20年上半期の中古戸建の成約戸数
20年上半期の首都圏中古戸建住宅の成約戸数は5973戸で、15年から上半期と下半期は共に6000戸を上回って推移していましたが、今期は10期(5年)ぶりに5000戸台に転じました。平均成約価格は2955万円で、16年から上半期と下半期は共に3000万円を上回って推移していましたが、今期は8期(4年)ぶりに2000万円台に転じました。
しかし、足元の市場動向を見ると、7月の成約戸数は1186戸で、前年同期より2.4%も増加し、平均成約価格も3102万円に回復しました。従って、今期の成約戸数と平均成約価格の低下は新型コロナウィルス感染症の影響による一時的な低下であり、中古戸建て住宅市場は依然として堅調であると判断しています。
地域別で見ると、東京都は成約戸数が1791戸であり、前年同期の最高水準より大幅に減少し、平均成約価格が4223万円となりました。神奈川県は成約戸数が1673戸で、10期(5年)ぶりに1700戸を下回ることになり、平均成約価格が3178万円となりました。千葉県は成約戸数が1264戸で、前年同期(1430戸)より減少しましたが、平均成約価格が1865万円で、前年同期より3.1%上昇し、唯一価格上昇した地域です。埼玉県は成約戸数が1245戸、平均成約価格が1959万円です。
この10年間の中古戸建て住宅と中古マンションの平均成約価格を比べてみると、中古マンション価格は大幅に上昇しているのに対して、中古戸建住宅は07年から09年まで3年連続低下していましたが、その後はおおむね横ばいで推移し、今年に入ってから再び低下となりました。中古戸建て住宅と中古マンションとの価格差が縮小してきており、16年に中古マンション価格(3048万円)が初めて中古戸建て住宅(3030万円)を上回りました。20年上半期の中古マンション価格(3462万円)と中古戸建て住宅(2955万円)の差は507万円とさらに拡大しており、中古戸建住宅の割安感が増しています。
また、新築マンションと建売住宅の平均成約価格を比べてみると、新築マンション価格の上昇により、12年以降から建売住宅の平均価格との価格差が拡大しており、17年は1075万円まで拡大しましたが、18年はやや縮小して703万円、19年は850万円の差が見られました。20年3月に不動産経済研究所が建売住宅の調査を中止したため、価格比較はできませんが、20年上半期の新築マンションの平均成約価格は6668万円で、ヒアリング調査によると、価格差が更に大きくなりました。従って、新築住宅市場においても建売住宅の割安感が増しています。
これに加え、オープンハウスの「コロナ禍を受けた住宅意識調査」の調査結果によると、多様なニーズが求められている中、レイアウトや付帯設備に自由の効く戸建住宅が魅力的であると、約半数以上の回答者が回答しました。ニューノーマル時代に向けて在宅時間が増加し、豊かな自然環境を求めることにより、戸建て住宅の需要が増加すると予想されます。
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熊谷で働く不動産屋のブログ
日向 弘薫
- 所属会社:
- 株式会社 末広不動産
- 所属会社のWEBSITE:
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- 保有資格:
- AFP(日本FP協会認定)、モーゲージプランナー 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、 NPO法人相続アドバイザー協議会会員
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