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家・住宅購入コラム

平屋とは?そのメリット・デメリットや建築時の注意点について詳しく解説

近年、平屋の住宅を建てる人が増えています。平屋は階段がなく昇降不要の為、かつてはシニア層を中心に人気がありました。しかし、今では若い世代や子育て世代に支持されています。
「バリアフリーで動きやすい」だけでなく、「家族同士のコミュニケーションが取りやすい」「地震の揺れに強い」など、世代を問わず大きなメリットがあります。しかし、メリットだけを考えてしまうと、作った後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうかもしれません。
そこで本記事では、今注目されている平屋建てのメリットとデメリットをご紹介します。これから住宅建設を考えていらっしゃる方は是非この記事を参考にしていただければ幸いです。

そもそも平屋とは?

そもそも平屋とはどのような住宅なのでしょうか?
平屋とは、階数によって分類される建物の一種で、1階建ての建物を指し、「1階建て」、「平家」とも呼ばれることがあります。
平屋住宅は、1層の床・天井・屋根・壁ので構成されています。2階建て以上の建物と違い、階段などの昇降設備が不要で、動線が水平方向のみで構成されているため、間取りを計画しやすいというメリットがあります。
中高層ビルは空間の有効利用という点ではメリットがありますが、一方で平屋建ては商品の搬入がしやすく、周囲を見渡せるため、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの商業施設に多く採用されています。また、平屋は先にも説明した全域を見渡せる構造の為、幼児向け施設や高齢者向け住宅に適しています。
地価が高い都市部では、平屋建て住宅は同じ延床面積の建物を建てるのに2階建て住宅よりも広い土地面積を必要とするため、高級住宅として位置付けられます。

 

平屋や近年人気の理由は?

コロナ禍で首都圏を離れ、地方に平屋を建てる方も多いようです。このように平屋の人気が高まっていますが、それは何故なのでしょうか?
何より平屋は上下の動きがないため、動線がシンプルで住みやすい点が上げられます。また、上下階の配管位置を気にする必要がないので、比較的自由な設計を可能としています。また、将来介護が必要になった場合でもスムーズに対応できるのも平屋のメリットです。
もともと日本の家屋は平屋が主流でしたが、大正時代頃から二階建ての建物が建てられるようになりました。当時、多くの裕福な人々は 2 階建ての建物を望んでいました。これは応接室やプライバシーに配慮した個室など、西洋文化への憧れや考え方も一因だったのかもしれません。2階建ての建物は、現在の住宅では一般的になっています。
しかし、平屋の魅力を求めて平家を建てる人が増えているのは、プライバシーへの配慮はもちろん、家族とのゆったりとしたコミュニケーションが心地よく楽しめるから、ともいわれています。

 

平屋を選択するメリット

先に説明したように平屋は階段も二階も無く、部屋も設備も全て一階にあります。平屋住宅と聞くと、広々とした空間で快適に暮らせる古民家をイメージされる方も多いのではないでしょうか。それでは平屋にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、平屋の主なメリットを7つ紹介します。
 

バリアフリーを実現しやすい

階段がなく1階だけの建物、それが平屋です。平屋というと、昔ながらの日本家屋をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、最近はデザインや間取りにこだわった家屋も増えてきており、平屋を選ぶ人も増えているようです。
平屋は階段がないので、フラットなバリアフリー住宅が実現できます。年配の方の家に建て替えやリフォームの相談に行くと、階段の上り下りが大変で危険なので2階の部屋を使わないという話をよく耳にします。このように平屋は高齢者が住みやすく、バリアフリーにすることで転倒やつまずきを防ぎやすくなり、より安全な生活を実現できます。 
 

シンプルな導線を作りやすい

平屋なら平行移動のみで生活できるので、効率的な動線を計画しやすくなります。間取りにもよりますが、2階建てに比べて、洗い物や掃除、片付けなどの家事で上下に移動する必要がなく、効率的であり、同時に導線をシンプル且つコンパクトにすることができます。
注意すべきはドアの位置です。玄関を家の隅に置くと、反対側の部屋まで長い廊下ができてしまうので注意が必要です。玄関をなるべく家の中央に配置すれば、どの部屋にもスムーズに移動できる間取りになります。

 

家族とのコミュニケーションがとりやすい

ワンフロアで完結する平屋では、家族と顔を合わせる機会が増えるため、家族全員の様子が分かりやすくなります。
玄関付近に階段があると、お子さんが帰宅後そのまま2階の個室にいけば、長時間過何をしているのか分からなくなったりする場合があります。一方、平屋はすべての部屋が同じ階にあるため、お互いの様子が分かりやすくなり、かつ顔を合わせることが増えることでコミュニケーションが取りやすくなります。

 

外に出やすい

すべての空間が地面に近い平屋建ては外に出やすく、窓から景色や緑を取り込めば自然を身近に感じることができます。お茶や食事ができるテラスを設置したり、子供やペットが走り回れるように芝生を植えたりすることで、屋外での時間をより楽しむことができます。
地震や火事などの緊急時には、窓から即座に外に出られるので、非常時にも安心です。特に車いす生活をしている方にとっては、安心して日常生活を送ることができます。

 

耐震性が高い

地震大国日本に住むには、家の耐震化は無視できません。耐震性を考える上で、建物の重さは重要です。家が重いほど、地震が発生したときの揺れは大きくなります。
その点、平屋は二階建てよりも軽量なので、耐震住宅と言えます。

 

スペースの有効活用が可能

2階がない平屋は、小屋裏が使いやすくなります。勾配(角度)のある屋根をつければ、勾配天井として開放感を演出する、屋根裏に収納やベッドスペースを作ることなどが可能となります。
平屋を設計する場合、開放感を出すために勾配屋根や天井の高い部屋を作るのが一般的です。また、屋根南側の庇を深くすることで、夏の暑い日差しを室内に入れず、冬の優しい日差しを取り入れることができます。
また、2階建て住宅の場合、一般的に階段やホールに必要な広さは4~5畳と言われています。平屋はこの階段が不要ですので、このスペースも有効活用できます。4~5畳のスペースがあれば、書斎や寝室など、さまざまな使い方が考えられます。

 

メンテナンス費用を安価に抑えられる

住宅は新築を買って終わりではありません。定期的なメンテナンスが必要です。
家を長持ちさせるためには、定期的に掃除をすることが大切です。コンパクトな 1 階建ての家は、2 階建ての家ほど掃除が難しくありません。
また、業者によるメンテナンスの場合、2階建ての建物だと足場を組む必要があり、コストがかさみます。
その点、平屋の方がメンテナンス費を安く抑えることができます。

 

平屋を選択するデメリット

多くのメリットがある平屋ですが、デメリットはないのでしょうか?平屋を選択した場合のデメリットはいくつかあります。
ここでは平屋を選択した場合における6つのデメリットについて解説します。

 

建築にかかる費用が高くなる可能性がある

平屋は平屋建てなので、2階建てと同じ延床面積の家を建てようとすると、より広い土地を確保する必要があります。ただし、土地が大きくなればなるほど、土地の購入費用は高くなります。
また、2階建てと同じ延べ床面積を確保しようとする1階建ての家は、平面上ではほぼ2倍の広さを必要とします。この場合施工費用が高くなる屋根・基礎工事をより多く必要とするため、結果平屋は坪単価で比較すると割高になる傾向にあります。
ただし、同じ延床面積で比較した場合です。同じ土地に建てる場合、平屋の延べ床面積は当然2階建てよりも小さくなります。また、平屋の場合、建築工事に2階の大掛かりな足場は不要で、2階のトイレや洗面台などの設備も不要なので、必ずしも高くなるわけではありません。

 

部屋数確保には広い土地が必要

建設費同様に気をつけるべきは土地代です。
平屋は二階建てよりも広い土地を用意する必要があります。単純に言えば、同じ延べ床面積なら、平屋は2階建ての2倍の土地を必要とします。
また、住宅建築には建ぺい率が設定されており、一定の割合の土地しか住宅として使用することができません。仮にそれが 50% だったら、土地の半分だけが住宅に利用できます。そのため、建ぺい率を考慮しつつ、十分な広さの土地を用意する必要があるというデメリットがあります。

 

日当たり確保が難しいケースがある

平屋建ての建物は建築面積が広いほど、建物の中心部に日が当たりにくい傾向にあります。細長い建物で各部屋に窓があればいいのですが、建物の中心が他の部屋に囲まれている場合は、採光や通風を考慮する必要があります。
例えば、中庭を作ったり、天窓を設置したりすることは有効な対策ですが、比較的費用がかかるというデメリットがあります。

 

プライベート確保が難しい

平屋のメリットのひとつは、家族間のコミュニケーションが取りやすい点を説明しました。ただこれは逆に言えば、お互いのプライバシーを確保しにくいというデメリットにもつながります。
限られたスペースにプライベート空間を確保するためには、ロフトを作ったりリビングを仕切ったりする必要があります。

 

固定資産税が高くなるケースがある

住宅を所有していると、固定資産税や都市計画税がかかります。この中で固定資産税は平屋のほうが高くなりがちといわれています。
その理由は2階建てにくらべ平屋は資産価値が高いと評価されるからです。固定資産税は家屋の資産価値に応じて計算されます。同じ土地、同じ面積でも、平屋のほうが屋根や壁に多くの資材を使用するため、資産価値が高くなります。
ただし、お住まいの地域によっては、2階建てのほうが高くなる場合があります。一般的に、土地の鑑定評価額は、都市部ほど高く、地方ほど安くなります。

 

防犯面の不安がある

平屋は二階建てよりも泥棒に狙われやすいと言われています。その理由のひとつは、平屋建てで外から室内が見やすい構造になっている点があります。
しかしながら外壁を高くして外から見えないようにすると、外からの侵入者を検知できなくなり、効果がありません。平屋の場合、窓の位置や大きさを工夫するなど、セキュリティ対策にも工夫が必要となります。

 

平屋と2階建て、どちらを選ぶべきか?

平屋と二階建てにはそれぞれ一長一短があるので、どちらを選ぶべきか迷う、という方もいらっしゃるでしょう。
実は土地の大きさや周辺環境などにより、どちらがより適しているかが決まる場合があります。平屋建ての場合、ある程度の土地が必要です。土地が広くないと広さや部屋数が確保できません。敷地が狭い場合は、2 階建てまたは 3 階建ての家を検討しましょう。
また、周辺に2階建ての建物が多いと日当たりや風通しが悪く、隣の家からの視線も気になるので、当然2階建てを選ぶことになります。
家族構成も決め手です。子供が一人しかいない場合は平屋でも窮屈に感じないかもしれませんが、子供が二人か三人いる場合は二階建ての方がスペースにゆとりがあります。子供が自立し、親世代で一人暮らしをするのであれば、バリアフリーしやすい平屋選択の方がメリットは大きくなるでしょう。
もう 1 つの大きな要因は、コストです。平屋なら建築費が抑えられても、地価が高いとトータルコストが高くなります。一方で、二階建て住宅は維持費が高くなる傾向にあるため、子供の教育費などの資金が必要な時期に住宅の維持管理が必要になると、家計への影響が大きくなります。当面の建設費だけでなく、将来の資金計画も考慮することが重要です。

 

まとめ

今回は平屋のメリット・デメリットについて解説しました。平屋は階段がないため、バリアフリーで住みやすく、維持費も抑えられるなどのメリットがあります。一方で、2階建てより税金が高い、当たりやプライバシーの確保に工夫が必要などのデメリットもあります。
近年は平屋のプランが多く、間取りや計画にこだわれば、平屋のデメリットを最小限に抑えた家づくりが可能です。注文平屋を検討する際は、様々な住宅展示場に足を運んで希望のデザインや施工業者を探されてはいかがでしょうか?この記事を参考に満足のいく設計につなげていただければ幸いです。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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