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家・住宅購入コラム

建築確認済証とは?保管の意味や目的を分かりやすく解説!

建築確認済証という書類について知っているでしょうか。
建築物の建設時に必須の書類で、不動産売買するときにも契約時に用意する重要な書類ですが、具体的にはどんな書類なのでしょうか。

本稿では建築確認済証について、その書類の利用目的や取得手順、建築確認済証の予備知識について解説します。

これから注文建築などで建物建築を計画している人や、不動産取引を進めようとしている人にとって必要な知識なので、最後まで確認してみてください。

不動産売買や注文建築で耳にする建築確認済証とは?

建築確認済証は建物の建築だけではなく、不動産売買でも必要な書類です。
どのような書類で、どんなときに利用するのか、誰が発行するのかについて解説します。

建築確認済証とはどんな書類?

建築確認済証とは、建築物を建築するときの許可証で、発行されないと建築工事を着工できません。
取得するために建築確認申請が必要で、申請が完了すると建築確認済証が発行されます。

建築確認申請では、申請書と設計図面を添付し、どのような建物が建つのか、建物は建築基準法を遵守しているか、構造や工法に問題はないかをチェックします。

その結果、申請書や設計図面上の内容が建築基準法を遵守し、構造上も問題なければ建築の許可がおり、その証明書として建築確認済証が発行されます。

どんなときに建築確認済証と関わる?

建築確認済証は建築許可証なので、これから建築物を建てる施主にとって必要な書類で、建築前に申請して取得します。

新築建売住宅を購入したときにも、建物と一緒に建築確認済証を受け取り、中古住宅を購入した場合でも書類が保存してあれば建築確認済証を買主が受け取ることが一般的です。

不動産取引のケースを整理すると、建物を建てるために土地を購入する場合は買主、住宅を売却する場合には売主と買主が建築確認済証に関わります。

つまり、土地を売却する売主以外は建築確認済証が必要です。

建築確認済証は誰が発行するの?

建築確認済証は建築した地区を担当する建築主事や、国や都道府県から指定を受けた民間の企業や団体などの確認検査機関が発行します。

建築主事とは確認申請の審査や建築確認済証の発行、建築工事後の完了検査を担当する役職です。
政令指定都市ならば各市区の役所に、それ以外の市区町村ではそれぞれの行政判断で建築主事を置きます。建築主事が設置されていない市区町村では、都道府県が判断して建築主事を設置します。

建築主事の人数に対し、建築確認申請の数は膨大なため、実際の業務は資格を有した一級建築士が担当することが一般的です。

建築確認済証の利用目的とは?

建築した地区を担当する建築主事が発行する建築確認済証ですが、どのような利用目的があるのでしょうか。

一般的に使用される建築の許認可、完了検査、建築物の資料、住宅ローンなどの融資審査の4つの利用目的について解説します。

建築の許認可のために使用

建築確認済証は住宅の建築だけではなく、アパートやマンション、商業ビルや店舗など、一部の建築工事を除き、ほとんどの建築物の建築工事で必要です。

また、一定条件下における増改築や工作物を作るためにも取得しなければなりません。
工作物は以下が該当します。

・6メートルを超える煙突(ストーブは除く)
・15メートルを超える柱など(旗竿は除く)
・4メートルを超える広告塔等
・8メートルを超える高架水槽など
・2メートルを超える擁壁
・乗用エレベーター・エスカレーターで観光用のもの

関わりが薄いものが多いですが、2メートルを超える擁壁は住宅建築でも関わることがあります。
具体的には、これから建築物を建てる際に高さ2メートル以上の土留めを造作するときに確認済証を取得します。

完了検査を受けるために使用

完了検査とは、建築確認申請されて建築確認済証が発行されて建築された建物が、申請どおりに施工されたかどうかを検査することで、法律で義務付けられているものです。

検査の結果、建物が確認申請どおりに建てられていれば検査に合格、検査済証が発行されます。建築確認済証が発行されていなければ完了検査の申込みができないので、検査済証も発行されません。

建築確認済証と検査済証は一対になっている書類と言えるでしょう。

不動産売買時の建物資料として

建築確認済証と検査済証は建築基準法を遵守している建物であることを証明する書類なので、不動産取引の際にも必要です。

それらの書類がなければ引き渡される建物が建築基準法違反であると判断され、行政指導の対象になるケースもあり、トラブルの原因になりかねません。

また、建築確認済証や検査済証がなければ金融機関の融資も受けられないケースがあるので、スムーズに取引を進めるためにも必要な書類です。

万が一、書類そのものがなくてもこれらの書類が発行された証拠があれば取引上の問題はありませんが、建物の資料としてあったほうが良いでしょう。

住宅ローンなど融資を受けるため

建物を含んだ不動産売買で買主が住宅ローンなどの融資を利用する場合、その建物は建築基準法を遵守していることが必須条件ですが、その証明のためにも必要な書類です。

住宅ローンや不動産ローンでは建築基準法を遵守しているかの確認が行われ、そのために、融資の必要書類として建築確認済証や検査済証が求められます。

これらの書類がなく、建築基準法を遵守しているか証明できない場合、融資額が減額されたり、融資審査が通過しない可能性があり、不動産取引が成立する可能性が下がるでしょう。

建築確認済証の取得手順と取得後に必要な手続き

建築確認済証を取得するためには必要な手続きと、取得後にしなければならないことがありますが、どのような手順で進めたら良いのでしょうか。

注文住宅で一戸建てを建築するための建築確認済証の取得手順を例に解説します。

間取りを決定する

建築確認済証を取得するためには設計図面を作成する必要がありますが、そのためには間取りを決定します。

建築士資格を有した設計事務所と打ち合わせて間取りを決定することが一般的で、建築確認申請、建築確認済証の取得から完了検査、検査済証の取得までの一連の業務を依頼します。

間取りや外観の希望をここで伝えますが、建築基準法や構造上の制限を優先して考慮しつつ、希望の間取りに近づける打ち合わせを進めます。

注文住宅の建築では間取りがなければ見積り作成できないので、同時進行で建築会社と打ち合わせして、建築会社を選定します。

設計図面を作成する

間取りが決定し、建築会社も決まれば設計図面の作成を進めます。
建築確認申請では配置図、求積図、各階平面図、立面図、断面図、矩計図(かなばかりず)、壁量計算書やN値計算書、基礎伏図などが必要です。場合によっては構造計算書も必要です。

建築会社によって仕様や使う部材が異なるため、設計図面の作成前には建築会社を決定したほうが良いでしょう。これらの設計図面を作成するには2週間から3週間ほど、構造計算が必要ならば1ヶ月ほど期間がかかります。

図面が完成したら修正や間違いがないか確認し、問題がなければ建築確認申請を進めます。

建築確認申請し建築確認済証を発行してもらう

建築確認申請では建物が建築基準法にのっとって計画されているかを確認します。
具体的には道路との接道、建物の延焼や類焼の対策、建物の大きさ、採光や換気など住環境、落下防止など建物の危険箇所への対策、建物の耐久性、建物の構造などです。

これらの項目について問題が確認されれば、建築主事や確認検査機関から指摘されます。
問題が軽微ならば図面の修正、建物の建築に大きな影響を及ぼす内容ならば申請は却下され、計画を再考するように指導されます。

問題なく、建築基準法に適合しているのならば、建築確認済証が発行されます。
建築主事や確認検査機関の忙しさにもよって、1週間から2週間程度で建築確認済証が発行され、建築工事を着工できます。

完了検査を受けて検査済証を取得する

建物の規模や内容によっては中間検査が必要ですが、その検査も通過して建物が完成すれば建物の完了検査を受ける必要があります。
完了検査では建築確認申請された建物が、申請どおりに建築されていて、建物がちゃんと完成しているかを検査します。

建築物の平面図どおりに建物ができているかや、階段の寸法や開口部の位置を確認し、耐火および消化などの構造、電気ガス水道設備は取り付けてあり、排煙や消火設備などは正常に機能するかを検査します。

敷地に対する建物の位置や、道路と地盤面の高さなども検査項目です。
完了検査に合格すれば検査済証を受け取れて、建物を使用する許可を得ます。

もし、完了検査が不合格だった場合には、計画変更届を提出し、再度完了検査を受けなければなりません。建物が建築基準法の規定を満たしていない場合には、計画変更だけでは収まらないこともあります。

その場合は規定を満たすように建物を是正します。最悪のケースでは解体して建て直す事例もあるそうです。

覚えておきたい建築確認済証の予備知識

建築確認済証をなくしてしまった、相続した建物で建築確認済証が見つからない、確認済証はあるけれども検査済証がない等、さまざまなケースが想定されます。

実際にその状況になった場合にはどうしたら良いのでしょうか。

もし、なくしてしまったら?

建築確認済証や検査済証を紛失してしまった場合、再発行できません。
相続で取得した建物で、建築確認済証などが見つからない場合も同様で、再発行を依頼できるものではありません。

このとき、建築確認済証の代わりになるものとして「建築計画概要書」と「台帳記載事項証明書」があります。建築計画概要書とは建築確認申請と同時に提出する書類で、建築確認済証が発行されたら一般公開される書類です。

建築計画概要書を確認すれば建築確認済証と検査済証の番号、検査の履歴も載っているので、許認可や検査に合格したことを調査できます。台帳記載事項証明書も同様に、建築確認済証と検査済証のデータが載っている書類です。

これらがあれば建築確認済証や検査済証を紛失したとしても、建築基準法を遵守して建てられた建築物で、検査も完了した建物であることを証明できます。

ただし、各行政で保管されていることや、それぞれの書類を取得したことが前提です。

昭和◯◯年以前の書類は保管していないなど、行政によって対応が異なるので、建築計画概要書や記載事項証明書が必要な場合には、窓口に問い合わせてみましょう。

このときに、建物の登記簿謄本があれば手続きがスムーズになります。
登記簿謄本は法務局やインターネットで取得が可能です。

確認済証はあるけど検査済証がないのは大丈夫?

確認申請はして確認済証はあるけれども完了検査を受けていないために、検査済証がないということもあるでしょう。

実は国土交通省の調査で、平成11年以前では検査済証の交付を受けていない建物が半数以上あったと報告されています。築24年以上の建物の半数以上、検査済証がないと考えると相当な割合です。

多くの建物の検査済証がないから大丈夫ということはなく、不動産売却するときに売買しづらいと言えます。これを解決するためには検査済証に代わる「12条5項報告」を市区町村の役場に提出すれば適法な建物であることを証明できます。

12条5項報告とは、検査を受けていない、検査済証が発行されていない建物に対して、その状況報告を求める制度です。検査済証と同様に建築確認済証を交付されていない建物に関しても適用されます。

建築確認済証があればそれに添付されていた図面を添付、図面などの資料がなければ状況調査して図面化し資料を整えます。そして、建物が当時の図面どおり、または建築基準法に違反していない建物であることがわかったのならば12条5項報告を提出します。その後は役所の審査を経て、合格すれば報告書の副本が返却されるので、それを検査済証として利用しましょう。

この作業は設計事務所や建築士に相談し、依頼することが一般的です。

まとめ

建築確認済証は建築工事の着工許可証であり、建築基準法を遵守している建築計画を進めていることの証明でもあります。ほとんどの建物や一定規模の工作物を建築するためには必要な書類です。

建築確認済証が発行されれば建築工事が始まり、中間検査や完了検査を経て、申請どおりに建物が建築されていれば、建物の使用許可である検査済証が発行されます。

建築確認済証や検査済証は建築だけでなく、不動産売買や住宅ローンなど金融機関の融資を受けるときにも必要になる書類です。

万が一、紛失した場合でも建築計画概要書や台帳記載事項証明書を取得することで代わりにできますが、とても大事な書類なので紛失しないように大切に保管しましょう。

橋本 敏明

所属会社:
株式会社 大成
所属会社のWEBSITE:
http://zen0801key.wix.com/taisei
保有資格:
ファイナンシャルプランニング技能士 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー 生損保販売員資格

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