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家・住宅購入コラム

土地先行融資をする際の注意点

マイホームを購入しようとする際、新築戸建て・中古戸建て・マンション・注文住宅と種類も様々です。その中で、注文住宅を購入する際は、まず土地を購入してから、希望の建築業者で建物を建ててもらう必要があります。
住宅ローンを利用する際は、自己資金にもよりますが、土地購入時にローンを組む必要があります。ただし、通常住宅ローンは本人が住む家の購入や建築する際の費用のためのローンなので、土地のみの購入資金としては、ローンを組むことはできません。土地購入後に、本当にマイホームを建てるかわからないからです。そこで利用するのが、土地先行融資です。ここでは、土地先行融資を利用する際の注意点を見ていきます。

 

■金融機関によって、対応が異なる
住宅ローンを申し込む際は、土地のみではなく、建物代金も含めて事前審査を行います。事前審査の際は、土地の資料と共に、建築予定の建物の見積りと間取り図があれば、ほとんどの金融機関で審査が可能です。ただし、正式申し込みの際は、金融機関によって対応が異なります。事前の時の資料のままで大丈夫な場合が多いですが、金融機関によっては、この段階で、工務店との請負契約書の提出を求められることがあります。建築業者やプランが確定していれば問題ありませんが、これから業者を探していこうという場合は、希望する金融機関があれば、事前に確認が必要です。また、金融機関によっては、土地先行融資を扱っていない所もあるので、こちらも事前に確認が必要です。

■建築業者変更のリスク
前述のように、土地代金の融資を受ける際、建築業者が未確定なまま、進めることも多いです。審査自体は、建築予定の業者の見積りと間取り図があれば可能ですが、今後、業者が変更になった場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか?ローンの審査項目の中には、建築業者の情報も含まれますので、まれに業者を変更したことによって、融資が受けられなくなる可能性もあります。それを避けるためには、候補の業者が決まったら、請負契約を結ぶ前に、見積書と間取り図を再度銀行に提出し、再審査をしてもらうことが必要です。また、業者の変更によって、金額の増減も出てきます。建物代金が当初よりも上がってしまった場合、基本的には自己資金で対応することになります。どうしても不足する場合は、増額の再審査ができるか、金融機関に相談してみましょう。建物代金が当初よりも下がった場合、基本的には、その分融資額も減額となります。あくまで自己資金の負担額に変更はありません。例えば、当初建物代金が3000万円で、融資額を2500万円としていた場合、自己資金は500万円です。変更後に建物代金が200万円下がり、2800万円になった場合、融資額も200万円減額の2300万円となり、自己資金の500万円は変更しないというのが、基本的な考え方になります。

■土地先行融資とつなぎの違い
土地先行融資では、土地代金の融資を実行した時点で、その分の返済が開始します。金利も住宅ローンの金利が適用になるので、つなぎと比べると低くなります。返済は開始しますが、現在の家賃とダブルになり、返済が厳しいという方に対しては、建物完成までの最長1年間、元金は据え置き、利息のみの支払いを選択することもできます。ただし、その間元金は減らないので、通常より多く利息を支払うことになります。
つなぎは建物完成までの間、土地代金や建物の中間金として融資を受け、その間利息のみの支払いをし、建物実行時に全て完済します。住宅ローンの金利に比べて高くなります。フラット35などでは、こちらを利用することになります。

■土地実行から建物完成までの期間
この期間の考え方も、金融機関によって異なります。基本的には、住宅ローンは、土地を購入してから1年以内に建物を建てるという前提があります。ですので、初めから1年を超える計画の場合、審査を受け付けてくれない所や、1年を超える場合は相談して下さいという所、厳しいところだと再審査になりますという所もあります。「建物の着工は土地ローンの実行から12ヶ月以内に行うこと」「建物の竣工は土地ローンの実行から24ヶ月以内に行うこと」と謳っている金融機関もあります。完成まで長期的に考えている場合は、事前に金融機関に確認してみてください。

■抵当権の設定方法
金融機関によって、抵当権の設定方法も異なります。多くは、土地代金の融資時には、土地分のみを設定し、建物代金の融資時に新たに建物分を設定します。中には、土地代金の融資時に、建物分まで含めて設定する金融機関もあります。
設定するタイミングによって税率が異なり、建物完成時であれば、本来であれば、設定額×0.4%かかるものが、軽減措置(適用期限:令和6年3月31日まで)が適用になり、0.1%となります。ですので、分けて設定する金融機関であれば、土地分は0.4%、建物分は0.1%が適用になりますが、土地代金の融資時に建物分まで含めて設定する場合は、全体に対して0.4%となります。ただし、その分、住宅ローンを1本として見ているため、銀行に係る融資手数料が1本分で済む等ありますので、銀行に係る費用の違いも事前に確認された方がいいでしょう。

■住宅ローン控除は受けられる?
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを新築、取得、または増改築等をした際に受けられる制度なので、土地を購入しただけでは、住宅ローン控除は受けられません。ただし、「土地取得から2年以内にその土地の上に住宅ローン付きで住宅を新築した場合」は、土地代金のローンも含めて、住宅ローン控除の対象となります。2年を超えて建物が完成した場合、土地購入時のローンは対象外となる可能性があります。また、繰り上げ返済を行う際、建物分のローンを先に完済してしまうと、全体に対して住宅ローン控除対象外になってしまうので、注意が必要です。

 

□まとめ
土地先行融資は、審査基準や対応方法も金融機関によって様々です。注文住宅を建てる際は、特に金利の低さのみにとらわれず、ご自身の建築計画をよく考えた上で、金融機関を検討してみてください。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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