住宅ローン借り換えのタイミングはいつ?メリット・デメリットから手数料を徹底解説
住宅ローンの返済が厳しい、今借りている住宅ローンより他行の住宅ローンのほうが金利が安いから住宅ローンを借り換えしたい、という思いをしている人もいることでしょう。
住宅ローンを借り換えることにより、返済が少なくなったり、返済総額を圧縮することもできます。しかし、住宅ローンの借り換えには利用するデメリットもあるため、慎重に行わなければなりません。
本記事では、住宅ローンの借り換えのタイミングや、借り換えを利用するメリット・デメリットなどを紹介します。
住宅ローンの借り換えとは?
住宅ローンの借り換えとは、既存の借り入れの住宅ローン残額を、他の金融機関の住宅ローンを借りることで全額返済することです。
住宅ローンの借り換えは、既存の住宅ローン返済の金額を安くする、住宅ローン返済総額を圧縮するなどを目的に行なわれます。住宅ローンの借り換えを行うときには、借り換えを行うタイミングを図り、借り換える時点で、既存の住宅ローンより新規で借り入れする住宅ローンのほうが返済が安くなるようにすることが大切です。
また、住宅ローンの借り換えをする際には、既存の住宅ローンを全額返済する費用、新たに住宅ローンを借りる費用がかかるため、費用面にも注意する必要があります。
住宅ローンの借り換えをする理由は?
住宅ローンを借り換えをする主な理由は、次のとおりです。
・他行の住宅ローンのほうが金利が低い
・借り換えることにより返済額が少なくなる
・今後の金利上昇や毎月の返済額増加が不安になった
・適用金利が上がり返済額が増加する
このような理由で住宅ローンの借り換えを行う人がいます。借り換えをする理由をまとめると、既存の住宅ローンより、新規で借りた住宅ローンのほうが返済が安くなるという理由で借り換えすると言えます。
また、住宅ローンの借り換えをしようと思ったきっかけはなんだったか、というアンケートが行われており、借り換えのきっかけは次のとおりです。
・マイナス金利政策導入による金利情勢の変化:約38.3%
・キャンペーンが魅力的だった:約16.5%
・テレビや雑誌で住宅ローンの借り換えについて取り上げていた:約11.9%
・固定金利の特約期間が終わるから:約10.9%
・子どもの進学などで家計を見直したから:約10.9%
引用元:auじぶん銀行実施アンケート
住宅ローンの借り換えを思い立ったきっかけは、マイナス金利政策導入がトップでした。住宅ローンはいかに金利が家計に与える影響が大きいのかがわかります。
住宅ローン借り換えがお得になるケース
住宅ローンの借り換えをし、月々の返済を軽くしたいという人は多くいることでしょう。しかし、どのような基準で住宅ローンの借り換えを行えば良いのか、わからない人も多いのではないかと思います。
そのような人のため、住宅ローンを借り換えると返済が少なくなる可能性がある目安を紹介します。
その目安は、次のとおりです。
・借り換え後の金利差が1%以上
・住宅ローン残高1000万以上
・返済期間がまだ10年以上残っている
この3つの条件をすべて満たしている場合は、住宅ローンの借り換えを行うことにより、今の返済よりも借り換えしたほうが、返済が楽になる可能性があります。
ただし、これはあくまで目安であり、確実に住宅ローン返済が安くなるとはいえないため、住宅ローンの借り換えを行うときには、ライフプランの専門家にあらかじめ相談するようにしてください。
また、住宅ローンの借り換えを行うことにより、発生するメリットはローン返済が楽になることだけではありません。その他にも、団体信用生命保険の保障を手厚くすることがメリットになります。
既存で加入している団体信用生命保険に三大疾病保障などがついていないときに、借り換えを行う金融機関で三大疾病保障付の団体信用生命保険に加入することができます。借り換えを行うときには、年齢も重ねているため、手厚い内容の団体信用生命保険に加入することはメリットとなります。
ただし、三大疾病などの保障を付与すると、金利が上昇してしまうこともあるため、しっかりと返済シミュレーションを行い、返済額が上昇することと保障が手厚くなることのバランスを見極める必要があります。
住宅ローン借り換えのリスク
住宅ローンを借り換える場合には多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。ここからは、住宅ローンを借り換える場合のデメリットを、各項目ごとに紹介していきます。
住宅ローン借り換えには手数料がかかる
住宅ローンを借り換える場合には、さまざまな諸経費がかかります。そのため、返済額の増減に加え、一時金となる諸経費にもどのくらい支払う必要があるのか確認する必要があります。
住宅ローンを借り換えるために必要な諸経費を表にまとめました。
費用名 | 金額の目安など |
全額繰上返済手数料 | 数千円から数万円くらい |
事務手数料 | 定額の場合:33,000円など 定率の場合:借入金額の2.2%など |
保証料 | 借入金額や返済年数で異なり保証料がかからない金融商品もある |
印紙税 | 借入金額で異なり2万円か6万円が多い |
抵当権設定費用 | 司法書士報酬は10万円程度で登録免許税は借入金額の0.4% |
抵当権抹消費用 | 司法書士報酬は2〜3万円程度で登録免許税は土地・建物1個につき1,000円 |
住宅ローン借り換えには手間がかかる
住宅ローン借り換えを行う場合には、他の銀行の住宅ローンや団体信用生命保険の内容を比較しなくてはならず、比較検討するのに手間がかかります。金利だけを比較することもできず、諸経費や保障内容など総合的な面で比較しなければならず、時間がかかるだけではなく比較が難しいということもあります。
また、住宅ローンの借り換え先を決定したとしても、住宅ローン借り換え先の金融機関の審査や、審査・契約をするときに必要な書類の準備にも手間がかかります。さらに既存住宅ローンの一括返済手続き、抵当権設定・抹消のための司法書士の手配など手間がかかることが多くあります。
住宅ローン控除の対象外になる可能性がある
住宅ローン控除を利用している場合には、住宅ローン控除の対象外になる可能性があることにも注意しなければなりません。住宅ローン控除は、住宅の新築、取得または増改築等のための借入金であることが条件です。そのため、本来は住宅ローンの借り換えを行うと、住宅ローン控除を受けることができなくなります。
しかし、借り換える住宅ローンが既存の住宅ローンの返済のためであることが明らかであることと、借り換える住宅ローンがローン控除を受けるための要件に当てはまることを条件に、引き続き住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除を引き続き利用するときには、まだ注意しないといけないことがあります。注意しなければならないことは、次のとおりです。
・現在の合計年間所得が2,000万円以下であること
・借り換えするローンが返済期間が10年以上の住宅ローンであること
・住宅ローン控除を開始した日は既存の住宅ローンが基準となり期間延長はされないこと
・借り換える時期によっては年末調整に間に合わず再度確定申告をしないといけない場合があること
住宅ローンの借り換えができないケース
住宅ローンを借り換えようとしても、一定条件に当てはまってしまうと新たな住宅ローンを借り入れることができなくなります。新たに住宅ローンが借りられなくなる主な条件を、項目ごとに紹介していきます。
健康状態に問題がある
新たに住宅ローンを借り入れるときに、糖尿病やうつ病が発生してしまったなど健康状態が悪化している場合には団体信用生命保険に加入できないことがあり、団体信用生命保険に加入できないと住宅ローンを借りることができません。
このような場合には、団体信用生命保険の審査が甘くなるワイド団信に加入するか、団体信用生命保険の必要のないフラット35に借り換えることで対応をします。
ただし、保険に入らず住宅ローンを借り入れるのは危険なため、団体信用生命保険に加入せずフラット35で借り入れる場合は、生命保険に加入するなど対策が必要です。
収入が減った
新規で住宅ローンを借り入れするときに、年収が低くなっていると希望の住宅ローン金額が借り入れできないことがあります。もし、年収が下がることがあらかじめわかっている場合には、年収が下がる前に借り換えを行うなどをしておくほうが良いでしょう。ただし、年収が下がっても返済を続けていけることが住宅ローンを借りることができる条件になります。
転職したばかり
転職したばかりで住宅ローンを申し込むと審査に通らないことがあります。どのくらいの年数働いていればいいのかは、金融機関により異なりますが、おおよそ1年間働いていれば審査には通りやすくなります。
もし、転職して1年未満ということであれば、金融機関に対して勤務年数の相談などをあらかじめしておきましょう。
住宅ローンの延滞があった
もし住宅ローンの延滞をして、個人信用情報(いわゆるブラックリストのこと)に登録されてしまっている場合は、住宅ローンに通りません。
しかし、通常1回の延滞では個人信用情報に登録はされないため、3ヶ月前後住宅ローンを滞納していなければ新規で借り入れできる可能性があります。住宅ローンだけではなく、カードローンやクレジットカードなどの延滞も個人信用情報に掲載されるので注意が必要です。
住宅ローン借り換えの流れ
住宅ローンを借り換える場合は、多くの事柄を行わなければならないため、借り換えの流れを把握しておくことが重要です。ここからは、住宅ローンを借り換える流れを解説します。
住宅ローン借り換えの申込
まず住宅ローンを借り換えで行うのが、新規の住宅ローンの仮審査の申し込みです。住宅ローンの仮審査は3営業日前後で審査結果が出ます。
住宅ローン借り換えの審査
住宅ローンの仮審査に通過した後、住宅ローンの本審査に移ります。本審査に必要な時間は金融機関によって異なりますが、おおよそ2週間ほどで結果が出ます。
住宅ローンを借入中の金融機関へ連絡
新たに借りる住宅ローンの本審査が通過した後、既存の借り入れをしている金融機関に連絡をし、既存の住宅ローンを全額返済したい旨を伝えます。金融機関は既存の住宅ローンを返済する準備が必要なため、その間に新規の住宅ローン借り入れをする金融機関と住宅ローンの契約をします。
住宅ローン借り換えの契約
新規で借り入れをする金融機関と、金銭消費貸借契約を締結します。
担当者と面談
銀行担当者、司法書士と面談し新規で借り入れする住宅ローンの実行日を決めていきます。
住宅ローンの借入と完済
返済を受けるローン繰上げ全額返済手続きと、借り入れをする金融機関のローンの実行の日を同日に設定したら、ローンの実行と全額返済を行います。
登記手続き
住宅ローンの借り換えが完了したらすぐに司法書士が法務局へ抵当権抹消と抵当権設定登記を行います。この登記手続きまで完了すると、住宅ローンの借り換えが完了したことになります。
住宅ローン借り換えに失敗しないためのポイント
住宅ローンの借り換えは、返済額のシミュレーションを行ったり、返済するタイミングを図ったりしないといけないなどやっておかないといけないことが多くあります。住宅ローンの借り換えに失敗しないためには、やっておかないといけないことを把握しておく必要があります。
ここからは、住宅ローンの借り換えで失敗しないためにやっておかないといけないことを紹介します。
住宅ローンのシミュレーションを行う
住宅ローンの借り換えをする場合は返済・支払いシミュレーションを行わなければなりません。既存の住宅ローンの返済金利だけではなく、変動金利・固定金利などの金利のタイプの比較、借入期間の比較などのシミュレーションもしておきましょう。
住宅ローン借り換えの手数料を含んで安くなるか判断
返済金額のシミュレーションをし、返済額が安くなったとしても、住宅ローンを借り換えるために必要な諸経費が高く、負担になってしまっては借り換える意味がありません。借り換えるタイミングを決め、その時点の返済金額・諸経費で借り換えるメリットがあるのか、総合的な判断が必要になります。
金利上昇のリスクを把握
今後金利が上昇しそうなのかも検討しておかなければなりません。新たに借入する住宅ローンが、変動金利で金利が安く、既存の住宅ローンが35年返済をしていた場合、返済金額に大きな差が出ることもあります。しかし、金利が上昇することによりその差が埋まってしまう可能性まで見越しておく必要があります。
複数の金融機関に相談する
金利のシミュレーションはサイトでも行うことができますが、それだけでは住宅ローンの借り換えには不十分な情報です。そのため、比較している住宅ローンを取り扱っているすべての金融機関へ相談に行くことが重要です。ネットでは調査することができない内容まで金融機関がアドバイスをしてくれるかもしれません。
住宅ローン借り換えのまとめ
住宅ローンの借り換えは、ローンの返済額を抑えたり、団体信用生命保険の保障を手厚くしたりできるため、利用する人が多くいます。
しかし、住宅ローンを借り換えるには、金利の違いや諸経費の違い、金利タイプの違いなどさまざまな項目を比較しなければなりません。比較する項目を把握したうえで、住宅ローンを借り換えるようにしていきましょう。
住宅ローン借り換えの相談には「住まいの無料相談」を利用しよう
住宅ローンを借り換える場合は、専門家に早めの相談をするべきです。住宅ローンの借り換えは、個人個人の内容によりアドバイスが変わるため、サイトの情報だけで判断するのは危険だからです。
住宅ローンの相談をする場合は、金融機関に問い合わせするのも良いですが、金融の専門家である「住まいの無料相談」に相談するのが良いでしょう。
住宅ローンの借り換えは金融商品の比較だけではなく、借り換える人のライフプランまでかかわってきます。そのため、金融商品の知識もライフプランの知識も兼ね備えたうえに、ファイナンシャルプランナーも多数在籍している「住まいの無料相談」がおすすめです。
「住まいの無料相談」に住宅ローンの借り換えを相談し、自身に合った最適な住宅ローン商品を選択し、豊かな生活をおくることができるような準備を行っていきましょう。
平野 直子
- 所属会社:
- FPオフィスLife&Financial Clinic
- 所属会社のWEBSITE:
- http://www.mylifeplan.net
- 保有資格:
- CFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士、 貸金業務取扱主任者資格、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター2級
- 著書:
- 30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資の仕方
- All about:
- 「夫婦FP・平野泰嗣と直子が応援!ふたりで学ぶマネー術」担当ガイド
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