家の増築にかかる費用はいくら?相場や流れ、安く抑える方法も解説!
家を購入したあとに、子供や同居する家族が増えた場合、家の増築を考える人は少なくありません。しかし住宅ローンや子供の学費などを考えると、増築にかかる費用が気になるところです。
この記事では、家の増築について以下のポイントを解説します。
・メリットとデメリット
・費用はいくらかかるのか
・費用を安く抑える方法
・工事の流れ
・注意点
より良い生活を実現するために、知識を付けたうえで増築を検討しましょう。
増築とは?【メリット・デメリット】
はじめに、増築の基礎知識として以下を解説します。
・増築の定義
・改築との違い
・メリット・デメリット
メリットだけでなくデメリットも知っておくことが大切です。
増築の定義
増築とは、すでに建っている建物を壊さずに、床面積を増やすことです。土地の中に別の建物を建てることや、平屋を2階建てにすることも増築といいます。
また、増築と同じような意味として使われるのが「改築」です。改築は、すでに建っている建物の一部を壊して、床面積を変えずに間取りなどを作り変えます。
増築と改築の違いは、以下の2点です。
・すでに建っている建物を壊すかどうか
・床面積が増えるかどうか
すでに建っている建物を壊すことも、床面積を増やすこともなく、設備の交換や修理を行う場合は「改修」といいます。
増築や改築、改修はすべてリフォームの一種です。
増築のメリット
増築のメリットは、以下の4つです。
・家の中のスペースが広がる
・部屋数が増える
・仮住まいに引っ越す必要がない
・建て替えに比べて費用が安く済む
増築における最大のメリットとして、今よりも広い部屋にしたり、部屋の数を増やせることが挙げられます。
建物を取り壊さないため、仮住まいに引っ越す必要もありません。増築の工事中でも、普段の生活を続けることが可能です。
また、解体費用や仮住まいの費用がかからないため、建て替えよりも費用を安く抑えられます。
増築のデメリット
増築には、以下のようなデメリットもあります。
・もともと建っていた部分と増築した部分で、見た目や耐震性に差が出ることがある
・接合部の強度が低い可能性がある
増築する際に、もともと建っていた建物に使われている材料と、同じものを用意できるとは限りません。
異なる材料を使って増築すると、元の建物と増築した部分で、見た目や耐震性に差が出てしまう可能性があります。経年劣化が見られる古い建物の場合は、同じ材料を使って増築しても、増築部分の新しさが目立ってしまうことも多いです。
また、元の建物と増築した部分の繋ぎ目は、強度が低くなる傾向にあります。強度が低いことによって考えられる被害は、以下のとおりです。
・地震が起きた際にヒビが入る
・大雨や台風の際に雨漏りしやすくなる
増築によるデメリットを避けるためには、リフォーム会社選びも重要になります。
増築にはいくらかかる?
増築にかかる費用の相場について、増築する場所や広さごとに解説していきます。工事費用以外の諸費用もかかるため、詳しく見ていきましょう。
場所ごとの費用相場
増築する場所ごとの費用相場は、以下のとおりです。
増築する場所 | 費用の相場 |
---|---|
バルコニー(1畳あたり) | 30万円〜50万円 |
洋室・和室(1畳あたり) | 30万円〜60万円 |
廊下 | 50万円〜200万円 |
トイレ | 70万円〜200万円 |
浴室 | 70万円〜250万円 |
キッチン | 100万円〜400万円 |
増築にかかる費用は、以下のポイントによって大きく変わるため、相場の幅が大きくなっています。
・増築した部分に取り入れる設備のグレード
・建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)
キッチンや浴室などの水回りにおける増築は、水の流れを考えて配管を工事する必要があるため、他の場所に比べて費用が高いです。
また、平屋に2階を増築する場合、1畳あたり50万円〜100万円ほどかかります。
2階の増築は、屋根を壊したり建物の強度を補強したりと、工事が大規模になりやすいです。そのため、1階の増築に比べて、費用が高い傾向にあります。
広さごとの費用相場
建物の1階に部屋を増築する場合、広さごとの費用相場は以下のとおりです。
増築する部屋の広さ | 費用の相場 |
---|---|
4畳 | 150万円〜250万円 |
6畳 | 180万円〜300万円 |
10畳 | 220万円〜450万円 |
増築する面積が広くなるほど、費用は高くなります。壁や床のデザイン、窓や収納の大きさによっても費用が変わります。
建物の2階に部屋を増築する場合、1階よりも費用が高いです。6畳の部屋を2階に増築する場合、400万円〜550万円ほどの費用がかかります。
増築にかかる諸費用
増築の際には、以下の項目において諸費用がかかります。
・建築確認申請
・建物表題変更登記
・固定資産税
それぞれ詳しく解説していきます。
建築確認申請
建築確認申請とは、建物が建築基準法や条例に適しているかについて、指定確認検査機関に確認してもらう手続きのことです。
建築確認申請は、一般的に10万円〜30万円ほどかかります。
建物表題変更登記
建物表題変更登記とは、増築などによって登記簿の情報に変更が生じた際に必要な手続きのことです。
専門家である土地家屋調査士に依頼すると、10万円ほどの費用がかかります。
固定資産税
固定資産税とは、土地や建物などの固定資産を所有している人が支払う税金です。増築によって建物の床面積が増えることで、固定資産税も高くなります。
固定資産税の金額は「固定資産の評価額 × 1.4%」の式で計算されます。
増築費用を安く抑える方法
増築費用を安く抑える方法としては、以下の3つが挙げられます。
・補助金制度を利用する
・減税制度を利用する
・リフォーム会社の見積もりを比較する
1つずつ詳しく見ていきましょう。
補助金制度を利用する
国や自治体による補助金制度を利用することで、増築費用を安く抑えられる可能性があります。
たとえば「こどもエコすまい支援事業」は、国土交通省による補助金事業です。子育て世帯や若い夫婦の世帯が、一定の条件を満たしたリフォームを行う場合、補助金が出ます。補助金が出る条件は、省エネやバリアフリーなど、さまざまな観点から定められています。
補助金制度や利用条件については、国土交通省のホームページや、自治体のホームページから確認してください。
減税制度を利用する
減税制度である「リフォーム促進税制」を利用することで、所得税の控除や、固定資産税の減額を受けられる可能性があります。
所得税の控除によって、増築にかかった費用の一部が返ってくることがあります。増築の内容次第では、所得税の控除と固定資産税の減額を併用することも可能です。
リフォーム促進税制は、耐震や省エネなど、建物の性能を向上させるためのリフォームに適用されます。
詳細や最新情報などは、国土交通省のホームページから確認してください。
リフォーム会社の見積もりを比較する
複数のリフォーム会社に見積もりを出してもらい、安いところを選ぶ方法もあります。
増築を希望する場所や内容を事前にまとめたうえで、見積もりを出してもらいましょう。リフォーム会社によって、工事内容ごとの価格設定が異なるため、比較することが大切です。
複数のリフォーム会社に出してもらった見積もりを使って、費用の交渉もできます。
増築工事の流れ
建物の増築工事における一般的な流れは、以下のとおりです。
①増築する場所や内容を決める
②リフォーム会社を選ぶ
③建築確認申請を行う
④増築工事を始める
⑤完了検査を受ける
⑥建物表題変更登記を行う
それぞれ、どのような手続きを行うのか詳しく解説していきます。
増築する場所や内容を決める
まずは「どこをどのように増築するのか」について決めましょう。
ライフプランを考えたうえで、以下について家族で話し合うことが大切です。
・現状の不満
・増築の目的
・増築する場所
・必要な広さ
あわせて予算も考えておくと、リフォーム会社への相談がスムーズになります。
リフォーム会社を選ぶ
増築における希望条件が決まったら、工事を依頼するリフォーム会社を選びます。
希望条件を伝えたうえで、以下のポイントを確認しましょう。
・増築にかかる費用
・実績
・増築のプラン
・アフターサービスの内容や期間
・担当者との相性
焦らずに複数のリフォーム会社を比較することが大切です。
建築確認申請を行う
リフォーム会社が決まったら、建築確認申請を行います。
建築確認申請とは、建物が建築基準法や条例に適しているかについて、指定確認検査機関に確認してもらうことです。
以下の条件に当てはまる場合、建築確認申請が必要になります。
・増築する部分の面積が10㎡を超える場合
・増築面積が10㎡以下でも、建物が「防火地域」もしくは「準防火地域」に建っている場合
建築確認申請には、書類の作成や専門知識が必要なため、リフォーム会社にお願いするのが一般的です。
建築確認申請には1週間〜2週間ほどかかります。無事に建築確認申請が終わると、建築確認済証が交付されます。
増築工事を始める
建築確認済証が交付されたら、増築工事を始められます。もし工事の途中で工事内容などに変更があれば、新たに建築確認申請が必要です。
自治体によっては、工事の途中で「中間検査」が入ることもあります。
中間検査とは、建築基準法に適した工事が行われているか検査することです。工事が完了した後は見えなくなってしまうような場所を主に検査します。
増築工事にかかる期間は、増築する範囲や内容によって異なりますが、長くて3ヶ月ほどです。
完了検査を受ける
増築の工事が完了すると、完了検査が行われます。
完了検査とは「建築確認申請の内容どおりに増築工事が行われたかどうか」を、指定確認検査機関が確認することです。
無事に完了検査が終わると、検査済証が交付されます。
建物表題変更登記を行う
建物を増築してから1ヶ月以内に、建物表題変更登記を行う必要があります。建物表題変更登記とは、建物の構造や床面積などに変更が生じた際に必要な手続きです。
増築を行うと床面積が増えるため、建物表題変更登記によって登記簿に記載してある建物の情報を変更しなければなりません。
建物表題変更登記は一般的に、以下のような書類を法務局に提出して申請します。
・建築確認済証
・検査済証
・住民票
・固定資産税評価証明書
増築する際の注意点
建物を増築する際には、以下の4点について注意する必要があります。
・建ぺい率
・容積率
・高さ制限
・既存不適格建築物
建築基準法が絡むため難しく感じるかもしれませんが、1つずつ理解していきましょう。
建ぺい率・容積率
建ぺい率、もしくは容積率の上限を超えるような増築はできません。この2つは建築基準法によって定められており、市役所や区役所で確認できます。
建ぺい率が定めているのは「土地の面積に対して、建てられる建物の面積」です。建ぺい率が50%の地域だと、100㎡の土地には50㎡までの建物が建てられます。
容積率が定めているのは「土地の面積に対して、建てられる建物の延べ床面積」です。容積率が200%の地域だと、100㎡の土地には、延べ床面積が200㎡までの建物が建てられます。延べ床面積は、すべての階の床面積を合計したものです。
建ぺい率と容積率によって、土地に建てられる建物のサイズが決まります。
高さ制限
地域によっては建物の高さに制限があるため、上に増築する場合は注意が必要です。決められた高さを超える増築はできません。
さらに建築基準法には「北側斜線制限」や「道路斜線制限」という定めもあります。
この2つは、隣の家や道路における日当たりや風通しを確保するための法律です。建物の高さだけでなく、屋根の傾きにも制限がかかります。
既存不適格建築物
増築したい建物が「既存不適格建築物」に当てはまる場合、増築が複雑になります。
既存不適格建築物とは、建てた時点では建築基準法に適していたが、法改正によって不適格になってしまった建物のことです。
既存不適格建築物を増築する場合、不適格になっている部分を最新の建築基準法に適合させる工事を行う必要があります。増築する箇所によっては、例外として不適格のままでも増築できるため、リフォーム会社や自治体に確認してください。
まとめ
増築には、ライフスタイルに合わせて家を広くできるというメリットがあります。一方で、見た目や強度においてデメリットもあるため、工事内容やリフォーム会社をよく検討することが大切です。
増築にかかる費用は、増築する範囲や階数、取り付ける設備などで大きく変わります。補助金や減税制度を利用できれば、費用を安く抑えられるため、確認しておきましょう。
また、家が建っている地域によっては、増築が出来ない可能性もあります。土地や家の現状、増築の希望条件を基に、リフォーム会社に相談してください。
ブログ:
皆の笑顔に我が笑顔あり
徳本 友一郎
- 所属会社:
- 株式会社スタイルシステム
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.style-system.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
- 著書:
- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
おすすめ記事
-
23.06.28家を建てる・家づくり
-
23.06.28家を建てる・家づくり
-
23.05.11家を建てる・家づくり
-
23.05.07家を建てる・家づくり
-
23.05.05家を建てる・家づくり
-
23.05.02家を建てる・家づくり