Column

家・住宅購入コラム

23年第1四半期版地価LOOKレポート

国土交通省は6月16日、23年第1四半期版(23年4月1日時点)の「地価LOOKレポート」を公表しました。それによると、主要都市の高度利用地等(全国80地区)における23年第1四半期(23年1月1日~23年4月1日)の地価動向は、ウィズコロナの下でマンション需要の堅調さに加え、店舗需要の回復が進んだため、すべての地区において上昇または横ばいとなりました。下落地区は前期に続いてゼロとなると共に、住宅地では23地区すべてで上昇が継続しました。
変動率区分は75地区で不変、4地区で上方に、1地区で下方に移行しました。内訳を見ると、住宅地(23地区)は、マンション需要に引き続き堅調さが認められたことを受け、4期連続で全地区が上昇となりました。福岡市の大濠地区では、土地価格の上昇が続く中、分譲マンションの販売実績が好調なことからマンション素地を中心に取引価格の上昇傾向が続き、前期の「3~6%上昇」から今期は「6%以上上昇」が見られるのは19年第4四半期以来です。
商業地(57地区)では、人流の回復傾向を受け、店舗需要の回復が見られたことなどから、上昇傾向が継続。上昇が50地t区(前期比2地区増)、横ばいが7地区(同2地区減)となりました。前期の「0~3%上昇」から「3~6%上昇」に移行したのが京都市の京都駅周辺地区です。国内外の観光客の増加傾向が継続しホテルの宿泊単価や稼働率が回復し、オフィスや店舗の賃料が高値安定で推移すると共に、各種再開発事業への期待感から投資物件の取得需要は堅調で、取引利回りが低下したことから取引価格も上昇し、今期は上方に移行したといいます。
また、今回、唯一下方に移行したのが東京都中野区の中野駅周辺地区(商業地)です。複数の大規模再開発事業の進展により店舗賃料やオフィス賃料は安定的に推移していますが、今期は賃料の安定化の動きから取引利回りの低下の動きがやや弱まり、前々期の上昇区分に戻りました。ただ、同省では「上昇の勢いはやや緩んでいるものの上昇は保っている」とし、堅調との受け止めを示しました。
なお、同省では、圏域別で上昇地区が73(前期比2地区増)となり、全体の91%(同2%増)を占めていることから、「コロナ禍からの回復は地方圏にも一層広がっている」と分析しました。
三大都市圏の中で横ばいとなったのは東京圏の5地区で、いずれもオフィス系です。特に都心中心部の丸の内、有楽町・日比谷、六本木、品川の4地区について同省は、「新築ビルの竣工によるオフィスの新規供給が続いている中、事業の統廃合などにより解約も一部見られるなど、賃料が若干弱含みの状況で推移。他方、投資意欲については旺盛で、取引利回りは若干低下傾向で推移しているため、トータルでは横ばいの評価」と説明しました。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

おすすめ記事

営業電は0!住宅購入のプロに相談しよう

×

ページの一番上へ