住宅リフォームの費用相場・補助金制度を解説!
住宅リフォームを検討する際に、以下のような不安を抱く人は少なくありません。
「費用がどのくらいかかるのかわからない」
「リフォーム業者を調べてみたが、どこに依頼するか悩む」
さらに子供の進学などのライフイベントと、リフォームが必要なタイミングが重なってしまうと、家計への負担が大きくなってしまいます。リフォーム費用を安く抑える方法や相場を知り、余計な費用をかけないことが大切です。
この記事では、住宅のリフォームについて以下を解説します。
・住宅のリフォームにかかる費用
・補助金・助成金制度
・リフォーム業者選びのポイント
・リフォームで注意すべきポイント
マイホームを快適な空間に保つためにも、知識を付けて適切なリフォームを行いましょう。
住宅のリフォームにかかる費用
住宅リフォーム推進協議会が実施した「2022年度 住宅リフォーム消費者実態調査」では、一戸建て住宅のリフォーム費用について以下のような結果が出ました。
・リフォーム検討時に考えていた予算の平均額:300.6万円
・実際にかかったリフォーム費用の平均額:471.6万円
実際にかかった費用が予算を上回るケースが多いようです。理由としては、検討時よりも設備のグレードを上げたことや、リフォームする箇所が増えたことなどが挙げられます。
住宅のリフォームにかかる費用は、工事の規模や箇所、リフォーム業者によって大きく異なります。
「どのようなリフォームに、どのくらいの費用がかかるのか」について、増築・改築・改修の場合に分けて紹介します。
増築・改築・改修は、すべてリフォームの一種です。
それぞれの詳細も含め、費用相場を詳しく見ていきましょう。
増築の場合
増築とは、住宅の床面積を増やすリフォームのことです。
平屋を2階建てにすることも、増築といいます。
増築における費用相場は、以下のとおりです。
増築する箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 100万円〜400万円 |
浴室 | 70万円〜250万円 |
トイレ | 70万円〜200万円 |
廊下 | 50万円〜200万円 |
居室(1畳あたり) | 30万円〜60万円 |
バルコニー(1畳あたり) | 30万円〜50万円 |
増築では、以下のような項目によって費用が大きく変わります。
・住宅の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)
・増築面積
・壁や床のデザイン
・窓や収納の大きさ
キッチンや浴室などの水回りは、配管を考慮する必要があるため、費用が高くなりやすいです。
また居室を増築する場合、1階よりも2階に増築するほうが費用が高くなります。2階に居室を増築する場合の費用は、1畳あたり50万円〜100万円ほどが目安です。
改築の場合
改築とは、住宅の一部を壊して間取りなどを作り変えるリフォームのことです。
増築のように床面積が増えることはありません。
改築における費用相場は、以下のとおりです。
改築する箇所 | 費用相場 |
---|---|
LDK(リビング + ダイニング + キッチン) | 50万円〜150万円 |
DK(ダイニング + キッチン) | 30万円〜90万円 |
居室 | 20万円〜80万円 |
廊下 | 10万円〜30万円 |
LDKやDKの改築でキッチンを取り替える場合、新たに取り入れるキッチンのグレードによって費用が大きく変わります。また、床暖房を導入する場合は費用が高くなりやすいです。
改修の場合
改修とは、増築や改築よりも軽いリフォームのことです。
床面積を増やしたり、住宅の一部を壊したりはせず、設備の交換や修理のみを行います。
改修における相場は以下のとおりです。
改修する箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 50万円〜150万円 |
浴室 | 80万円〜140万円 |
外壁 | 60万円〜150万円 |
屋根 | 50万円〜200万円 |
床 | 20万円〜80万円 |
玄関 | 20万円〜50万円 |
トイレ | 10万円〜40万円 |
洗面台 | 10万円〜40万円 |
壁 | 10万円〜40万円 |
リフォーム費用が安くなる補助金・助成金制度
補助金・助成金制度を活用することで、リフォーム費用を安く抑えることができます。
この章では、以下の補助金・助成金制度について紹介します。
・長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
・こどもエコすまい支援事業(国土交通省)
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業(環境省)
・各自治体の補助金・助成金制度
なお、補助金・助成金制度の内容については、2023年5月時点での情報です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、住宅の性能を上げたり、子育てしやすい生活環境に整えたりするためのリフォームを支援する制度です。国土交通省による制度で、最大100万円の補助金が支給されます。
補助金を受けるためには、リフォーム工事前に「インスペクション」を行わなければなりません。
インスペクションとは「住宅診断」のことで、検査員によって住宅の劣化状況などが調べられます。さらに「維持保全計画」や「住宅履歴情報」の作成も必要です。
リフォーム工事後には、以下の項目において基準を満たす必要があります。
・耐震性能
・劣化対策
・省エネルギー性能
より詳しい内容については、国土交通省のホームページを確認してください。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は「ZEH基準」を満たす新築住宅に対して、補助金が支給される制度です。
主に若い夫婦の世帯や、子育て世帯を対象としています。ZEHとは、省エネルギー性能が高く、太陽光発電などでエネルギーを創り出せる住宅のことです。
リフォームの場合、以下の工事が補助金支給の対象となります。
・外壁・屋根・天井・床・開口部における断熱改修工事
・エコ住宅設備の設置工事
防災性能を上げるための改修やバリアフリー改修など、上記の工事と同時に行うことで補助金を受けられる工事もあります。
補助金の上限は原則として30万円ですが、夫婦や子供の年齢によっては上限が引き上げられるため、国土交通省のホームページで詳細を見ておきましょう。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、環境省による制度です。省エネルギー性能を上げる建材を使用した断熱リフォームに対して、補助金が支給されます。
一戸建て住宅の場合、以下のような条件を満たすことで最大120万円の補助金を受けられます。
・省エネルギー効果が15%以上見込まれるリフォームを行う
・外壁や天井、床などにグレードの高い断熱材を入れる
・高性能の窓やガラスを使う
使用する製品には指定があるため、注意が必要です。
詳しい内容は「公益財団法人北海道環境財団 補助事業部」のホームページで確認できます。
各自治体の補助金・助成金制度
国ではなく、各自治体が実施している補助金・助成金制度もあります。
東京都が実施している制度の例は、以下のとおりです。
「自然エネルギー機器等導入費助成制度(中央区)」
→太陽光発電システムや蓄電システムを設置するリフォームに対して補助金を支給
「高齢者等住宅修築資金助成事業(文京区)」
→高齢者のためのバリアフリー改修工事に対して補助金を支給
「屋上緑化・壁面緑化助成制度(大田区)」
→屋上や壁の緑化工事(ヒートアイランド対策)に対して補助金を支給
自身の住宅が受けられる制度について、各自治体のホームページで調べておきましょう。
住宅リフォーム推進協議会が運営する「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」からも確認できます。
リフォーム業者選びのポイント
リフォームを依頼する業者を選ぶ際には、複数の業者に相談して比較しましょう。
リフォームの希望条件が固まったら、ネットで「〇〇市 リフォーム業者」のように検索し、近くのリフォーム業者を調べます。いくつかの業者をピックアップし、希望条件を基に相談してください。
リフォーム業者を比較する際のポイントは、以下のとおりです。
・施工技術
・価格
・担当者の対応
1つずつ詳しく解説していきます。
施工技術
リフォーム業者の施工技術は、実績や事例を参考にしましょう。ホームページや担当者からの説明、口コミなどを見るとイメージが湧きやすいです。
また、業者ごとに得意なリフォームが異なります。希望するリフォームと、業者の得意なリフォームが大きく異なる場合、妥協しなければならない点が出てきてしまう可能性があります。
技術力と施工内容を確認し、希望を叶えてくれそうな業者を選んでください。
価格
「予算内でリフォームを行えるかどうか」も、重要なポイントです。
同じような工事でも、リフォーム業者によって価格が異なります。
希望する工事がオプション扱いになってしまう場合、予算オーバーになる可能性があるため、注意が必要です。
希望条件を基に見積もりを出してもらい、予算と比較しましょう。わからない項目があれば、納得できるまで質問してください。具体的な見積もりを出してもらうためには、希望条件を明確にしておくことも大切です。
担当者の対応
リフォームでは、担当者とイメージを共有する必要があります。そのため、安心して任せられる担当者がいるリフォーム業者を選ぶことが大切です。
以下のようなポイントから、担当者の対応をよく見ておきましょう。
・過不足ないリフォームを提案してくれるか
・質問に対して誠実に答えてくれるか
・連絡のスピードに不安はないか
住宅のリフォームで注意すべきポイント
住宅をリフォームする際には、いくつか注意すべきポイントがあります。
この章では、以下の4つについて解説します。
・スケジュール
・諸費用
・確定申告
・困りごとやトラブルが起こった場合
リフォーム業者と契約する前に、注意すべきポイントについて知っておくことが大切です。
スケジュール
リフォームのなかには、着工から完成まで半年ほどかかる工事もあります。リフォーム業者との打ち合わせ期間も考えると、余裕を持たせたスケジュールを組むことが大切です。
またリフォームの規模が大きい場合、仮住まいに引っ越さなければならない可能性もあります。工事期間や引っ越しの有無を把握し、ライフプランとあわせて早めにリフォームの計画を立てましょう。
諸費用
リフォームには、工事費以外にも以下のような諸費用がかかります。
・建築確認申請費用
・登記費用
・耐震診断費用
・印紙代
・仮住まいの家賃・引っ越し費用
リフォームを行う箇所や規模によって、諸費用の項目や金額が変わります。予算オーバーにならないよう、見積もりの段階で諸費用の金額も確認しましょう。
確定申告
リフォームの内容によっては、確定申告を行うことで「住宅ローン控除」を受けることができます。
住宅ローン控除とは、住宅の購入時に住宅ローンを利用した場合、所得税から一定額が控除される制度のことです。一定の条件を満たせば、リフォームの際にも適用されます。
リフォームを実施した際には、住宅ローン控除の対象になるのか確認しておきましょう。サラリーマンの場合も、初年度は確定申告が必要です。
住宅ローン控除の詳しい内容については「住宅ローン控除の基本とその計算方法を徹底解説」を参考にしてください。
困りごとやトラブルが起こった場合
リフォームに関する困りごとやトラブルが起こった場合は、1人で抱え込まず「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」に相談しましょう。住宅リフォーム・紛争処理支援センターには、国土交通大臣指定の相談窓口があります。
電話での相談が可能で、相談員として一級建築士も在籍しています。
内容によっては、弁護士や建築士に対面で相談することも可能です。
また、リフォームの見積もりをチェックしてくれるサービスもあります。
リフォーム業者に直接聞きづらいことなども相談できる心強い存在です。
まとめ
住宅のリフォームには多くの費用がかかります。リフォーム検討時の予算よりも、実際にかかった費用のほうが高くついたという人も少なくありません。
補助金・助成金制度を活用すると、リフォーム費用を安く抑えられます。リフォームの内容によっては、住宅ローン控除による減税も可能です。
またリフォーム業者は、担当者との相性が良く、予算内で適切なリフォームを行ってくれるところを選んでください。
業者との打ち合わせや工事にかかる期間は、想定よりも長くなってしまうことがあります。ライフプランと照らし合わせて、余裕のあるスケジュールを組みましょう。
リフォームに関する困りごとやトラブルは1人で抱え込まず、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談してください。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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