きやすくすることです。

「家が建築基準法に適していること」を証明する方法としては、以下の3つが挙げられます。

・建築計画概要書の写しを発行する
・台帳記載事項証明書を発行する
・建築基準法適合調査を行う

また、不動産屋に直接買い取ってもらうのも、検査済証がない家を売る方法の1つです。

1つずつ見ていきましょう。

建築計画概要書の写しを発行する

建築計画概要書とは、家を建てる前の建築確認で提出する書類です。
以下のような情報が記載されています。

・確認済証の番号・交付日
・検査済証の番号・交付日
・施工者の氏名・住所
・敷地・建物・周辺道路の概要

建築計画概要書の写しは、市役所や区役所にある建築指導課の窓口で申請し、発行してもらうのが一般的です。家の買い手を探してくれる不動産屋に、検査済証の代わりとして建築計画概要書の写しを提出しましょう。

完了検査を行っておらず検査済証が交付されていない状態だと、建築計画概要書の写しは発行できません。

台帳記載事項証明書を発行する

台帳記載事項証明書とは、 検査済証の番号や交付日を証明する書類のことです。検査済証を失くしてしまった場合に、検査済証の代わりとして使えます。

台帳記載事項証明書は、市役所や区役所にある建築指導課の窓口で申請し、発行してもらうのが一般的です。

申請する際には以下のような情報が必要になります。

・建築確認年月日
・建築確認番号
・建築年月日
・建築当時の敷地の地名地番
・建物の構造

台帳記載事項証明書の申請方法や、申請に必要な情報は、自治体によって異なります。登記簿謄本に記載してある情報を調べなければならないケースもあるため、自治体のホームページから事前に確認しておきましょう。

完了検査を行っておらず検査済証が交付されていない状態だと、台帳記載事項証明書は発行できません。

建築基準法適合調査を行う

建築基準法適合調査とは、名前のとおり「建築基準法に適しているかどうか」の調査です。完了検査を行っておらず検査済証が交付されていない場合、建築基準法適合調査を行ってください。

建築基準法適合調査は、国土交通省が定めるガイドラインによって行われます。正式名称は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」です。

必要書類や流れについて、以下に解説していきます。

建築基準法適合調査の必要書類

建築基準法適合調査では、主に以下の書類を用意する必要があります。

・設計図書
・確認済証
・中間検査合格証
・工事監理報告書

増築などの大規模なリフォームを行った場合は、工事に関する資料も必要です。

設計図書とは、家の図面に仕様書を加えたものです。仕様書には、図面上ではわかりにくい施工方法や、使用した建材の内容などが書かれています。

確認済証は、建築確認の際に交付されるため、遅くとも家の引き渡し時には受け取っているはずです。確認済証がない場合は、建築士に依頼して復元図書を作成してもらう必要があります。

建築基準法適合調査の流れ

建築基準法適合調査の流れは、以下のとおりです。

①必要書類を揃える
②建築基準法適合調査を依頼する
③「図上調査」と「現地調査」を行う
④報告書を作成する

③と④は、指定確認検査機関によって行われます。

図上調査は「建物が建てられた時点で建築基準法に適していたかどうか」についての確認です。提出した設計図書などの書類から確認されます。

現地調査とは「設計図書と実際の建物に違いがないか」について、現地で確認することです。

報告書には、調査方法とともに「建築基準法に適しているか」について記載されています。不適合の調査結果が出た場合、今後の対応について特定行政庁に相談しなければなりません。

不動産屋に買い取ってもらう

不動産屋に買い取ってもらうのも、検査済証がない家を売る方法の1つです。

検査済証がない家や、違法建築物を積極的に買い取る不動産屋も存在します。必要なリフォームや手続きに関する専門知識があることによって、検査済証がない家や違法建築物でも正しく活用できるためです。

不動産屋に家を買い取ってもらう場合、買い手を見つける必要がありません。そのため、家を早く売りたい人にはオススメです。売りたい家の近くにある不動産屋を探し、相談してみてください。

ただ、不動産屋に買い取ってもらう場合、買い手を探すよりも売却価格が低くなる傾向にあります。複数の不動産屋に査定してもらい、比較することも大切です。

まとめ【検査済証は大切に保管しましょう】

検査済証とは、建物を建てたあとの完了検査で交付される書類のことです。建築基準法に適していることを証明する書類のため、失くしてしまうとデメリットが生じます。

検査済証を失くしてしまった場合、再発行はできないため、他の書類で「建築基準法に適していること」を証明しなければなりません。

築年数が古い建物の場合は、検査済証が交付されていない可能性もあります。その場合は、国土交通省が定めるガイドラインに沿って建築基準法適合調査を行ってください。

検査済証がなくても家は売却できますが、手間がかかります。売却金額よりも、売却の早さや手軽さを優先したい人は、不動産屋に買い取ってもらう方法もあります。

手元に検査済証がある人や、これから家を購入する予定の人は、検査済証を大切に保管する意識を持ちましょう。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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