マンション老朽化等への対応
国土交通省は、マンションの老朽化等に関する具体的な基準作りについて検討を開始しました。20年6月に改正された「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(マンション建替え円滑化法)で拡充された除却の必要性に係る認定基準について議論します。有識者検討会を設置し、5月13日に初会合をオンラインで開催。8月中の認定基準案のとりまとめを目指します。
現行の耐震性不足のマンションに加え、新たに要除却認定の対象に追加されたのは、①外壁の剥落等により危害を生じる恐れがあるマンション等、②バリアフリー性能が確保されていないマンション等。5分の4以上の合意によるマンション敷地売却や、建て替え時の容積率緩和特例などの対象となります。初会合では外壁剥落については「鉄筋に沿った浮き・ひび割れ等が一定程度以上発生し、剥落の危険性が高いもの」といった基準概要が示されました。
マンション管理適正化法およびマンション建替え円滑化法の改正が行われた背景には、今後、老朽化や管理組合の担い手不足が顕著な高経年マンションの急増という懸念があります。築40年超のマンションは19年末時点の92万戸から20年後には4倍以上の385万戸となる推計もあり、維持管理の適正化や維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取り組みの強化は喫緊の課題です。
このうち後者のマンション建替え円滑化法の改正においては、除却の必要性に係る認定対象を拡充(21年12月施行予定)するとともに、団地型マンションの再生に係る合意形成を図りやすくするため、団地における敷地分割制度を創設します(22年4月施行予定)。
この具体的な要除却認定基準を定めるのが同検討会のミッションです。初会合では、事務局から要除却認定基準案の基本的な考え方として、「生命・身体への危険性がある」または「住宅の基本的条件である生活インフラが不十分」なマンションのうち、簡易な修繕で改善することが困難であり、除却することも合理的な選択肢の一つとして考えられるものを対象とすると説明。マンション敷地売却事業および容積率緩和特例の対象となる「外壁剥落」と「火災安全性」、容積率緩和特例の対象となる「配管設備腐食」と「バリアフリー」の4分野について、それぞれ基準概要の説明が行われました。
委員からは、違法建築物と既存不適格物件の線引きや、基準判定を行う技術者の対象資格などについて質問が挙がりました。また、将来的な視点から「外壁剥落等における地域的要因の考慮」や「階高が低いマンションストックの価値創出」などの課題も指摘されました。「外壁改修など適切な維持管理をしてきたことによって、かえって容積率緩和特例の対象外となるのではないか」などの意見もあり、既存ストックの維持管理および建て替えという選択肢の間で拾い上げていくべき課題の検討も求められます。
平野 直子
- 所属会社:
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- CFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士、 貸金業務取扱主任者資格、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター2級
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- 30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資の仕方
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- 「夫婦FP・平野泰嗣と直子が応援!ふたりで学ぶマネー術」担当ガイド
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