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家・住宅購入コラム

住宅ローン控除を解説 条件は? いつまで?

住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金特別控除」といい、ローンを組んで住宅を購入した際の優遇制度です。
個人が住宅を新築したり、新築または中古の住宅を購入したり、現在住んでいる住宅の増築や改築をした際に、金融機関などから返済期間10年以上の融資を受けて取得した場合に受けられます。
 
金融機関は、銀行、信用金庫などの民間金融機関のほか、フラット35などの公的機関も含まれます。
所定の手続きをとれば、一定の期間にわたり、居住の用に供した年に応じて、所定の額が所得税から控除されます。
 
2022年の税制改正により、制度の延長や内容の改定が行われました。
本記事では、制度の条件などの確認をしていきます。
 

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住宅ローン控除とは。主な条件について

 

 
まず概要として、主な内容、条件をあげていきます。
2022年の税制改正によって、適用期間が2025年の入居までに延長されました。
 
また、最大控除額が年末ローン残高の0.7%までになりました。
控除期間は新築が13年、中古およびリフォームが10年。
 
住宅の種類によって限度額・控除額の上限に違いがあります。
対象者の合計所得額が年間2,000万円以下です。
 

住宅ローン控除の適用条件・新築

 

 
新築の場合の住宅ローン控除を受ける条件について、具体的にみていきましょう。
次のすべての条件を満たす必要があります。
 

・控除申請者自ら居住する住宅であること

 
当然のことですが、居住者以外は適用されません。自分の名義でローンを借り入れ、自分で返済し、自分の所有の家に、自分で住んでいることが条件です。
具体的には、住民票が居住する住宅の所在地と一致していることです。
 

・住宅ローンの借入期間が10年以上であること

 
対象になるのは金融機関などから借り入れた住宅ローンです。銀行ローンのほか、独立行政法人住宅金融支援機構のフラット35などです。ただし、給与所得者が勤務先から住宅取得用としての借入をした場合または住宅代金の債務は対象になります。その場合、無利子や年利1%未満の借り入れや会社役員が会社から借り入れるものでは対象になりません。独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者など、取得先への債務は対象になります。
 
また、注文住宅の建築のために土地を取得していたり、分譲住宅のように土地が一体となっている場合は、取得した土地についての借入金であれば対象になります。
いずれにしても借り入れ期間が10年以上であることが条件です。
 

・住宅取得の日から6ヶ月以内に入居していること

 
住宅の引き渡しから6ヶ月以内の入居ですが、身体は移動していても住民票の移動をしていないと公的に入居したとは明言できないため注意してください。
ただし、災害など本人の責に帰することのできない、やむをえない事情がある場合は認められることがあります。
 

・控除を受ける年の12月31日まで引き続いて居住を続けていること

 
途中で引っ越してしまった年は受けることができません。
初年度以降は、控除を受けようとする年の年初から引き続いて12月31日まで居住を続けている必要があります。
 

・控除を受けようとする年の合計所得金額が2,000万円以下であること

 
合計所得金額は、給与所得や事業所得だけでなく不動産収入や副業で得た収入などを原則含みます。また、退職金がある場合も含まれる場合があります。
 

・床面積が50㎡以上であること

 
例外として、合計所得金額が1,000万円以下の人で、2023年12月末までに建築確認を受けた新築住宅なら40㎡まで適用になります。
40㎡というと約12坪なので、単身者向けなどほとんどのマンションが適用内に入りますので、かなり条件が緩和され使いやすくなったといえます。
 

・床面積の2分の1以上が居住用であること

 
店舗付きの場合など兼用住宅は、登記されている床面積の半分以上が居住用であることが求められます。
 

中古住宅の場合

 

 
中古住宅取得のケースでも、基本的な条件は新築と同じです。
上記の条件に加えて、以下の確認が必要です。
 

・1982(昭和57)年以降に建築された住宅であること

 
新耐震基準適合住宅の意味合いです。 2022年の現在から見ると築40年以内ということになりますので、かなり間口は広いといえます。
 

・それ以前でも耐震性を確保している証明書があれば適用

 
1981年以前に建築確認を受けていても、以下のような耐震性を確保している証明書があれば大丈夫です。
 
1. 耐震基準適合証明書
2. 既存住宅性能評価書
3. 既存住宅売買瑕疵(かし)保険付き証明書
 
どれかひとつでもあれば適用されます。
 

増改築・リフォームの場合

 

 
増改築やリフォームのケースでも、基本的な条件は新築と同じです。
上記の条件に加えて、以下の確認が必要です。
 

・工事費が100万円以上であること

 
工事にかかる費用の全額ですが、補助金などを受けた場合は除きます。
 

・工事内容が以下のいずれかに該当すること

 
1. 耐震改修
2. バリアフリー改修
3. 省エネ改修
4. 3世代同居改修
5. 長期優良住宅化リフォーム(耐震、省エネ、耐久性など)
 

住宅の種類などによる要件は

 

 
新築か中古かというカテゴリーだけでなく、住宅の種類や性能などによって細分化され、受けられる最大控除が変わることになりました。
 
控除率は0.7%と以前より下がりましたが、借り入れ限度額と年間最大控除額は新築物件と中古物件で違いがあり、優良認定を受けた住宅なのか省エネ系の基準に適合した住宅なのか、などの住宅の種類や性能によっても異なります。
 
新築のケースでは入居年によって借り入れ限度額(それに伴う年間最大控除額)に違いがあります。
控除期間は新築・買取再販住宅は最大13年間、中古住宅およびリフォームは10年間となります。
 
なお、ここでいう借り入れ限度額は、控除率0.7%が適用される上限であり、金融機関から借り入れが可能な上限ではありません。
 

・取得する住宅の種類・性能や入居時期などによるまとめ

 

新築or中古 住宅の種類・性能 2022年・2023年に入居 2024年・2025年に入居 控除期間
借り入れ
限度額
最大控除額/年 借り入れ
限度額
最大控除額/年
新築
または
買取再販
長期優良住宅
低炭素住宅
5,000万 35万 4,500万 31.5万 13年
ZEH水準
省エネ住宅
4,500万 31.5万 4,000万 28万
省エネ基準
適合住宅
4,000万 28万 3,500万 24.5万
その他の住宅 3,000万 21万 -* -*
中古住宅
リフォーム
長期優良住宅
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万 21万 3,000万 21万 10年
その他の住宅 2,000万 14万 2,000万 14万

 
*2023年までに建築確認が下りた住宅を取得する場合は借り入れ限度額2,000万円、最大控除額14万円です。
ただし控除期間は10年に縮小されます。
 

・実際に受けられる控除額について

 
取得する住宅の種類・性能や入居時期などによる違いについては上記の表のとおりです。
住宅の種類・性能では長期優良住宅や低炭素住宅という環境性能が高い住宅が最も優遇される仕組みです。
 
入居の時期は2024年・2025年に入居するより2022年・2023年に入居するほうが優遇されています。
しかし、誰でも年間最大控除額が受けられるわけではありません。
 
たとえば、長期優良住宅や低炭素住宅という環境性能が高い住宅を、5,000万円以上の借り入れをしたとしても、対象者の支払っている所得税が35万円を下回っていれば、支払った所得税額が控除額の上限になります。
 
しかし、所得税から控除しきれなかった残りの控除額ぶんは、翌年の住民税から控除される仕組みがあります。
この場合、最大で9万7,500円までです。
 

・控除額は年末残高と所得税額に対応して決まる

 
新築なら13年間、中古・リフォームでは10年間にわたって減税が受けられるわけですが、毎年のローン残高と支払った所得税によって左右されます。
住宅の取得後、ローンの支払いがスタートしますので、年数が経つに従ってローンの残高は減ることはあっても増えることはありません。
 
控除率が適用される対象のローン借入額=年末時点での残高は年々減っていくことになります。また、適用期間内に繰り上げ返済をして残高が大きく減ることもありえます。
繰り上げ返済をすれば残高が減るため、控除率が適用される対象のローン借入額の残高が減ってしまうことになりますが、かといって支払うはずだった利息分は払わなくて済みます。繰り上げ返済にかかる手数料なども含めて、どちらが得になるかは個別のケースで計算しないとわかりません。
 
ただ、支払う所得税は勤務年数などによって上がっていく傾向があります。
どちらか少ない額のほうが上限となります。
年末時点での残高証明書は借り入れしている金融機関から届きます。
 

住宅ローン控除を受けるには

 

 
住宅ローン控除を受けるには、家を買って入居した翌年の3月15日までの確定申告で申請が必要です。
必要事項を記載した確定申告書のほか、不動産や建物の売買または請負契約書、マイナンバーなど本人確認書類など、取得した住宅の種類や性能などによって提出書類も変わってきます。
 
少々煩雑な作業になりますが、給与取得者の場合は、この最初の年の初回申請を行えば、2年目以降は勤務先の年末調整のみでそのまま控除を続行することができます。
 
この際には税務署から送付される「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を勤務先に提出します。
 

【2022年】住宅ローン控除について気になるQ&A

 

 

住宅ローン控除はこの先も使えますか?

 
2025年入居までは使えます。しかし住宅ローン控除はあくまでも住宅取得を促進するための時限措置です。2022年の税制改正によって、2025年入居までは使えることになりましたが、2023年入居までの条件のほうが優遇されています。たしかに今まで延長を繰り返してきていることは事実ですが、2026年以降は使えるかどうかわかりません。現時点では使えないことになります。
 

実際に戻ってくる金額がわかりません

 
借り入れ限度額や年間最大控除額が示されているだけなので、あとは個別に計算するしかありません。自分の支払っている所得税額とローン残高から0.7%で計算した額のどちらか少ないほうの金額になります。初年度以降の減税額についてはローン残高の推移と所得税額の変動によって変わりますので、毎年同じ金額にはならないでしょう。
 
個別のご相談については、住まいの無料相談で受け付けています。
 

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金綱 利幸

所属会社:
株式会社リアルテクト
所属会社のWEBSITE:
http://realtect.co.jp/
保有資格:
AFP(日本FP協会認定) 宅地建物取引士

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