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家・住宅購入コラム

中古住宅を購入すべきタイミングはいつ?タイミングの見極め方や活用できる制度について解説

以前までは「マイホームの購入=新築一戸建」というイメージが強かった日本の住宅市場ですが、近年では中古マンションや中古の戸建を購入する人が増えています。
 
中古住宅を購入する人が増えている理由はさまざまですが、ライフスタイルの多様化により複数回住み替えをする人が増えていることや、建築資材の高騰により新規住宅の取得費用が高くなっているということが背景にあります。
 
そこで問題となってくるのが購入のタイミング。中古住宅の購入費用は新築と比較すると安価ですが、だからといって何も考えずに購入してしまうと、ライフスタイルに合わずに後悔してしまう可能性もあります。
 
ライフイベントのどのタイミングで中古住宅を購入するといいのかだけでなく、1年の中でおすすめの購入のタイミングについても解説していくので、理想とするライフスタイルなどと照らし合わせながら参考にしてみてください。
 

1.ライフイベントから見る中古住宅購入のメリット

 

 
住宅の購入は、一生のうちで一番大きな買い物とも言われるため、どのタイミングで購入するかが重要なポイントです。将来考えうるライフイベントのタイミングに合わせて中古住宅を購入すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
 

・結婚

 
結婚を機に新しい住まいが欲しい・生活を一新したいという意向から、結婚のタイミングで家を購入する人はとても多くいます。マイホームを購入する際に、多くの人が住宅ローンを活用して住宅購入資金を工面しますが、住宅ローンは契約する年齢が早ければ早いほど、返済期間を長く・月々の返済金額を低く設定できます。こうした理由から、大きなライフイベントとして最初にやってくる結婚のタイミングで、マイホームの購入を検討する人が多いのです。
 
ただし、若いうちは転勤や転職による収入が変動する可能性があったり、将来的に家族が増えて間取りが合わなくなったりするケースもあり、条件によっては早々に住み替えを検討しなくてはいけなくなります。こうした可能性を考えたときに、最初のうちは中古住宅で安くマイホームを手に入れ、家族が増えたりライフスタイルが変化したタイミングで、新しい家に住みかえるという方法もとることが可能です。
 

・出産

 
子供が生まれるタイミングに家を購入すると、必要な間取りや生活環境などが具体的にイメージでき、ライフスタイルに合った家選びができるというメリットがあります。子供がのびのびと遊べる構造の家を選んだり、近くに公園や病院があるエリアに済んだりするだけでも、先々の子育てのしやすさが大きく変わってきます。
 
一方注意が必要なのは、家の購入費用の工面の仕方。子供が生まれたタイミングではどうしても出費がかさむタイミングが増えてしまうため、生活が苦しくならないように、資金計画を入念に立てておく必要があります。この時に新しい住まいとして中古住宅を選ぶと、新築住宅と比較して物件購入価格を抑えられるという利点があります。子供が生まれたタイミングで車を購入する家庭も多いなか、住宅ローンの返済額を少しでも抑えられるというのは、中古住宅購入の大きな魅力だと言えます。
 

・子供の進学

 
子供を通わせたい・子供が通いたい学校が離れた場所にある場合、子供の進学のタイミングで家を購入することも検討できます。通学時間が短縮できることで、勉強や習い事の時間を捻出できるだけでなく、1人で出歩く時間が少なくなることで防犯対策にもなります。
子供の進学のタイミングで住まいを移す場合は、子供の年齢やその後の進学先についても考慮する必要があります。
 

・子供の独立

 
子供が独立して家を出た結果、部屋が多すぎるという理由で住み替えを検討するケースもあります。部屋数の少ない家に引っ越すことで管理がしやすくなったり、将来的に足腰が弱くなったときのことを考えて、平屋やバリアフリーの住宅で生活できるようになったりといった利点があります。
 
その一方で、両親ともに年齢が上がっているぶん、住宅ローンが組みにくくなるというのが懸念点。組めたとしても年齢制限により返済期間が短く、月々の返済金額が高くなってしまう可能性があります。また中古住宅は、不動産自体の資産価値が下がっていることがほとんどで、住宅ローンの担保として認められない可能性もあるという点を押さえておきましょう。
 

・健康状態の変化

 
家を建てた頃は快適に暮らせていたマイホームも、年齢を重ねて足腰が弱ってくると、暮らしにくさを感じやすくなるというケースも少なくありません。
 
こうした健康状態の変化から、それまで住んでいた家を手放し、新たに住まいを購入して生活環境を変えるという人も多くいます。特に、毎日の生活の中で階段の上り下りが必須である2階以上の戸建に住み続けることは、家全体の清掃や維持管理に労力がかかるだけでなく、怪我の原因になるリスクもあります。2階建の戸建から、中古平屋一戸建やエレベーターのある中古マンションに移り住むことで、住居の維持にかかる費用や労力を減らしつつ、フラットで安全性の高い生活を送ることが可能になるのです。
 

2.1年のうち中古住宅購入のおすすめのタイミングは?

 

 
中古住宅を購入することを決めたら、次に気になるのは「1年のうちどの時期に購入するのがお得なのか」ということです。
 
日本の住宅市場の繁忙期は1~3月。新年度が始まる4月に向け、新しい住まいを求める人が増えるため、住宅の売買が活発に行われるようになります。売買が活発ということは、それだけ市場に出回る物件の数も多いということ。つまり、1年のうち1~3月を狙って物件探しをすると、希望に近い住まいが見つかる可能性が高いと言えます。
 
ただし活発に取引が行われているぶん、同じ考えのもとで動いているライバルも多いということ。1つの物件に対して複数の申し込みが入った場合は、申込人に対する審査や売買条件の比較によって購入者が選ばれることになるため、必ずしも希望の物件を購入できるとは限りません。そのぶんスピード感も必要になってくるため、複数の物件をじっくりと比較して決めたい場合は、あえて繁忙期を外して動くという方法もあります。
 

3.中古住宅を購入するメリット

 
初めてのマイホーム購入のタイミングだけでなく、住み替えのタイミングにも候補になる中古住宅の購入は、大きく分けて2つのメリットがあります。
 
1)購入費用が安く済む
2)購入・リフォーム時に活用できる制度が豊富
 

中古住宅を購入するメリット1:購入費用が安い

 
中古住宅を購入するメリットの1つ目は、なんといっても住宅の購入費用が安いという点。住宅を購入する際には、物件の購入代金のほかに、不動産会社に対して支払う仲介手数料・契約書に張り付ける印紙代・登記費用・住宅ローンを利用する際の事務手数料など、非常に多くの費用がかかります。
 
それだけでなく、不動産は所有しているだけでも固定資産税や都市計画税といった税金も毎年発生するため、マイホーム購入にかかる全体の費用はできるだけ抑えたいところ。
 
不動産購入時にかかる費用は、取引価格(物件自体の価格)を基に算出されるものも多くあります。その点中古戸建てや中古マンションであれば、新築の住宅と比較して取引価格が抑えられるぶん、それ以外にかかる費用も下げることにつながるのです。
 

中古住宅を購入するメリット2:購入・リフォーム時に活用できる制度が豊富

 
中古戸建や中古マンションを購入する際、購入にかかる費用の一部を負担してもらえる制度のほかに、住宅ローン利用時に受けられる控除、リフォームを行う際に受け取れる補助金制度など、さまざまな支援制度が用意されています。具体的な制度の内容については、後ほど解説します。
 

4.中古住宅購入のタイミングを見極める際の注意点は?

 

 
購入代金が安く補助金も受けやすい中古住宅は、新築とは異なるメリットや魅力があるということを解説してきました。しかし、それでもやはり高額な費用がかかるため、自身にとって最適なタイミングかどうかを見極め、無理のない購入計画を立てる必要があります。
 

1)長期的なライフプランを明確に立てる

 
購入した中古住宅に何年くらい住み続けるのか、どのように手放すのかも含めた計画を、あらかじめ立てておく必要があると言えます。
初めてのマイホームとして中古住宅を選択した場合、30年・40年と住み続けることも想定されますし、老後の住み替え用に購入する場合でも、10年未満の短期間で手放すことはなかなか想定しにくいためです。
 
中古住宅は、リフォームや耐震工事などにより、長く安全に生活できる住居に生まれ変わらせることが可能です。費用をかけて手を加えたのちに何年間暮らすのか、手放す際にどれくらいの資産価値が残っているかも含めて検討しておきましょう。
 

2)本当に購入すべきタイミングかを考える

 
ライフステージの変化があったり魅力的な物件が見つかったりすると、どうしても「家を買うこと」だけに意識が向きがちになってしまいます。
しかし住宅の購入は、人生で一番大きな買い物と言われることもあるほど、大きな決断が必要になるイベントです。
 
マイホームの購入や住み替えを前向きに検討している場合でも、今本当に購入すべきタイミングなのかを慎重に見極めるようにしましょう。
 

5.中古住宅購入のタイミングで活用できる制度

 

 
中古住宅を購入すると、購入代金やリフォーム費用に対して補助金が出たり、所得税控除が受けられるという利点があります。いずれも申請や確定申告が必要になるため、どのような制度が活用できそうかを知っておきましょう。
 

・住宅ローン減税

 
住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、10年の間所得税控除を受けられるという制度が「住宅ローン減税」です。
 
中古住宅を購入した場合の適用要件は下記のとおりです。
 

1.自ら居住することを目的としている
2.住宅を取得してから6ヶ月以内に入居
3.不動産登記簿上の床面積が50㎡以上であること
4.1982年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)であること
5.返済期間が10年以上であること
6.年収が2,000万円以下であること 等

(参照元:国土交通省『住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
 
中古住宅の購入において、住宅ローン減税で受けられる所得税控除の限度額は、下記のとおりとされています。
 

購入する住宅の条件 借入限度額 控除率 控除期間
・長期優良住宅
・低炭素住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
3,000万円 0.7% 10年
その他の住宅 2,000万円 0.7% 10年

 
上記の表では「中古住宅を購入した場合」の控除率を表していますが、不動産会社が中古住宅を買取・リフォームしたものを販売する「買取再販」の場合は、さらに借入限度額と控除期間が緩和されることになります。
 
住宅ローン減税の適用条件は毎年見直しが行われているため、最新の情報は国土交通省のホームページをご確認ください。
 

国土交通省『住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

 

・こどもみらい住宅支援事業

 
中古住宅を購入し、リフォーム後に入居することを検討している場合は、「こどもみらい住宅支援事業」による補助金を受けられます。
 
「こどもみらい住宅支援事業」は2022年から本格的に実施されている国の補助金制度で、省エネ性能を高めるリフォーム工事を行う場合に活用できます。本事業で受け取れる補助金の上限金額は、下記の表のように設定されています。
 

世帯 工事内容 上限費用
子育て世帯または若者夫婦世帯 既存住宅を購入してリフォームする場合 60万円/戸
上記以外のリフォームをする場合 45万円/戸
上記以外の世帯 安心R*住宅を購入してリフォームする場合 45万円/戸
上記以外のリフォームをする場合 30万円/戸

*新耐震基準・既存住宅売買瑕疵保険の基準に適合した住宅
 
上記表を見てわかるとおり、中古住宅を購入してリフォームする場合、子供がいる世帯や若者夫婦以外でも補助金を受け取れます。
 
本事業を十分に活用するための条件には、対象のリフォーム工事を行う以外にもいくつか満たすべき条件があります。また、補助金の交付状況に合わせて申請期間などの見直しも随時行われているため、詳細は「こどもみらい住宅支援事業」の公式ホームページを参照してください。
 

こどもみらい住宅支援事業『リフォーム』
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/reform/?tab=1

 

・長期優良住宅化リフォーム事業

 
中古住宅を購入してリフォームする場合、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」による補助金を受け取れる可能性もあります。本制度が目指しているのは、何世代にもわたり長く大切に住み続けられる住宅の流通。これまで「作っては壊す」ことを前提としていた日本の住宅市場において、高い耐震性・高い省エネ性能を備えた優良な住宅を増やすための事業です。
本事業で補助金を受け取るための条件は大きく分けて3つ。
 
・インスペクション(リフォーム工事前に行う現況検査)の実施
・住宅の一定基準の性能保持(耐震性・省エネ性能などが基準を満たしているかの確認)
・リフォーム履歴と維持保全計画の作成
 
これらを満たしたリフォーム工事を行った場合に、1戸あたり最大100万円の補助金を受け取れる可能性があります。
 
補助に関する募集要項・条件などは、国土交通省ホームページ、または本事業の総合ページをご覧ください。
 

国土交通省『令和4年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始します!』
~既存住宅の性能向上、子育てしやすい環境等の整備に向けて~
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001075.html
 
長期優良住宅化リフォーム推進事業【総合トップページ】
https://www.kenken.go.jp/chouki_r/

 

6.中古マンションにするか中古戸建にするか

 
メリットデメリット
 
中古住宅には中古マンションと中古戸建の2つがあり、どちらを購入したらいいのか迷う人も少なくありません。ここではそれぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
 

・中古マンション

 
中古マンションを購入する場合、実際に住み始めたあとの生活のイメージをしやすいというメリットがあります。まだ誰も使用していない新築マンションとは異なり、室内の間取りや設備を内覧時に確認したり、マンション全体の管理体制や管理規約をあらかじめ把握できます。そのため、入居前と入居後のイメージの差が少なくなるのです。
 
また、マンションは廊下やエントランスといった共用部の清掃・管理を清掃会社が行ってくれるという点も魅力。特に老後は、家の面積が広ければ広いほど維持管理に苦労しますが、管理会社がいる中古マンションであれば、専有部分(室内)の清掃だけで足りるという点が決め手になる場合もあります。
 
しかし中古マンションは築年数が建っているぶん、新築マンションと比較して修繕積立費や管理費が高い傾向にあるということに注意が必要。管理組合によって定期的な修繕・改修が計画されているため、どれくらいの頻度で行われるのか、月々の支払いはいくらくらいになるのかを知っておくようにしましょう。
 

・中古戸建

 
中古戸建のメリットは、敷地面積が広く価格も安いという点です。戸建住宅はマンションと比較して地価が安い場所に建てられていることが多いため、「子供がのびのび育つようにできるだけ広い家に住みたいけど、あまり多くの資金は準備できない」という場合に検討対象になるでしょう。
 
ただし、中古の戸建住宅は十分な耐震性を備えていない場合があるという点に注意が必要。国が定める耐震性の基準には、旧耐震基準と新耐震基準の2種類があり、1981年より前に建てられた住宅の場合は、現在の基準である新耐震基準に適合していない場合があるのです。耐震性を確認するためには、購入しようとしている住宅の謄本で建築年月日を確認したり、耐震診断を行ったりといった方法があります。
 

中古住宅購入のタイミングに関する相談なら不動産会社へ

 

 
中古住宅は購入代金が安いだけでなく、購入・リフォーム時に受けられる補助金制度も充実しているため、新しい住まいを安く手に入れたいという人におすすめです。
 
しかしいくら中古といえども、すべてを1人で進めてしまうと、購入のタイミングを見誤って損をしてしまったり、補助金制度への申告のタイミングを逃してしまう可能性も考えられます。
 
そのため、中古住宅の購入を検討し始めたら、まずは不動産会社へ相談に行くことをおすすめします。購入のタイミングの見極め方だけでなく、購入資金の調達方法についてや、どのようなリフォームが制度の対象になっているかも相談に乗ってもらえます。不動産会社のなかには、中古住宅の売買を得意とする業者も多くあるため、複数の業者を比較して自分にぴったりのところに依頼するようにしましょう。

小野 信一

所属会社:
ネクスト・アイズ株式会社
所属会社のWEBSITE:
https://www.nexteyes.co.jp/
保有資格:
ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、不動産コンサルティング技能登録者、2級建築施工管理技士
著書:
NHK出版「家づくり必勝法」
ハウスメーカーがいわない8つの鉄則
リフォームで失敗しない6つの秘訣
家と土地と相続・贈与の税金「24のお得な話」
監修:ダイヤモンド社「はじめて家を建てました」あべかよこ著
監修:西東社「失敗しない!後悔しない!マイホームの建て方・買い方」

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