社会資本整備審議会住宅宅地分科会
国土交通省は11月13日、有識者会議となる「第57回社会資本整備審議会住宅宅地分科会」を開催しました。住生活基本計画に基づく主な施策として、①住宅セーフティネット制度、②マンションの長寿命化・再生円滑化、③住宅団地の再生―など、少子化による人口減社会、高齢化社会によって引き起こされている住宅の諸課題について議論しました。人口減に対応し、国交省では、マンション、住宅団地の建て替えに際しては、住宅の規模拡張型とは異なる建て替えのあり方、他業態へのリノベーション、解体に向けた促進策を検討していきます。
少子高齢化が進む中、高齢世帯は増え続け、特に単身の高齢世帯については、2030年には約800万世帯に迫る見通しです。単身高齢世帯など住宅確保要配慮者(要配慮者)への賃貸住宅の供給が必要となっていますが、一方で貸主側は認知症発生時のトラブルや孤独死した際の清掃や残置物等のリスクを恐れて入居を拒むケースが多く、供給量の確保が課題となっています。要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度として、住宅セーフティネット制度が17年に施行。居住支援法人の指定件数は9月末に741件に達したものの、貸主側の高齢者に対する入居拒否感はいまだ強く、居住支援法人の5割超が赤字で、受け入れを図るために設けられた残置物の処理等に関するモデル契約条項、終身建物賃貸借事業の認知度や利用は低い状況です。そのため分科会では、委員からは「サブリースの活用なども含め、孤独死した際に発生する負担を軽減する貸主が安心して利用できる仕組みづくりが大事」などの声が挙がりました。
また建物についても老いが急速に進んでいます。22年末に国内では築40年以上のマンションが約125.7万戸存在しますが、それが10年後には約2.1倍の260.8万戸、20年後には約3.5倍の445万戸に達すると見られています。こうした高経年マンションについては、区分所有者の高齢化、空き住戸化が進む中で、必要な修繕ができないケースが生まれています。そこで国交省では、現在、適切な修繕積立金の確保ができる積立方式のあり方などを検討します。また建替えに際しては、現行、建て替え後の住戸面積基準が原則50平米以上必要で、これが成約となって建て替えが出来ないケースも生まれているので、住戸面積基準の引き下げや撤廃を検討しています。
「人口減社会に対応した建て替えのあり方を」との委員側からの指摘に呼応する形で、国交省住宅局は「建て替えはそもそも敷居が高いので、まずはマンションの長寿命化を図ります。それでも難しいというときに検討する建て替えについては、大型の建て替えで面積を確保するというのが大手ディベロッパー主導の開発で、採算性から事業を推進しやすく、現在では主流の方式ですが、人口減の中、今後は立地等を加味するとそうできないケースがでてくる。多様な建て替え手法を検討してきたい。更に、建て替えによらず一棟丸ごとリノベーションしたり、解体を促進する取り組みも検討している」と語りました。
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徳本 友一郎
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- CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
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- 初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント
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