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売買IT重説の社会実験

個人を含む売買取引における「IT重説」の社会実験の開始から1年が経過しました・不動産の電子化取引の促進を目的に、19年10月から大手仲介会社を含む59社でスタートしたものです。当初実施期間は1年程度と想定されていましたが、コロナ禍の感染対策が求められる状況を鑑みて、継続実施が決定しました。登録事業者も780社(20年10月5日時点)と大きく増加しました。本格運用に向けた手ごたえと課題は何かを考えていきます。

 

IT重説とは、宅建業法第35条に基づき宅建士が行う重要事項説明を、テレビ会議等のITを活用して行うものです。賃貸取引では社会実験を経て、17年10月から本格運用を開始しています。「遠隔地の顧客の移動・費用等の負担軽減」「来店困難時でも本人への対応可能」といったメリットを強みに、賃貸現場での活用が進んできました。更にIT重説に用いるデジタル書面に関する社会実験も19年10〜12月に実施しました。今年9月には具体的なトラブル事例などを踏まえた“継続実施”として再開されています。

19年10月スタートの売買取引の社会実験では、対象物件の制限を設けず、情報ツールとしてテレビ会議等を活用しました。宅建士、説明の相手方および売主に対するアンケート調査等の結果に基づき、検討会で検証する流れです。登録事業者には、社会実験の実施前後および実施中の段階で“責務”が発生します。例えば「実施前」では、説明の相手方、売主への同意の取得をはじめ、IT環境の確認、重要事項説明書等の事前送付などです。国土交通省のガイドラインによると、賃貸取引では、事前送付の段階で資料の印付けなどコミュニケーションが円滑に進むための工夫を推奨しています。

 

国交省では、現在、9月末時点のじっしけいかを取りまとめ中です。具体的な実施件数や傾向については今後の検証が待たれますが、3月の有識者検討会で報告された実施状況(2月25日時点)では登録事業者59社のうち実績があったのは5社でした。実施件数は合計143件で、139件が投資用物件でした。買主の9割弱は「物件の内覧を行っていない」と回答した一方、居住用物件(4件)に関してはすべて内覧を実施しています。売買のIT重説では投資用での活用がまずは注目されました。
そんな中、コロナ禍による日対面ニーズへの変容が迫られる事態となりましたが、国交省は、「この1年間、大きなトラブル等の報告はなく順調に実験が進んでいる。コロナ禍以降、登録事業者が飛躍的に増加している状況も踏まえ、継続実験と併行して有識者会議を開き、本格運用に向けた検討を進める」としています。

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