坪単価の相場とは?地域やハウスメーカーごとの坪単価平均を紹介

戸建てやマンションの購入を考えたとき、一番に検討しなければならないのは坪単価単位の価格でしょう。
家を建てる際、また資産目的で購入する際には、1坪いくらかかるのかという「坪単価」を気にしなければなりません。
坪単価の計算方法や、地域ごとの坪単価の平均、ハウスメーカーの注文住宅ごとの平均価格など、坪単価にまつわる知識をご紹介します。
坪単価とは?定義と計算方法を抑えよう
坪単価は、家の1坪に対してどの程度建築費が必要なのかを計算するものです。坪単価が分かると、家全体の値段も決まってきます。坪単価には、明確な計算方法が存在します。基本的には、延べ床面積と建築物の価格を割ったものを使います。
坪単価の計算方法
坪単価を出すためには、基本的に『延べ床面積』を使用します。建築価格が3,000万円、延べ床面積が50坪ある戸建て住宅を建てようとした場合、下記のようになります。
3,000万円(建築価格)÷50坪(延べ床面積)=坪単価60万円
建物が1階と2階でわかれていた場合にも、すべての床面積を含めて計算されるため、「1階が25坪しかないから坪単価は120万円である」とはなりません。この「坪単価」が、建築費の判断基準になったり、賃貸の価格設定の基準になったりするのです。
坪単価の注意点・確認事項
坪単価を算出するのに必要な「坪」という単位は、尺貫法という伝統的な単位の表現方法に基づいています。日本には他にも、「平米」「畳」「尺」というものがあります。
1坪…約3.3㎡(約2畳)
1平米(㎡)…0.3025坪(約0.64畳)
1畳…約0.5坪(1.62㎡)
1尺…約30.3cm
これらの単位は、元々は人体の部位の大きさなどを基準にして定められていました。1尺は大人の肘から手首までの長さを基にしています。
不動産広告を規制している「不動産の公正競争規約(表示規約)」によれば、「1畳は1.62㎡以上にすること」が定められています。ただし、あくまでもこれは基準なので、地域によって1畳の大きさが違う点には注意が必要です。
江戸間(東日本エリア)では、「176.0cm× 横 88.0cm=1.54㎡」が基準値となっています。また、場所に関係なく多くの団地で採用されている団地間は「170.0cm× 横 85.0cm=1.44㎡」が畳1畳分の広さになります。
このように、尺貫法や坪には明確な定義が存在せず、計算方法によっては「予算より建築費が高い!」という結果につながりかねません。
参考:不動産の公正競争規約
面積基準の定義を確認
正確な建築費の算出には、まず面積の基準を定義しているかを確認することが大切です。一般的には「延べ床面積」を使用して坪単価を出します。しかし、そこで注意しておかなければならないのは「面積を広くして計算すれば坪単価が下がる」という仕組みです。
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計を示します。バルコニーやガレージ、ポーチなど生活空間ではないものは含みません。
しかし、「施工面積(すべての設備を含めた面積)」で算出された坪単価は、価格が低くなってしまうのです。前述した3,000万円の建築価格でも、施工面積が60坪になる場合はどうなるでしょうか。
3,000万円(建築価格)÷60坪(施工面積)=坪単価50万円
坪単価を比較する場合は、それが「延べ床面積」か「施工面積」なのかはしっかりと確認しておきましょう。
建築費用の内訳を確認
建物を建てるときにかかる費用は、坪単価のみで表すことはできません。
戸建て住宅には、基本的に以下の3つの費用が必要です。
・本体工事費用
・付帯工事費用
・諸経費
少しでもお得感を出そうと、「本体工事費用」だけが伝えられるケースもあります。仮設の工事費や解体工事費、冷暖房工事やライフライン(ガス・水道・電気)の引き込み工事など、予想以上の費用になってしまうこともあります。
なるべく安い価格で建てたいと考えた際には、費用の内訳まで確認し、項目ごとに適正な価格になっているかをチェックする必要があるのです。
地域ごとの坪単価の平均・相場は?
坪単価は、どこに建てるかという「場所」によっても大きく左右されます。首都圏と地方では単価そのものが大きく違います。
フラット35の『2020年度 フラット35利用者調査』の結果から、坪単価を計算しました。建築費(本体・付帯・諸経費含む)から住宅面積(㎡)を割った1坪単位の単価を算出しています。
こちらによると、坪単価の全国平均は、およそ88万円となっています。首都圏では約89万円、近畿圏では約86万円と、80万円台後半が平均的な坪単価であることが分かります。
ただし、これは建築費をすべて含めた金額です。以下のように、条件によって平均相場価格は変動します。
・本体工事費用のみで計算した場合には約60万円台後半になる可能性
・土地の購入がない場合はその分の費用を建築費に回せるため、約70万円台になる
そのほかにも、付帯工事費用が高く付く場合など、家を建てる条件によっても変動してくるため、あくまでも平均値であることを抑えておきましょう。
参考:フラット35利用者調査 2020年度集計表「注文住宅」より
東京都の坪単価ランキング
場所が変われば、坪単価も変わります。地価が高いことで有名な東京都内の坪単価は、いったいいくらになるのでしょうか?
「東京マンション『坪単価ランキング』1000」によれば、第1位は『虎ノ門ヒルズレジデンス』の1,272万円でした。2位の『ザパークハウスグラン千鳥ヶ淵』1,108万円と比べると、実に164万円もの差になります。
3位『パークコート赤坂檜町ザタワー』1,091万円、4位『ザパークハウスグラン南青山』1,036万円と、4位までが1000万オーバーの高値を記録していることが分かります。
通常、建物は買った当初が価値のピークであることも多いなか、ランクインした建物はどれも「物件価格が新築時よりアップしている」物件が多いのが特徴です。いわゆるタワマン、億ションと呼ばれる高値物件は、駅も近く利便性があり、強い人気がうかがえます。
東京都の土地価格相場ランキング
東京都の坪単価が分かったところで、次は土地の価格についても見ていきましょう。地価は坪単価を決める際にベースとなる価格です。
国土交通省では、土地の価格を毎年公示しています。
令和3年における、住宅地の1㎡あたりの東京圏平均価格ランキングは、以下の通りです。
順位 | 所在地 | 平均価格 |
1位 | 千代田区 | 約276万円 |
2位 | 港区 | 約202万円 |
3位 | 渋谷区 | 約130万円 |
4位 | 中央区 | 約128万円 |
参考:国土交通省 令和3年地価公示「東京圏の概況 市区の住宅地の平均価格等」
地価公示によると、人気の街の価格が非常に高いことがわかります。新宿区(約79万円)や目黒区(約95万円)、品川区(約84万円)など、首都圏を代表する場所は土地代も非常に高い結果となりました。
東京都の都区部の平均は、約63万円でした。これは全国的に見ても非常に高い土地価格であるといえるでしょう。
ハウスメーカーごとの坪単価相場は?
建築物は、どのハウスメーカーを選ぶかでも費用が異なってきます。それぞれ、有名なハウスメーカーの基本的な坪単価は以下の通りです。
・アイダ設計…29~50万円
・へーベルハウス…65~104万円
・セキスイハイム…59~130万円
・三井ホーム株式会社…80~250万円
このようにして並べると、それぞれのハウスメーカーごとに坪単価の相場が大きく異なることが分かります。これは、材料の仕入れ価格やデザイン料、広告費の多い少ないなど、ハウスメーカーごとの特徴が異なるためです。
また、「建築するだけの価格」なのか、「アフターサービスやアフターフォロー込みの値段」なのか、などこだわりたいポイントによっても坪単価は変わってきます。
工務店の平均坪単価
工務店とは、かつては地域密着型の小規模な会社を指していました。しかし、現在フランチャイズ加盟店の工務店や、住宅展示場やモデルハウスを設置する積極的な工務店など、その営業形態は進化しているのです。
工務店の平均坪単価は、約40~50万円だと言われています。ただし、坪単価を算出するにあたり、「どこまでの費用を含めるか」というのは各工務店ごとに違います。
個性的なデザインにできたり、プランが自由に組めたり、こだわるごとに坪単価は上がっていきます。ハウスメーカーと比べて知名度が低いため、優良工務店を見つけるのは難しくなりますが、価格を安く抑えた個性的な間取り、自由なプランが良い場合は工務店を選びましょう。
ハウスメーカーの平均坪単価|ローコスト注文住宅
ハウスメーカーの平均坪単価といっても、建物のグレードによっても変わってきます。ここでは、ローコストな注文住宅を建てる場合の、ハウスメーカーごとの平均坪単価を見ていきましょう。
ハウスメーカー | 平均坪単価 |
アイフルホーム | 50万円~60万円 |
タマホーム | 50万円 |
アイダ設計 | 35万円~65万円 |
ユニバーサルホーム | 68万円 |
ローコスト注文住宅は、「平均坪単価が安い」と言われている工務店にも負けず劣らずの高コスパを実現しています。しっかりとしたハウスメーカーに頼みたい、しかしそこまで費用はかけられないという場合は、ローコスト注文住宅も検討してみましょう。
ハウスメーカーの平均坪単価|高価格帯注文住宅
次に、ハウスメーカーによる高価格な注文住宅の場合です。土地選びや使う木材、デザインや間取りによって価格帯には大きな差が出てきますので、あくまでも平均として見ていきましょう。
ハウスメーカー | 平均坪単価 |
パナソニックホームズ | 90万円~100万円 |
積水ハウス | 70万円~90万円 |
三菱地所ホーム | 80万円~100万円 |
住友林業 | 80万円~100万円 |
いずれのハウスメーカーも、平均90万円以上を平均坪単価にしているようです。こだわればこだわるほど高くなるのが坪単価です。
坪単価相場別!どんな家が建つ?
坪単価だけを言われても、どのような家が建つかはイメージしづらいものです。そこで、坪単価の相場別にどのような建築が可能なのかをまとめました。
新築の坪単価の相場は?
どの場所に新築物件を建てるかにもよりますが、ローコスト注文住宅で30〜50万円、高価格帯のハウスメーカーは70万円以上が平均坪単価になります。
使う建材や設計のデザインを極力シンプルにすることで価格は抑えられます。ローコスト注文住宅はすでに決められたデザインやプランの中から選ぶことでコストダウンを図っているのです。反対に、高価格帯の注文住宅はラグジュアリーでおしゃれな見た目や、独自工法、高性能の住宅が特徴です。
坪単価30万円の家
まずは、坪単価30万円のローコスト注文住宅から見ていきましょう。あまりプランに自由度はなく、あらかじめ決められたプランとデザインのなかから選んでいく形になります。
とはいえ、間取りは人気のデザインを採用しており、住みよい設備環境や仕様になっています。建材や壁紙はシンプルなものになりますが、しっかりとした広さのリビングやカウンターキッチンも、プランによっては建築可能です。
坪単価50万円の家
次に、坪単価が50万円の家の場合です。「家の敷地面積が増やせる=広く暮らせる」というだけでなく、建材もこだわりのものが使えたり、照明や収納も好きなものにできたりと、自由度が格段に上がります。
太陽光パネルや、大理石風の洗面台、食器乾燥機付きキッチンなど、こだわりを持って家のデザインができます。
坪単価70万円の家
高価格帯になる坪単価70万円の家は、まさに高級住宅のような上品でハイグレードな設備を兼ね備えた、ラグジュアリーな住宅が建てられます。
また、坪単価が90万円以上になると、木造建築だけではなく鉄筋コンクリート造も可能になります。床暖房やフルオーダー住宅、輸入建材や高機能設備も可能になるため、「何を一番重視しているか」ということがブレないようにする必要があります。
注文住宅の坪単価を抑えるために注意したい点
住宅は、高額な買い物です。少しでも建築費用を抑えたいと思ったとき、注意すべきポイントについてまとめました。
各住宅メーカーの算定基準を把握する
住宅メーカーによって費用が異なるのは、算定基準が異なるためです。坪単価にしても、「本体工事費用」を含めるのか、延べ床面積はどこまでと定めているのか、付帯工事の内容はどのようなものであるのか、実にバラバラです。
各住宅メーカーを比較検討する際にも、算定基準を把握した上で見比べる必要があります。単純に坪単価の安さで比較しないようにしましょう。
住宅メーカーの得意分野に応じて依頼する
各住宅メーカーによって、特徴や得意分野が異なります。例えば、アイフルホームは統一価格、統一品質の家にすることによって大幅なコストダウンを叶え、坪単価30万円という低価格帯を実現させているのです。セキスイハイムは木造の2×4(2×6)建築が得意で、揺れに強い建築を得意としています。このように、施主であるあなたが何を重視するか、何をこだわるかによって住宅メーカー選びも変わってくるのです。
複数社の見積もりを比較する
住宅選びの際には、必ず複数の会社に見積もりを依頼しましょう。ふらりと寄ったモデルハウスの展示場で、何も比較検討せずにそのまま流れで契約してしまうと、のちのち後悔する可能性が高くなるでしょう。
比較検討する際は、前述のとおり「どのような算定基準なのか」「特徴・強みは何か」を把握した上で比較しましょう。
お金と不動産のプロに相談して、下落の不安に備えよう
家選びは、失敗できない高額な買い物です。購入後に物件の価格が下落する心配もあるでしょう。
坪単価を平均価格以下に抑えるためには、質の高い、鮮度の良い情報が必要です。やみくもに情報収集するよりも、お金のプロに相談することで確かな情報が得られます。
不動産取引のプロが無料で、戸建て・注文住宅の相談に乗ってくれます。一人で悩む前に、まずはお気軽にお問い合わせください。あなたの素敵なマイホーム作りを全力でサポートいたします。

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