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家・住宅購入コラム

2023年路線価

国税庁は7月3日、相続税、贈与税に係る土地等の評価額の基準となる路線価(23年1月1日時点)を発表しました。それによると、対前年変動率の全国平均は1.5%上昇となり、2年連続で上昇しました。今回、最高路線価が上昇した都道府県庁所在都市は29都市(前年比14増)で、横ばいは13都市(同3減)、下落は4都市(同12減)。ウィズコロナの下で都市部を中心とした上昇の継続及び地方部での上昇範囲の拡大など、コロナ前への回復が進んでいることが見て取れる結果となりました。
路線価額の最高は東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鴨井堂前)で1平米当たり4272万円(前年比1.1%上昇)。3年ぶりに上昇に転じると共に、38年連続の最高価額となりました。また、2位は大阪市北区角田町御堂筋の同1920万円(同1.3%上昇)、3位は横浜市西区南幸1丁目横浜駅西口バスターミナル前通りの同1680万円(同1.4%上昇)となり、上位12位までは前年と同じ順位でした。
都道府県庁所在都市の中で最も上昇率が高かったのは、岡山県北区本町市役所筋で前年比9.3%上昇(1平米当たり164万円)。これは杜の街等再開発の具体化による中心商業地の充実や商業集積による繁華性向上への期待などが上昇要因と見られます。続いて、新幹線延伸への期待や再開発が進む札幌市中央区北5条西3丁目札幌停車場線通りの同8.4%上昇(同668万円)、オフィス期待や再開発が進むさいたま市大宮区桜木町2丁目大宮駅西口駅前ロータリーの同8.0%上昇(同475万円)など5都市が上昇率5%以上となりました。複数都市が5%以上の上昇を示したのはコロナ前の20年路線価以来となりました。
他方、下落率が最も大きかったのは鳥取県栄町若桜街道通りの同3.0%下落(同9.7万円)。前年から下落率が縮小したものの、今期も下落が続いています。なお、コロナ禍の影響で昨年最下位だった神戸市中央区三宮町1丁目三宮センター街は同2.0%上昇(同500万円)と上昇に転じ、対前年変動率の順位は19位になりました。

都道府県別の動向を見ると、対前年変動率の全国平均値は1.5%上昇(前年比1.0ポイント増)で、2年連続の上昇となりました。
都道府県別の平均変動率については、「上昇」が25都道府県(前年比5増)、「下落」が20県(同7減)、「横ばい」が2県(同2増)でした。上昇率が全国で最も高かったのは、北海道の6.8%上昇(前年比2.8ポイント増)で、上昇率が5%以上となったのはコロナの影響前である20年路線価(沖縄県10.5%上昇、東京都5.0%上昇)以来です。
国税庁では「路線価の変動要因などについて分析、コメントする立場にはない」としたうえで、23年の地価公示の価額と均衡を図っている点を指摘し、「ウィズコロナの下で景気が緩やかに持ち直している中、都市部を中心に上昇が継続すると共に、地方においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著と評価した地価公示(23年3月22日、国土交通省公表)と同様の理由ではないか」と説明しました。

 

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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