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家・住宅購入コラム

21年の首都圏中古戸建住宅の成約棟数

21年の首都圏中古戸建住宅の成約棟数は1万5436棟で、初めて1万5000棟台に達しました。平均成約価格は3451万円で、15年から3000万円を上回って概ね上昇傾向にあります。
地域別でみると、東京都は成約棟数が4944棟であり、過去最高水準となり、平均成約価格が4845万円(前年比7.3%上昇)となりました。神奈川県は成約棟数が初めて4000棟台(4236棟)に達し、平均成約価格が3568万円(同9.4%上昇)となりました。千葉県は成約棟数が初めて3000棟台(3042棟)に達し、平均成約価格が2191万円(同15.2%上昇)となりました。埼玉県は成約棟数が初めて3000棟台(3214棟)に達し、平均成約価格が2343万円(同13.9%上昇)となりました。
中古戸建住宅市場は長期的に低迷していましたが、15年から穏やかな上昇基調が続いており、新型コロナウィルス感染症の影響によってライフスタイルが変化し、戸建て住宅の需要が高まっていることがうかがえます。

この10年間の中古戸建住宅と中古マンションの平均成約価格を比べてみると、価格差が縮小してきており、16年に中古マンション価格(3048万円)が初めて中古戸建住宅(3030万円)を上回り、その後も続いています。21年の中古マンション価格(3869万円)と中古戸建住宅(3451万円)の差は400万円以上あり、中古戸建住宅の割安感が増しています。
また、近年中古住宅への抵抗感も薄れてきているにつれ、リノベーション中古戸建住宅の販売も一般的になり、「中古物件購入+リノベ」というのも有力な選択肢のひとつになって来ています。これに加えて、前述のようにコロナ禍を契機にライフスタイルが変化し、自宅で過ごす時間が増えているため、レイアウトや付帯設備に自由の効く戸建て住宅が注目されるようになっていることが、中古戸建住宅市場が好調になった要因と思われます。

21年の首都圏の中古戸建住宅の在庫量は1万3157棟であり、05年以降3番目の低水準となり、神奈川県は3350棟、千葉県は2886棟、埼玉県は2878棟であり、ともに最低水準となりました。
市場滞留期間をみると、21年の中古戸建住宅は101.2日で、20年より10日間程短縮し、19年(99.3日)の水準です。21年の新築戸建住宅の市場滞留期間も69.6日と、19年(83.1日)と20年(95.3日)より大幅に短縮しました。このように、21年には中古戸建住宅と新築戸建住宅の在庫棟数が激減しているため、今後も需要が強いままで推移すると、価格は引き続き上昇する可能性が高いと予測されます。

近年、住宅の利便性が重視される傾向が依然として強い中、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、テレワークが定着しつつあり、在宅時間が長くなったため、住宅の広さや、周囲の自然環境などの居心地を重視する傾向が顕在化したことが21年の住宅流通市場のひとつの特徴と言えます。
首都圏において、21年の成約量を見ると、中古マンションと中古戸建住宅はともに過去最高水準となりました。平均成約価格を見ると、中古マンションも、中古戸建住宅も上昇傾向にあり、中古住宅市場は全体的に好調でした。中古マンションの成約量は東京都より神奈川県、千葉県、埼玉県の増加率が大きいことや、東京都の転出人口増加等のことから、中古マンション市場も広め住戸のニーズが高まっています。中古戸建住宅の成約量は、利便性を重視した都内だけでなく、多摩や近郊も大幅に増加しました。これらの状況を踏まえると、22年も前述のように住宅ニーズの変化や相対的な割安感を背景に、特に戸建て住宅に対する需要は堅調に推移し、当面は価格の上昇傾向が続くことが見込まれます。
なお、新築マンション市場は、不動産経済研究所の発表によると、22年の新築マンション供給量は3万4000戸の見込みです。マンションの供給は財務体力を有する大手事業者が中心であるため、新型コロナウィルス感染症の影響が長期化し仮に売れ行きが落ちたとしても、大幅な値下げは考えられにくいです。このようにみると、新築マンション価格はしばらく高止まりの状況が続く可能性が高いです。中古マンションの価格は新築マンションとの連動性が高まっていることを踏まえると、22年は局地的に価格調整が見られるかもしれませんが、全体的には現状の高い水準で概ね横ばいで推移すると推察されます。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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