建設経済モデルによる建設投資の見通し
建設経済研究所が4月10日に発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によると、新設住宅着工戸数の見通しは、23年度が80.5万戸(前年度比6.5%減)、24年度が81.0万戸(同0.7%増)との予測でした。
足元の状況として、23年度の住宅着工は、24年2月まで5月を除けばすべての月で前年度比減少。建設コストの上昇が販売価格を押し上げ、住宅需要を抑制する状況が続いており、年度としても減少は避けられない見込みです。24年度は減少傾向に一旦歯止めがかかり、前年度と同水準にとどまる見込み。同研究所は、「大都市圏を中心としたマンションへの底堅い需要のほか、貸家に対する投資ニーズなどが着工を下支えしている」と説明します。ただし、「単年度で見ればある程度の増減はあり、24年度は小康状態となる形だが、大きな流れとしての減少傾向に変わりはない」とも念を押します。
他方、民間住宅への投資額は横ばい傾向が続き、23年度(名目値)は17兆400億円(同0.7%増)、24年度(同)は17兆3200億円(同1.6%増)。物価変動等の影響を加味した実質値でも、いずれも前年度と同水準。建設コスト上昇に加え、ZEH等の省エネ性能向上やスマートホーム化といった高付加価値化による価格上昇が、着工戸数の減少を補う格好です。
利用関係別でみると、持ち家は23年度に22.2万戸(同10.6%減)を見込みます。24年2月まで、年度内の全ての月が過去10年間で最低となっており、当面は回復要因もないため、2年連続の二桁減となる模様。24年度の現象は続くものの、同0.3%減の22.1万戸とほぼ横ばいの予測。
貸家については、23年度が34.1万戸(同1.9%減)、24年度が33.8万戸(同0.9%減)と推測します。21~22年度が比較的高水準だったことの反動もあり、前年度比では微減を見込みます。24年度も状況は大きく変わらず、“ややマイナスの同水準”で推移すると見ます。
持ち家、貸家と比べ、分譲は若干異なった傾向となる見通しです。23年度は、マンション・戸建てとも着工減が続いていることから、他分野と同様にマイナスの23.7万戸(同8.7%減)と予測。それに対して、24年度には同3.9%増の24.6万戸と反転増を見込みます。底堅いマンション需要のほか、戸建てにおいて「住宅メーカーが持ち家から分譲の販売強化へシフトしていることが下支え」(同研究所)し、利用関係別では分譲のみプラスの予測となりました。
同「見通し」では、リフォーム等の「建築補修(改装・改修)」投資についても予測しています。民間建築物(名目値)については、23年度が10兆6200億円(同18.8%増)、24年度が11兆5000億円(同8.3%増)としており、「非常に好調」(同研究所)な市況が続く見込みです。
同研究所によると、住宅分野では政府の省エネキャンペーンによる補助事業等が受注を促進。非住宅分野においても、省エネ対策への関心の高まりなどから改修ニーズ増が続き、「今後も投資は堅調に推移する」と分析しています。
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徳本 友一郎
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