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家・住宅購入コラム

住宅購入にかかる諸費用をシミュレーション!安く抑える方法も解説

住宅を購入する際にかかる諸費用の目安は、住宅の購入費用の5%〜10%です。4,000万円の住宅を購入する場合、諸費用だけで200万円〜400万円ほどかかります。

予算オーバーにならないためには「どんな諸費用がいくらかかるのか」を把握しておくことが大切です。

この記事では、住宅購入にかかる諸費用の解説や、シミュレーションを行います。諸費用を安く抑える工夫も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

住宅購入にかかる諸費用のシミュレーション

住宅購入にかかる諸費用について、以下の4パターンに分けてシミュレーションしていきます。

・新築の一戸建て
・中古の一戸建て
・新築のマンション
・中古のマンション

なお、シミュレーションで想定している条件は、以下のとおりです。

・2023年3月時点での軽減措置を反映
・住宅ローンは住宅の購入金額と同じ額を借り入れる
・市街化区域に建つ住宅を購入
・中古住宅は平成9年4月1日以降に建てられたもの

一戸建て

4,000万円の一戸建てを購入する場合、諸費用の目安は以下のとおりです。

諸費用 新築 中古
仲介手数料 138.6万円
住宅ローン関係の費用 102万円 102万円
印紙代 1万円 1万円
登録免許税 7.6万円 11.2万円
固定資産税 16.8万円 33.6万円
都市計画税 7.2万円 7.2万円
不動産取得税 36万円 36万円
司法書士への報酬 8万円 8万円
地鎮祭・上棟式 20万円
修繕積立基金
引っ越し業者代 13万円 13万円
合計 211.6万円 350.6万円

上記の合計金額に、購入予定の家具家電にかかる費用もプラスされます。また建売住宅の場合は、新築でも地鎮祭や上棟式の費用はかかりません。

マンション

4,000万円のマンションを購入する場合、諸費用の目安は以下のとおりです。

諸費用 新築 中古
仲介手数料 138.6万円
住宅ローン関係の費用 98.6万円 98.6万円
印紙代 1万円 1万円
登録免許税 7.6万円 11.2万円
固定資産税 16.8万円 33.6万円
都市計画税 7.2万円 7.2万円
不動産取得税 36万円 36万円
司法書士への報酬 8万円 8万円
地鎮祭・上棟式
修繕積立基金 50万円
引っ越し業者代 13万円 13万円
合計 238.2万円 347.2万円

上記の合計金額に、購入予定の家具家電にかかる費用がプラスされます。

住宅購入にかかる諸費用

前章のシミュレーションを見ると、住宅の購入には数百万円の諸費用がかかることが分かります。一つ一つの諸費用について、いつ・誰に支払うのか、相場や計算式もあわせて見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、購入する住宅を探してくれたお礼として、不動産会社に支払います。

仲介手数料は成功報酬のため、支払うタイミングは売買契約が成立したときです。売買契約時と、住宅の引き渡し時で、仲介手数料を半分ずつ支払うケースもあります。

仲介手数料の計算式は、以下のとおりです。

( 住宅の価格 × 3% + 6万円 ) + 消費税

たとえば、消費税が10%で3,000万円の住宅を購入した際の仲介手数料は、以下のように計算します。

( 3,000万円 × 0.03 + 6万円 ) × 1.1 = 105.6万円

住宅ローン関係の費用

住宅ローンに関係する諸費用は、以下のとおりです。

・保証料
・事務手数料
・事務代行手数料
・火災保険料

1つずつ解説していきます。

保証料

住宅ローンの保証料は、保証会社を利用する際に必要な費用です。住宅ローンが融資されるタイミングで、金融機関を通して保証会社に支払います。融資は、住宅の引き渡し時に行われることが多いです。

保証会社は、債務者のローン返済が滞った際に、金融機関に対してローンの残金を立て替えます。金融機関は、リスクに備えるために保証会社の利用を必須としているところが多いです。

保証料の相場は、住宅ローンの融資額の2%です。

住宅ローンの保証料については、以下の記事で詳しく解説しています。
住宅ローンの保証料はいくらかかる?相場やオトクな支払い方法を解説!

事務手数料

事務手数料は、住宅ローンが融資されるタイミングで金融機関に対して支払うものです。

住宅ローンにおける事務手数料の相場は、以下の2パターンがあります。

・定率型:融資額 × 2.2%
・定額型:3万円〜10万円

定率型の場合は、事務手数料の中に保証料が含まれているケースが多いです。

事務代行手数料

事務代行手数料は、住宅ローンの審査に関する手続きを代行してくれた不動産会社に支払うものです。一般的に売買契約が成立したタイミングで支払います。

不動産会社に手続きの代行を依頼すると、必要書類を集めて金融機関に提出する手間が省けます。

住宅ローンにおける事務代行手数料の相場は、10万円ほどです。

火災保険料

住宅ローンの融資にあたって、火災保険への加入を必須にしている金融機関は多いです。保険料を支払い火災保険に加入することで、洪水などの自然災害や火災で住宅に被害が出た際に、保険会社から保険金を受けられます。

住宅の引き渡し日から保証が開始されるように、売買契約時もしくは引き渡し日の2週間ほど前に加入するのが一般的です。

火災保険料の相場は、以下のとおりです。

・一戸建て:3万円〜5万円
・マンション:5,000円〜8,000円

火災保険は基本的に、地震を原因とする火災などの被害は補償してくれません。
地震による被害に備える場合、地震保険もセットになっている火災保険に加入する必要があります。

地震保険が付いている場合、保険料の相場は以下のとおりです。

・一戸建て:5万円〜10万円
・マンション:1万円〜2万円

印紙代

印紙代は、売買契約や住宅ローンの契約書に貼る収入印紙にかかる費用です。収入印紙は、印紙税を納付するために貼ります。印紙税は、売買契約や住宅ローン契約の際にかかる税金で、契約書に貼った収入印紙が消印されることで納税できる仕組みです。

印紙税額は、契約金額によって異なります。

契約金額 印紙税額
500万円超〜1,000万円 1万円
1,000万円超〜5,000万円 2万円
5,000万円超〜1億円 6万円

売買契約における契約書では、印紙税の軽減措置があります。

軽減措置が適用された場合の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額 印紙税額
500万円超〜1,000万円 5,000円
1,000万円超〜5,000万円 1万円
5,000万円超〜1億円 3万円

印紙税の軽減措置は、平成26年4月1日〜令和6年3月31日までに作成された契約書が対象になります。

登録免許税

登録免許税は、以下3つの登記手続きにかかる税金です。

・所有権の移転登記
・所有権の保存登記
・抵当権の設定登記

それぞれ詳しく見ていきましょう。

所有権の移転登記

所有権の移転登記とは、すでに登記簿上に載っている所有者を自分に変更する手続きのことです。
住宅が引き渡されたあとに、引き渡しに立ち会った司法書士が代理で手続きを行います。

所有権の移転登記における登録免許税の計算式は、以下のとおりです。

住宅の固定資産税評価額 × 税率

固定資産税評価額とは、不動産の価値のことです。
税率は2.0%ですが、令和6年3月31日までは0.3%に軽減されます。

住宅における固定資産税評価額の目安は、再建築価格の50%〜70%ほどです。同じ建物を建築する際に予想される費用や、劣化の具合によって決まります。

所有権の保存登記

所有権の保存登記は、新築住宅を購入した際に、所有者が自分であることを証明するために行う手続きです。住宅が引き渡されたあとに、引き渡しに立ち会った司法書士が代理で手続きを行います。

所有権の保存登記における登録免許税の計算式は、以下のとおりです。

住宅の固定資産税評価額 × 税率

税率は0.4%ですが、令和6年3月31日までは0.15%に軽減されます。

抵当権の設定登記

住宅ローンを利用する際には、住宅に抵当権が設定されるため、抵当権の設定登記が必要です。抵当権の設定登記にも登録免許税がかかります。

以下の契約を金融機関と結んだあとに、司法書士が代理で手続きを行うのが一般的です。

・住宅ローンの契約
・抵当権設定の契約

抵当権の設定登記における登録免許税の計算式は、以下のとおりです。

住宅ローンの融資額 × 税率

税率は0.4%ですが、令和6年3月31日までは0.1%に軽減されます。

固定資産税

固定資産税は、1月1日時点で不動産を所有している人が支払う税金です。住宅を購入した翌年から支払いが発生します。

中古住宅の場合、売主がその年の固定資産税をすでに支払っている可能性が高いです。売主が払いすぎた固定資産税は、引き渡し時に売主に支払うのが一般的です。

固定資産税の金額は、以下の式で計算します。

住宅の固定資産税評価額 × 1.4%

新築住宅の場合、令和6年3月31日までは固定資産税が半額になります。固定資産税が半額になる期間は、一戸建てで3年間、マンションで5年間です。

都市計画税

都市計画税は、固定資産税と同じタイミングで支払う税金です。市街化区域にある建物を所有している場合のみ、支払う必要があります。

市街化区域とは、すでに市街地として栄えている地域や、これから開発によって市街地にしていく地域のことです。

都市計画税の金額は、以下の式で計算します。

住宅の固定資産税評価額 × 0.3%

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際に一度だけ支払う税金です。不動産を取得してから半年〜1年後に都道府県から届く納税通知書を使い、支払います。

不動産取得税の計算式は、以下のとおりです。

住宅の固定資産税評価額 × 4%

令和6年3月31日までは軽減措置があるため、以下の式になります。

( 住宅の固定資産税評価額 – 一定の金額 ) × 3%

一定の金額は、平成9年4月1日以降に建てられた中古住宅もしくは、新築住宅の場合は1,200万円です。平成9年4月1日より前に建てられた中古住宅は、築年が古くなるほど引かれる金額が小さくなります。

司法書士への報酬

住宅購入をサポートしてくれた司法書士に対しての報酬も必要です。司法書士は、登記手続きの代行や、住宅の引き渡し時に行う清算をサポートしてくれます。

司法書士への報酬は、依頼していた業務がすべて完了したあとに支払うのが一般的です。報酬額の相場は、5万円〜10万円ほどです。

地鎮祭・上棟式にかかる費用

注文住宅の場合、地鎮祭や上棟式を行うことがあります。

地鎮祭とは、工事が無事に終わるように、土地の神様にお祈りする儀式のことです。土地に住宅を建てる前に行います。

地鎮祭では、神主へのお礼やお供物などに費用がかかり、相場は5万円〜10万円ほどです。費用は地鎮祭を行うときに支払います。

上棟式とは、住宅の柱や屋根の基礎部分が完成した際に行う儀式のことです。基礎部分が完成したことをお祝いし、残りの工事や完成後の家の安全をお祈りします。

上棟式を行う際には、神主や大工に対するご祝儀が必要になり、相場は10万円〜15万円ほどです。

修繕積立基金

修繕積立基金は、新築マンションを購入する際に支払う費用です。10年〜15年後に予定しているマンションの大規模修繕に充てられます。

修繕積立基金の相場は20万円〜80万円ほどで、住宅の引き渡し時に支払うのが一般的です。マンションの立地や規模、部屋の大きさによって金額が変わるため、相場に幅があります。

引っ越し業者・家具家電の購入にかかる費用

引っ越し業者の利用や、家具家電の購入にも費用がかかります。

ファミリー世帯が引っ越し業者を利用する際の費用相場は、10万円〜15万円ほどです。距離や時期、荷物の量などによって金額が大きく変わります。

引っ越しを機に家具や家電を買い換える場合、購入を予定しているものを書き出し、具体的な費用を計算しましょう。現在の家にあるものを引き続き使う場合でも、カーテンやエアコン、照明器具などの購入が必要になるケースがあります。

住宅購入にかかる諸費用を安く抑える工夫

住宅購入にかかる諸費用を安く抑える工夫を紹介します。

・住宅ローンを比較する
・火災保険を自分で選ぶ
・住宅ローンの審査手続きを自分で行う
・3月以外に引っ越す

住宅ローンを比較する

住宅ローンに関する費用は、金融機関によって大きく異なります。とくに事務手数料と保証料は、支払い方法や融資条件によって数十万単位の差が出ます。

メガバンクや地方銀行、ネット銀行など、複数の金融機関を比較することが大切です。

金利などの条件も考えたうえで、トータルの費用が安くなる金融機関を選びましょう。

火災保険を自分で選ぶ

住宅ローンの利用にあたって、火災保険への加入は基本的に必須です。しかし、金融機関が指定する火災保険を利用しなくても良いケースがあります。

火災保険料は保険会社やプランによって大きく異なります。無駄な費用を削るために、必要な補償が付いている火災保険をピックアップし、保険料が安いところを選ぶことが大切です。

住宅ローンの審査手続きを自分で行う

住宅ローンの審査手続きを自分で行うことで、不動産会社に支払う事務代行手数料を削れます。

審査の手続きは、金融機関から指定された必要書類を集めて提出するくらいです。そのため、知識が無くても問題ありません。

必要書類のなかには、取り寄せや発行に時間がかかるものもあるため、早めに動くことが大切です。

3月以外に引っ越す

3月は、4月からの新生活に向けて引っ越す人がとても多いため、引っ越し業者の費用が高くなります。費用を安く抑えるためには、3月以外の引っ越しがオススメです。

引っ越し先が県外の場合は、土日祝日より平日のほうが安いこともあります。荷物の量によっても費用が変わるため、複数の業者に見積もりを依頼して、安いところを選びましょう。

まとめ【予算に諸費用を入れておくことが大切】

住宅の購入には、住宅そのものの費用だけでなく、諸費用がかかります。

諸費用を合計すると数百万円になるため、あらかじめ予算に入れておくことが大切です。家具家電の購入費用など、住宅購入の前に分かる費用は具体的に計算しておきましょう。

また、住宅を購入する時期や条件によっては、諸費用の軽減措置を受けられる可能性があります。この記事で紹介した「諸費用を安く抑える工夫」も活用しながら、予算に余裕を持たせた住宅購入にしてください。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

営業電は0!住宅購入のプロに相談しよう

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