Column

家・住宅購入コラム

住宅ローンの返済額は優遇金利で決まる!重要なポイントを解説

住宅ローンを検討する際に、はじめて「優遇金利」という言葉を知る人は少なくありません。

優遇金利は、返済額にかかる金利の割引率です。
金利の割引が大きいほど返済額が安くなるため、ローンを選ぶ際の検討材料になります。

この記事では、以下4つのポイントを解説します。

・そもそも優遇金利とは何か
・優遇金利の種類
・金融機関ごとの具体的な優遇金利
・優遇金利で押さえるべきポイント

それぞれの家庭に適した返済計画を立てるために、知識を付けておきましょう。

優遇金利とは

優遇金利とは「金利がどれほど割引されるのか」を表す利率のことです。
優遇金利が大きいほど、返済額が安くなります。

また、優遇金利とあわせて覚えておきたいのが「基準金利」と「適用金利」です。
それぞれについて、以下に解説します。

基準金利

基準金利とは、各金融機関によって定められた「金利における定価」のようなものです。
「店頭金利」や「店頭表示金利」と表記されることもあります。

基準金利は市場の金利を基に定められており、定期的に見直されます。
定期的に見直される理由は、市場の金利が物価や景気などによって変動するためです。

適用金利

適用金利とは、基準金利から優遇金利を引いた金利のことです。
たとえば基準金利が3%で、優遇金利が1%の場合、適用金利は以下のように計算します。

【 3%(基準金利) – 1%(優遇金利) = 2%(適用金利 )】

ローンにかかる実際の金利は、定価から割引されたあとの適用金利を参考にしましょう。

優遇金利の種類

優遇金利には、以下2つの種類があります。

・当初期間優遇
・全期間一律優遇

それぞれのメリット・デメリットや、どんな人に向いているのかなど、詳しく見ていきましょう。

当初期間優遇

当初期間優遇では、ローンの借り入れから数年間の金利が優遇されます。
優遇期間は、3年〜10年ほどが一般的です。

メリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット

当初期間優遇のメリットは、住宅ローンの返済が始まったときの負担が軽くなる点です。

養育費や学費など、多くの費用がかかる時期にローンの返済が加わると、家計が苦しくなってしまいます。当初期間優遇を選択することで、返済初期の負担が軽くなるため、家計のバランスを保つことができます。そのため当初期間優遇が向いている人は、住宅の購入時に出費が重なってしまう人です。

返済初期の負担が軽くなることで家計に余裕が生まれ、将来的に繰り上げ返済でローンの完済を早められるケースもあります。

デメリット

当初期間優遇のデメリットは、優遇金利の適用期間が終わったあとに返済額が増えてしまう点です。
適用期間が短いほど、返済額が増えるタイミングも早まります。

子供が産まれたタイミングで、優遇適用期間が10年の住宅ローンを借り入れた場合を考えてみましょう。適用期間が終わり返済額が増える頃には、子供はまだ10歳の小学生です。大学まで進学する場合は、これから先10年以上も学費がかかることになります。

返済の負担が軽いうちに、適用期間終了後に向けた資金計画を考えておくことが大切です。さらに当初期間優遇は、全期間一律優遇よりも総返済額が高くつく可能性があるため、よく検討しましょう。

全期間一律優遇

全期間一律優遇では、住宅ローンの返済が始まってから完済するまで、優遇される金利が変わりません。「通期優遇」と表記されることもあります。

メリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット

全期間一律優遇は、優遇される金利が完済まで変わらないため、以下のメリットがあります。

・返済計画が立てやすい
・変動金利の場合、金利上昇の備えになる
・当初期間優遇よりも総返済額が安い傾向にある

メリットが多い反面、以下のデメリットに注意してください。

デメリット

全期間一律優遇のデメリットは、返済初期の優遇金利が低くなる点です。
優遇金利が低いと、月々の返済額が高くなってしまいます。

全期間一律優遇は、住宅の購入から数年間の出費を考えたうえで検討することが大切です。
返済初期の家計に余裕がある人は、全期間一律優遇が向いています。

金融機関ごとの具体的な優遇金利

この章では、金融機関ごとの具体的な優遇金利を紹介します。
住宅ローンの借り入れでよく検討される6社を取り上げました。

▼金融機関ごとの目安

金融機関名 優遇金利
三菱UFJ銀行 2.00%〜3.60%
SBI新生銀行 0.90%〜1.13%
三井住友銀行 0.10%〜2.65%
りそな銀行 2.055%〜2.255%
横浜銀行 2.06%
千葉銀行 0.33%〜3.25%

 
ほかの金利を含めた具体的な利率など、それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお情報は、2023年5月時点で各金融機関のホームページに記載されているものです。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行の各金利は、以下のとおりです。

優遇金利の種類 優遇適用期間 基準金利 優遇金利 適用金利
全期間一律優遇
(変動金利)
2.475% 2.00% 0.475%
当初期間優遇
(固定金利)
3年 3.30% 2.60% 0.70%
10年 3.53% 2.65% 0.88%
20年 5.29% 3.60% 1.69%

 
金利が優遇される期間を過ぎても、基準金利から一定の利率がマイナスされます。

SBI新生銀行

SBI新生銀行の各金利は、以下のとおりです。

優遇金利の種類 優遇適用期間 基準金利 優遇金利 適用金利
全期間一律優遇
(変動金利)
1.55% ① 1.13%
② 0.90%
① 0.42%
② 0.65%
当初期間優遇
(固定金利)
1年 1.90% 1.00% 0.90%
3年 1.80% 0.80%
5年 1.85% 0.85%
7年 1.95% 0.95%
10年 2.10% 1.10%
15年 2.35% 1.35%
20年 2.50% 1.50%

 
全期間一律優遇は2種類あり、表では①②と記載しています。
2つの違いは、事務取扱手数料の金額です。

・①の事務手数料 = 融資額 × 2.2%
・②の事務手数料 = 110,000円

また融資額が住宅の購入価格の90%以内であれば、さらに金利が優遇されます。
「融資額が住宅の購入価格の90%以内」の具体例は、以下のとおりです。

購入価格 融資額
3,000万円 2,700万円以内
5,000万円 4,500万円以内
8,000万円 7,200万円以内

 

三井住友銀行

三井住友銀行は、全期間一律優遇のプランが豊富です。

▼全期間一律優遇

金利タイプ 固定金利の期間 基準金利 優遇金利 適用金利
変動金利 2.475% 1.75%〜2.00% 0.475%~0.725%
固定金利
(一定期間固定)
2年 3.15% 1.15%~1.40%
3年 3.45% 1.45%〜1.70%
5年
10年 3.59% 1.59%~1.84%
固定金利
(全期間固定)
10年超〜15年 2.63% 0.10%〜1.00% 1.63%~2.53%
15年超〜20年 2.68% 1.68%~2.58%
20年超〜35年 2.81% 1.81%~2.71%

 
固定金利(全期間固定)の場合は、表に記載している「固定金利の期間」がそのまま返済期間になります。

▼当初期間優遇

金利タイプ 優遇適用期間 基準金利 優遇金利 適用金利
固定金利 10年 3.59% 2.65% 0.94%

 

りそな銀行

りそな銀行の各金利は、以下のとおりです。

▼全期間一律優遇

金利タイプ 固定金利の期間 基準金利 優遇金利 適用金利
変動金利 2.475% 2.105% 0.37%
固定金利 2年 3.15% 1.045%
3年 3.16% 1.055%
5年 3.35% 1.245%
7年 3.54% 1.435%
10年 3.65% 1.545%
15年 4.30% 2.195%
20年 4.80% 2.695%

 

▼当初期間優遇

金利タイプ 固定金利の期間 基準金利 優遇金利 適用金利
固定金利 2年 3.15% 2.055% 1.095%
3年 3.16% 1.105%
5年 3.35% 1.295%
7年 3.54% 1.485%
10年 3.65% 2.255% 1.395%
15年 4.30% 2.055% 2.245%
20年 4.80% 2.745%

 
固定金利の期間が終了したあとの優遇は、最大1.555%です。

横浜銀行

横浜銀行の優遇金利は、当初期間優遇しかありません。
当初期間優遇における各金利は、以下のとおりです。

金利タイプ 固定金利の期間 基準金利 優遇金利 適用金利
変動金利 2.475% 2.06% 0.415%
固定金利 3年 2.90% 0.84%
5年 3.05% 0.99%
10年 3.35% 1.29%

 
横浜銀行の給与振込を利用しているなど、一定の条件を満たす場合は、優遇金利が0.03%上乗せされます。

千葉銀行

千葉銀行の各金利は、以下のとおりです。

優遇金利の種類 固定金利の期間 基準金利 優遇金利 適用金利
全期間一律優遇
(変動金利)
2.475% 1.85% 0.625%
全期間一律優遇
(一定期間固定金利)
2年 3.12% 1.85% 1.27%
3年 3.32% 2.05%
5年 3.82% 2.25% 1.57%
7年 4.03% 1.78%
10年 3.66% 1.41%
15年 5.11% 2.75% 2.36%
20年 5.63% 3.25% 2.38%
全期間一律優遇
(全期間固定金利)
21年〜25年 2.56% 0.33% 2.23%
26年〜30年 2.72% 2.39%
31年〜35年 2.82% 2.49%
当初期間優遇
(固定金利)
15年 5.11% 2.75% 2.36%
20年 5.63% 3.25% 2.38%

 

優遇金利で押さえるべきポイント

優遇金利には押さえるべきポイントがあります。

この章では、以下の3つについて解説します。

・優遇金利は人によって変わる
・金融機関を比較する
・優遇金利が決まるタイミングに注意する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

優遇金利は人によって変わる

優遇金利の利率は、人によって変わります。金融機関のホームページには、優遇が最も大きい場合の金利が記載されていることが多いため、気をつけてください。

優遇金利の利率は、審査結果に左右されます。
審査で見られるのは、以下のような項目です。

・勤務先
・勤続年数
・年収に対する年間の返済額の割合
・住宅の購入価格に対する融資額の割合
・ほかのローンの借り入れ状況

融資額が住宅の購入価格の90%以下である場合、優遇金利の利率が大きくなる傾向にあります。
また大企業に長く勤めていたり、年収に対する年間の返済額の割合が小さかったりすると、優遇されやすいです。

返済能力が高い人ほど、金融機関は安心して融資できます。
そのため以下のような対策をして、返済能力の高さをアピールしましょう。

・年収に対して無理のない返済計画を立てる
・頭金を多く用意する
・審査の前に滞納している支払いを清算する

金融機関を比較する

金融機関によって以下の項目が大きく異なるため、複数社を比較することが大切です。

・優遇金利の利率
・金利の優遇期間
・借り入れプラン
・審査内容

複数の金融機関にライフプランや家計の状況を伝えたうえで、返済のシミュレーションをしてもらいましょう。

優遇金利が決まるタイミングに注意する

優遇金利の利率は、融資が実行されるタイミングで確定します。
そのため、ローンの申込時から利率が変わってしまうケースがあります。

想定よりも優遇金利の利率が低くなり、返済額が高くなってしまうことも頭に入れたうえで、ローンを組みましょう。返済計画に余裕を持たせておくことが大切です。

まとめ【家庭に適した返済計画が大切】

住宅ローンは、優遇金利が大きいほど返済の負担が減ります。

優遇金利の利率を決める主な要素は、審査結果や融資時期です。
金融機関ごとに基準が異なるため、複数の会社を比較したうえで検討してください。

優遇金利には「当初期間優遇」と「全期間一律優遇」があり、優遇される期間や利率が異なります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、家庭に適したほうを選ぶことが大切です。

この記事で解説した「優遇金利で押さえるべきポイント」も参考にして、余裕を持たせた返済計画を立てましょう。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

営業電は0!住宅購入のプロに相談しよう

×

ページの一番上へ