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家・住宅購入コラム

住宅購入に欠かせない近隣調査とは?調査すべきことなどを解説!

住宅購入をするときには、不動産会社が法的なことを調査してくれます。

これは宅地建物取引業法に則って説明する重要事項説明書に記載をしないといけないためです。

しかし、周辺環境に関しては事細かに記載する必要がなく、近隣に工場があるため臭いや振動があるかもしれないというような抽象的な記載方法をします。

現地を確認して記載していれば良いのですが、中には現地も確認せずに住宅地図だけを見て記載しているケースもあります。

そのため、どの程度の臭いや振動があるのかまでは分からないケースがあります。

 

本記事では、住宅購入するにあたって大切となる近隣調査について解説します。

近隣調査は不動産会社だけでなく、自身でも行ったほうが良いことのため、この記事を参考に住宅購入前には近隣調査を行うことをおすすめします。

 

近隣調査とは

 

近隣調査とは、不動産売買するにあたって売買物件周辺で起こった出来事や現在起きている出来事を調査することです。

 

近隣調査は現地調査とも呼ばれ、購入する不動産の周辺に住んでいる人に聞き込みをしたりします。

市町村役場などで行う調査は法的な調査であり、近隣調査とは異なります。

 

近隣調査では何を調査するの?

 

近隣調査では多くの項目を調査します。

ここからは近隣調査で調査しなければならない項目を紹介していきます。

 

過去の浸水被害実績について

 

現在はどの自治体もハザードマップを備え付けており、以前よりは浸水実績について調査することが簡単になりました。

しかし、ハザードマップには落とし穴もあり、比較的新しい浸水実績しか掲載されていなかったり、浸水実績は地元の有志の人の報告を基に記載しており報告漏れがあると浸水したという実績が残らなかったりすることがあります。

そのため、過去の浸水実績については必ず近隣の人に確認するべき項目になります。

 

また、確認するときにはどの程度、浸水したかも確認しなければなりません。

土地を購入して住宅を建築する場合、浸水の度合により建物基礎を上げるなどの対策を講じなければならないからです。

建物基礎を上げる場合には、設計段階から行っておく必要があり、不動産売買契約よりだいぶ大分前に浸水実績を知っておかなければなりません。

 

振動や騒音について

 

近隣に工場がある、交通量が激しい道路があるなどの場合も、どの程度の振動や騒音があるのか近隣の人に確認する必要があります。

 

工場や道路に関しては、時間帯や平日なのか祝日なのかにより大きく振動、騒音の度合いが変わることがあるため、うるさいのはいつごろなのかも確認しましょう。

購入する不動産を見に行く日が土日祝しかない場合は、大体静かな状況になってしまいます。

静かな状況が毎日続くのか近隣に確認しておかないと、平日はうるさかったというケースが出てきてしまいます。

 

また、工場や道路だけではなく、祭りの会場となる場所が近い場合も要注意です。

普段は静かな場所でも、年に数日だけはかなりの騒音になってしまう地域もあります。

音や揺れが発生しそうな状況はどのような状況か考えたうえで、近隣の人に音や騒音のことを確認するのがよいでしょう。

 

臭いについて

 

近隣に川や湖・池、農業施設、工場などがある場合には臭気について確認する必要があります。

臭気も騒音や振動と同じく、時期により臭いがするのかしないのか変わるケースがあります。

 

夏場は川や湖からの臭いがしたり、朝晩は畑などで物を燃やす人が出てくることもあります。

そのため、時期や時間帯で臭気が発生しないか確認することが重要です。

 

近隣でトラブルを起こすような人はいないか

 

近隣トラブルを起こすような人がいないかも近隣調査で確認する項目です。

ただ、近隣トラブルを起こす人のことは近所の人も話してくれないことが多いため、聞き方に注意しながら確認しなければなりません。

 

いきなり「近隣トラブルを起こす人はいませんか」などと重大なことを単刀直入に話してしまうと拒絶されることが多くなるため、最初は「子どもがいるので通学路を知りたい」など話しやすい内容から話し始めると良いでしょう。

 

境界線の確認

 

近隣ではなく、隣地との話になりますが境界線の確認を行っておきます。

購入する土地や一戸建ての周辺に境界標がすべて埋まっていてもまだ安心はできません。

 

売買する土地の所有者が境界標を勝手に埋めたなどと主張する隣地の人もいるためです。

境界標の位置を確認するときには、土地家屋調査士などの専門家と一緒に同行し、土地の所有者と隣地所有者と土地家屋調査士の3名で境界標を確認するのがベストです。

 

境界標については売主に境界標の設置義務があるため、境界標の確認は売主に行ってもらうことになります。

売主が確認した結果を買主が聞くという形になりまです。

 

町内の行事や神事について

 

売買する不動産の町内で行事や神事を行っていないか確認します。

地域によっては草刈りなどの行事があり、行事に不参加の場合は費用を徴収される場合や、神事のために年1回1万円を超える寄付が必要になる場合があります。

 

不動産会社も行事や神事などについて調査するとは思いますが、調査が抜け落ちやすい項目のため、購入者も念のため確認します。

行事参加や神事参加は人付き合いに対する影響度が高いため、必ず調査を行いましょう。

 

電波障害について

 

売買する不動産の地域によっては、アンテナでテレビが映らないということがあります。

電波障害は近隣で影響度が大きく変わり、2軒隣までは影響がないのに、隣戸から影響しているということもあります。

電波障害になっていた場合は、ケーブルを引いてテレビを映すなどの対策が必要となってきます。

 

また、電波障害は大規模建築物などの建設で発生することが多く、電波障害を生じさせるような大規模建築物を建築した施主がケーブルテレビ費用を負担してくれることもあります。

そのため、近隣で電波障害について確認し、電波障害があることがわかった場合、費用負担はどのようになっているかまで突っ込んだ話ができると良いでしょう。

 

ゴミ置き場について

 

ゴミ置き場についても近隣の人に確認します。

不動産から一番近いゴミ置き場が、実際に利用できるゴミ置き場ではないケースもあります。

そのため、購入した不動産からゴミ出しする場合、どのゴミ置き場にゴミを置くのか確認しなければなりません。

 

通学路について

 

家族に子どもがいる場合には、通学路も確認しておく必要があります。

地域によっては大通りを渡る必要があったり、危険な場所を通る可能性もあります。

このことを知っておくだけでも、子どもに用心するように伝えたりすることができます。

 

主要施設までに要する時間

 

不動産の広告表示では徒歩の場合、80mを1分として計算します(小数点以下は切り上げ)。

しかし、信号などを考慮すると80mで1分進むためには、かなりの速度で歩く必要があります。

そのため、通常の歩くスピードだと不動産の広告表示で記載されている時間では、現地に到着しないことがあります。

 

土地の使用状況

 

購入する不動産が過去どのような使い方をされていたかを近隣に確認します。

売主は自分の都合の良い言い方をするときがあるため、近隣の人に確認したほうが確実です。

 

例えば、現在は貸駐車場として利用しているが、過去は田んぼだったという場合、地盤の強さに気を付けないといけない不動産かもしれません。

また、ずっと畑として利用しているが土地の一部にゴミを埋めていたなどの情報を得ることができるかもしれません。

 

過去に利用していた用途が分かるだけでも対策を講じることができるため、購入する不動産の過去の利用履歴を知っておくことは大切なことです。

 

治安について

 

治安の良し悪しは分かりづらいため、近隣の人に聞くのが良い方法です。

治安は場所によって大きく変わるため、どの周辺が治安が良いのか、悪いのかを具体的に聞くと良いでしょう。

「治安は良いですか?」と投げかけるだけだと大半の近隣の人は、この周辺は治安は良いですよと返答するだけの調査になってしまいます。

 

「駅周辺はどうですか?」「大通り周辺はどうですか??」など詰問にならない程度に場所を限定して聞くことができると、相手も回答しやすくなります。

 

誰に確認すれば良いの?

 

近隣調査をする場合には近隣はもちろんのこと、近隣以外にも話を聞いておいたほうが良い人がいます。

ここからはどのような人に近隣調査を行えば良いのかを紹介していきます。

 

近隣調査で聞く範囲

 

近隣調査で聞く範囲は人や物件により異なるかもしれませんが、購入する不動産のまわり12軒くらいには話を聞いたほうが良いでしょう。

 

隣だけでは不十分で、もう少し離れた範囲の人にも聞き取り調査をします。

しかし、あまりにも離れすぎていると有用な情報が聞けなくなるため、聞き取りをする数が多ければ良いということではありません。

 

町内会長や自治会長などの役職者

 

町内会長や自治会長などの役職者には必ず会っておきましょう。

役職者は町内の行事に詳しく、どのような行事があるのか、役回りはどのようにして回って来るのかなどを確認することができます。

そのため、役職者へは近隣調査だけではなく、引っ越しの挨拶などでも訪問したほうが良いでしょう。

 

商売をしている人

 

地元向けに商売している人は昔からその地域に住んでいることが多く、また商売をしている関係上多くの情報を持っていることがあります。

そのため、昔から商売をしているような人が購入する不動産の近くにいる場合には、商売をしている人に聞き取り調査をします。

 

古い家屋に住んでいる人

 

古い家屋に住んでいる人は商売をしている人同様、昔からその地域に住んでいることが多い傾向があります。

そのため、かなり昔のことまで聞くことができる可能性があります。

 

購入する不動産の所有者

 

購入する不動産の所有者も近隣調査の聞き取り対象者です。

不動産を所有している人は、近隣のことについて知っていることが多いはずです。

 

ただ、売主に聞く場合は細心の注意を払いながら話すようにしましょう。

変な聞き方をすると、売主を怒らせてしまうこともあります。

売主との関係をこじらせてしまうと不動産売買自体が進まなくなる可能性が出るため、不動産会社の担当の人を介して確認するほうが良いかもしれません。

 

近隣調査は細かく行っても100%の不動産を追い求めないほうが良い

 

近隣調査を行うときは、どうしても譲れない項目と我慢する項目を分けておいたほうが無難です。

不動産には100%希望を満たすようなものはなく、100%に近づくほど金額が高くなってしまいます。

すべてを満たすような不動産を手に入れることは非常に難しいことになります。

 

住んでみないと分からないこともあるため、ある程度のことは我慢するという前提のほうが結果住みやすいと感じるはずです。

すべてが自分の思いどお通りにできるとは思わないほうが良いのが不動産です。

 

まとめ

 

不動産を購入するときには、不動産会社だけではなく買主自身も近隣調査をしておくのが良いでしょう。

不動産会社が近隣調査をすると近隣が警戒したり、売主に配慮してあまり突っ込んだ話をしないことがあるためです。

 

近隣調査で確認すべきことは多くありますが、できる限り多くの項目を確認し、住んでから後悔するということは無くしていくべきです。

 

近隣調査で確認しなければいけない事項は、次のとおりです。

 

・過去の浸水被害

・騒音や振動

・臭い

・近隣でトラブルを起こすような人はいないか

・境界線の確認

・町内の行事や神事

・電波障害

・ゴミ置き場

・通学路

・主要施設までに要する時間

・土地の利用状況

・治安

 

これらの項目を不動産の売主、近隣住民、町内会長などの役職者、商売をしている人、昔から住んでいる人に対して聞き取り調査をします。

聞き取り調査するときには話し方に注意し、相手方に嫌な印象を与えないよう注意しましょう。

聞き取り調査のせいで近隣トラブルになっては意味がありません。

 

近隣調査をした結果、何か問題があるとしてもある程度のことなら気にしないようにしなければなりません。

あまりに完璧を追及すると不動産を購入することができなくなります。

完璧を求めるより近隣の人と仲良くなるほうが、良い結果を生むのではないでしょうか。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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