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家・住宅購入コラム

注文住宅を建築するのに土地購入から始めた場合、いくら諸経費がかかるの?

注文住宅を建築する場合は、ほとんどの人が土地購入もします。当然ながら土地購入をすると、注文住宅の諸経費のほかに土地購入の諸経費も上乗せされます。
 
また、注文住宅の建築費用と、土地購入代金を現金一括で支払うことは難しいため、住宅ローンを借り入れしなければなりません。そうなると住宅ローンの諸経費まで加わります。この3つの諸経費を合計するとどのくらいの金額になるのでしょうか。
 
本記事では、土地購入・注文住宅建築・住宅ローン借入時の諸経費をケースごとに分けて解説し、シミュレーション例による諸経費の金額算出も行います。
 

土地を購入するときに必要な諸経費

 
お金
 
土地を購入する場合には、諸経費が多くかかります。土地を購入するときに必要な諸経費の内訳を図表1にまとめました。
 
図表1 土地を購入するときに必要な諸経費
 

仲介手数料 不動産仲介会社に支払う費用
仲介手数料の計算方法
・売買代金が200万円以下の場合
 仲介手数料=売買代金×5%×1.1%(消費税)
・売買代金が200万円を超え400万円以下の場合
 仲介手数料=売買代金×4%×1.1%(消費税)
・売買代金が400万円を超えたときの場合
 仲介手数料=売買代金×3%×1.1%(消費税)
登記費用 登記を行ったときの費用(所有権移転登記の場合)
・登録免許税+司法書士費用(約5万円)
 登録免許税=固定資産税課税標準額×1.5%
 ※2023年3月31日までの時限措置
印紙税 土地の売買契約書に貼る印紙代
・1,000万〜5,000万円の土地の場合は1万円
 ※2024年3月31日までの軽減措置を適用する場合
 ※売買金額により税額が変動
不動産取得税 土地を購入した際にかかる税金
・土地の固定資産税課税標準額×1/2×3%
 ※2023年3月31日までの軽減措置を適用する場合
 ※新築住宅の軽減措置を受けた場合
4万5,000円もしくは土地1㎡当たりの固定資産税課税標準×1/2×建物課税床面積×2(200㎡まで)×3%のうち大きい方の額を控除可能
固定資産税清算金 売主が支払った固定資産税課税の日割精算
・土地によるため不動産仲介会社に確認要

 

注文住宅を建築に必要な諸経費

 

 
注文住宅を建築する場合も、諸経費が必要になります。注文住宅を建築するときの諸経費の内訳を図表2にまとめました。
 
図表2 注文住宅を建築するときの諸経費
 

地盤補強費 地盤改良が必要と判断された場合に発生する費用
・表層改良で一般的な建物建築の場合おおよそ40万円
 ※地盤調査の結果と建築する建物の大きさや構造によって変動します。
ライフライン引込費用 水道管を引き込んだり、都市ガスを引き込んだりするために必要な費用
・上下水道引き込み工事は80万円前後が相場
・都市ガスの引き込み工事は20万円前後が相場
印紙税 建設工事請負契約書に貼る印紙代
・1,000万〜5,000万円の土地の場合は1万円
 ※2024年3月31日までの軽減措置を適用する場合
 ※売買金額により税額が変動
登記費用 建物の登記に必要な費用
建物表題登記:登記簿の表題部を作成するための登記
・一般的な住宅を新築する場合には、おおよそ10万円
 ※建物や構造により費用は変動
所有権保存登記:所有権を最初に付けるときに必要な登記
・登録免許税+司法書士への報酬(約5万円)
・登録免許税=不動産の価額×0.15%
 ※個人が2024年3月31日までの間に住宅用家屋を新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし自己の居住の用に供した場合の保存登記の場合の軽減措置
不動産取得税 不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)×3%※
 ※2023年3月31日までの時限措置
 ※長期優良認定住宅の場合は-1,300万円
水道負担加入金 水道施設の設備費を一部負担する目的で徴収される費用
・2万円~60万円程度が相場
 ※自治体や水道管の口径などによって金額は大きく変動
地鎮祭費用 建物の建築を開始する前に行う地鎮祭を行うのに必要な費用
・5万円前後

※設計料は本体価格に含まれているケースが多いため諸経費として考慮していません。
※引っ越し費用・家具購入費用は人により大きく変わるため、諸経費として考慮していません。
※仮住まいが必要な人の仮住まい費用は、諸経費として考慮していません。
 

注文住宅の本体価格以外に必要な費用

 

 
注文住宅を建築する場合には、建物の本体価格と諸経費以外にも費用がかかるケースがあります。本体価格と諸経費以外にかかる費用を付帯工事費といいます。
付帯工事費の主な項目は、次のとおりです。
 
・土地に既存建物がある場合の解体工事費用
・造成工事費用
・インテリアや電設関連費用
・エクステリア関連費用
・地盤補強など基礎工事関連費用
 
解体工事、造成工事、基礎補強工事を行う場合は、費用が追加で必要になります。また、インテリアとエクステリアに関しては、必要な費用だと考えておきましょう。なお、工事費用は住宅ローンに組み込むことができますが、インテリア関連(家具や電化製品、カーテンなど)は現金での購入が必要のため、現金を用意しておく必要があります。
 

注文住宅を建築する場合の住宅ローンの組み方

 

 
注文住宅を建築する場合の住宅ローンの組み方は2種類あります。どのような住宅ローンなのか解説します。
 

つなぎ融資

つなぎ融資とは、住宅ローンの融資開始までに必要なお金を、金融機関が一時的に立て替えてくれる融資です。住宅ローンとは別の短期融資になるため、土地の購入諸費用だけでなく、注文住宅建築時の着工金や中間金の支払いにもつなぎ融資を使うことができます。つなぎ融資実行後にはつなぎ融資の利子や諸費用を支払う必要があります。
 
審査は土地先行融資と同様に一括で行われますが、金融機関との契約は土地と建物に分けて行うのが一般的なため、建物の詳細資料がない場合でも審査可能なときがあります。
 
通常の住宅ローンと比べ金利が高いことが多く、2%~4%の金利になります。また、金融機関だけではなく、大手ハウスメーカーがつなぎ融資を行ってくれることがあります。このときのつなぎ融資の諸費用や金利などは、利用するハウスメーカーに確認しましょう。
 

土地先行融資

土地先行融資とは、注文住宅を建てる土地の売買代金と購入費用を建物に先行して受けられる融資です。融資を受け購入した土地に住宅を建築することが融資条件の一つとなっており、土地に抵当権を設定したうえで土地代金の融資が先行して実行されます。建物が完成後、建築代金や建築諸費用の融資を追加する形になります。
 
土地先行融資では土地・建物一括で審査されます。そのため、住宅ローン審査時には土地に関する資料だけでなく、建築する建物プランの資料も同時に揃える必要があります。
 
土地先行融資は、土地に1回、建物に1回の合計2本の住宅ローンになります。そのため、金融機関によっては、住宅ローン関係費用が2本分必要になるケースがあります。
 

住宅ローンを借りる場合に必要な諸経費

 
ローンまとめ
 
注文住宅を建築するのに住宅ローンを利用した場合にも諸経費が必要になります。住宅ローンを利用した場合の諸費用の内訳を図表3にまとめました。
 
図表3 住宅ローンを借りる場合に必要な諸費用
 

ローン保証料 住宅ローンを借り入れする場合の保証料
・返済期間35年借入金額100万円あたりおおよそ2万円
ローン事務手数料 住宅ローン借り入れ時の事務手数料
定額型:3万円~10万円程度
割合型:借入金額の1%~3%程度
 ※借り入れを行う金融機関により異なる
印紙税 住宅ローンを借りる時に締結する金融機関との契約書に貼付
・金額記載のない契約書の場合200円
・1,000万〜5,000万円の土地の場合は2万円
 ※住宅ローン借入金額により税額が変動
 ※住宅ローン借り入れを行うための契約書には軽減措置はない
火災・地震保険料 火災保険・地震保険に加入する保険料
火災保険:15万円~40万円程度
 ※建物の構造や面積、火災保険の補償内容により異なる
地震保険:2万円~4万円程度
 ※建物の構造や耐火か非耐火建築物などにより異なる
登記費用 登記を行ったときの費用(抵当権設定登記の場合)
・登録免許税+司法書士費用(約3万円)
 登録免許税=住宅ローン借入金額×0.1%
 ※2024年3月31日までの時限措置
 ※個人が、住宅用家屋の新築または住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築もしくは取得をするための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の場合の軽減措置

※団体信用生命保険は住宅ローンの金利の中に含まれているケースが多いため、諸経費としては考慮していません。
 

注文住宅を建築する場合の諸費用シミュレーション

 
価格シミュレーション
 
土地購入から注文住宅を建築するまでの諸経費がいくらかかるのかシミュレーションしてみましょう。なお、このシミュレーションは概算です。個々の内容により諸費用は変動します。
 
シミュレーション例
 
・土地購入費用・土地評価額:2,000万円
・注文中住宅建築費用・建物評価額:3,000万円(付帯工事一式含む)
・住宅ローン借入額:4,000万円
 ※1万円未満はすべて切り上げ
 
図表4 シミュレーション例による土地購入諸費用
 

仲介手数料 (2,000万円×3%+6万円)×1.1(消費税)=73万円
登記費用 2,000万円×1.5%+5万円=35万円
印紙税 1万円
不動産取得税 30万円(新築住宅の軽減措置は考慮しない)
固定資産税清算金 10万円

 
シミュレーション例による土地購入の諸経費は合計149万円
 
図表5 シミュレーション例による注文住宅建築諸費用
 

地盤補強費 40万円(表層改良)
ライフライン引込費用 100万円(水道引込、プロパンガスを都市ガスへ変更)
印紙税 1万円
登記費用 表題登記費用:10万円
所有権保存登記:10万円
3,000万円×0.15%+5万円
不動産取得税 (3,000万円-1,200万円)×3%=54万円
※新築住宅の軽減措置は考慮していない計算式
水道負担加入金 50万円
地鎮祭費用 5万円

 
シミュレーション例による注文住宅建築諸経費は合計270万円
※引っ越し費用、家具購入費用は算入していません。
 
図表6 シミュレーション例による住宅ローン借入費用
 

ローン保証料 4000万円÷100万円×2万円=80万円
ローン事務手数料 5万円
印紙税 2万円
火災・地震保険料 40万円
登記費用 4000万円×0.1%+3万円=7万円

 
シミュレーション例による住宅ローン借入費用は合計134万円
 
シミュレーション例による諸経費をすべて合計すると553万円となります。
 

注文住宅を建築したときの諸経費の相場

 
価格相場
 
注文住宅を建築したときの諸経費は土地購入・注文住宅建築・住宅ローン借入費用を合計しておおよそ、土地購入代金+建物建築費合計金額の10%~15%くらいです。
 
シミュレーション例による金額の場合
553万円(諸経費総額)÷5,000万円(土地購入費用+注文住宅建築費用)×100=11%
 
土地の購入や注文住宅建築、住宅ローン借入時の諸経費は条件によって費用が増減します。
また、人によっては親からの援助資金を受け取り、住宅ローンを利用しない場合もあるでしょう。このように、人によって内容が変わってしまうため、諸経費の金額も変わってしまいます。あくまで、目安やシミュレーションは概算のため、諸経費がいくらかかるかは専門家に相談のうえ、諸経費を算出してもらいましょう。
 

注文住宅を建築する場合の諸経費は専門家に相談しましょう!

 

 
土地購入・注文住宅建築・住宅ローン借入時の諸経費について解説しましたが、諸経費の項目が多数あること、課税される税金に軽減など複雑な条件があることを考えると諸経費は専門家に相談をし、確認しておくべきです。
 
諸経費を相談する専門家としては「住まいの無料相談」がおすすめです。「住まいの無料相談」では、専門家であるファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士が多数在籍しているため適切なアドバイスをしてくれます。
 
土地購入代金と注文住宅建築費用、付帯工事費用を合わせただけでも相当な金額になるため、諸経費はできる限り節約しなければなりません。どの部分が節約できるのか専門家に相談し、余裕のある資金計画を立て、土地購入・注文住宅の建築を進めていきましょう。

橋本 敏明

所属会社:
株式会社 大成
所属会社のWEBSITE:
http://zen0801key.wix.com/taisei
保有資格:
ファイナンシャルプランニング技能士 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー 生損保販売員資格

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