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家・住宅購入コラム

【2022年版】新築戸建を建築するときの補助制度を徹底解説!

住宅を建築するときには、建物建築費だけではなく外構費用や建築諸経費がかかり、土地を購入する場合は土地の関係費用がかかるなど、出費が多くなります。そのため、住宅関連の出費を軽くするための制度を利用していくことが重要です。
 
2022年現在、新築住宅を建築するときに受けられる主な補助制度は、地域型住宅グリーン事業、こどもみらい住宅支援、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業の3制度が実施されています。
 
この各制度は、制度ごとに内容がまったく違っており、補助を受けるための条件、補助金額も異なっています。そのため、各制度につき内容を把握したうえで、どの補助を受けるのかを検討しなければなりません。
 
本記事では、どの補助制度を利用するか検討できるよう、地域型住宅グリーン事業、こどもみらい住宅支援、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業の3制度の詳細や、手続き方法などを解説していきます。
 

住宅の建築価格は上昇傾向にある

 

 
近年の住宅建築価格は、ウッドショックやアイアンショックのため、年々上昇してきています。
 
住宅金融支援機構「2020年度フラット35利用者調査」によると、2020年度の注文住宅の所要資金は全国平均3,534万円でしたが、注文住宅の所要資金は2014年度以降7年連続で上昇
したという結果でした。
 
注文住宅の所要資金が上昇することにより、自己資金を多く用意しなければならない、住宅ローンをより多く借り入れしないといけないということになります。その負担を軽くするために、国の補助制度を利用し、建築するために必要な費用を抑えていくことが重要です。
 

地域型住宅グリーン化事業とは

 

 
ここからは、補助制度の内容について紹介していきます。1つ目の補助制度は「地域型住宅グリーン化事業」です。
 
地域型住宅グリーン化事業とは、地域の林業、建築、プレカットなどを生業としている会社が加盟したグループにより、省エネ性や耐久性に優れた木造住宅を普及することを目的とした補助制度です。平成27年度より開始しており、毎年度予算が組まれ、年度ごとに地域型住宅グリーン化事業制度の利用者を募っています。
 

地域型住宅グリーン化事業の補助額

 
地域型住宅グリーン化事業により補助が受けられる建物のタイプは3種類あり、それぞれで補助金額が違います。
 

対象となる住宅のタイプ 補助額上限
認定長期優良住宅 110万円~140万円
高度省エネ型
(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅)
70万円~90万円
ゼロ・エネルギー住宅 125万円~150万円

 
また、建物の補助に加え一定条件を満たすことにより、地域材加算(20万円)、三世代同居加算(30万円)、若者・子育て世帯加算(30万円)などの追加補助を受けることができます。
 
なお、地域型住宅グリーン化事業の補助対象者は、この制度を利用するグループ(林業、建築、プレカットなどの会社)のため、建物の施主が補助金を受け取るためには、グループからの還元を受けることにより補助されるという仕組みになっています。
 

地域型住宅グリーン化事業の適用条件

 
地域型住宅グリーン化事業の補助を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
 
・建物の主要構造部が木造であること
・地域型住宅グリーン化事業に登録されたグループの構成員である中小住宅生産者などにより、供給される住宅の新築であること
 ただし、ゼロ・エネルギー住宅型においては、一戸建ての新築が対象
・長寿命型、ゼロ・エネルギー住宅型、高度省エネ型は地域型住宅グリーン化事業に登録されたという通知を受けた日付け以降に着工すること
・主要構造部に用いる木材は、登録されたグループが定める地域材を積極的に使用すること
 
上記の条件を満たしたうえで、次の建物ごとの要件を満たす必要があります。
 

認定長期優良住宅

 
長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づき、認定を受けた「認定長期優良住宅」であり、かつ外皮性能および一次エネルギー消費量が ZEH水準であることが認定書で確認できる住宅であること。
 

高度省エネ型

 
都市の低炭素化の促進に関する法律に認定を受けた「認定低炭素住宅」であり、かつ外皮性能および一次エネルギー消費量がZEH水準であることが認定書で確認できる住宅であること。
 

ゼロ・エネルギー住宅

 
外皮の断熱性能などの大幅な向上、高効率な設備システムの導入、再生可能エネルギーなどにより、年間の一次エネルギー消費量の収支が概ねゼロとなる住宅であること。
 

こどもみらい住宅支援とは

 

 
2つ目の補助制度は「こどもみらい住宅支援」です。
 
こどもみらい住宅支援とは、2022年度より開始された補助制度で、2050年目標のカーボンニュートラルの達成のため、子育て世代や若者夫婦が省エネ性能に優れた住宅の建築や購入するのを後押しする補助制度です。そのため、子育て世代や若者夫婦に対象を絞っていることから、例外を除き、利用できる年齢に制限がかかっています。
 
また、こどもみらい住宅支援は、2022年10月31日で終了の予定でしたが、2023年3月31日まで延長されました。
 
なお、こどもみらい住宅支援は地域型住宅グリーン化事業と同じく、補助対象者は、この制度に登録したこどもみらい住宅支援事業者となります。そのため、建物の施主や購入者などが補助金を受け取るためには、こどもみらい住宅支援事業者からの還元を受けることにより補助されるという仕組みになっています。
 

こどもみらい住宅支援の補助額

 
こどもみらい住宅支援の補助額は、次の表のとおりです。
 

注文住宅を建築する場合
新築住宅を購入する場合
ZEH住宅 100万円
高い省エネ性能等を有する住宅 80万円
一定の省エネ性能を有する住宅※ 60万円
リフォームをする場合 30万円~60万円

 
※2022年6月30日までに不動産売買契約を締結したものに限定
 
リフォームをする場合の補助金額は、次のように変動します。
 

子育て世帯または
若者夫婦世帯
既存住宅購入 1戸あたりの上限補助額
該当する 該当する 60万円
該当しない 45万円
該当しない
(一般世帯)
該当する
(安心R住宅に限る)
45万円
該当しない 30万円

 
※安心R住宅とは、国の登録を受けた事業者団体の会員企業の責任において、国が定めた要件に適合する旨を表示する住宅
引用:こどもみらい住宅支援「リフォーム・補助額・補助上限」
 

こどもみらい住宅支援の適用要件

 
こどもみらい住宅支援の適用要件は、注文住宅を建築する場合・新築住宅を購入する場合と、リフォーム工事をする場合とに大きく分かれるため、それぞれに分けて説明します。
 

注文住宅建築・新築住宅を購入する場合

 
注文住宅建築・新築住宅を購入する場合にこどもみらい住宅支援を受けるためには、制度を利用する人の要件と建物の要件の両方をクリアする必要があります。
 
まず、制度を利用する人の要件は、次のとおりです。
 
1.子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかであること
子育て世帯とは、申請の時点において2003年4月2日以降に生まれた子がいる世帯のことで、若者夫婦世帯とは、申請の時点において夫婦であり、夫婦のいずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯のことです。
 
2.こどもみらい住宅事業者と工事請負契約締結をして住宅を新築する人
こどもみらい住宅事業者は、建築主に代わり交付申請手続きを代行して、交付を受けた補助金を建築主に還元する者として、あらかじめこどもみらい住宅支援事業に登録をした住宅事業者のことです。
 
なお、新築住宅を購入する場合は、宅地建物取引業の免許を取得している業者から購入することが条件に追加されます。
 
次は建物に関しての適用要件を解説します。
 
・購入者が自らが居住する自宅であること
 居住しているかは、住民票における住所で確認します。
 
・土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に建物があること
 
・不動産売買契約締結時点において、未完成または完成から1年以内であり、人が一度も住んだことが ない住宅(注文住宅建築の場合は、未完成または完成から1年以内で、人が一度も住んだことがない住宅)この場合の完成とは、完了検査済証の発出日で確認します。
 
・住宅の床面積が50㎡以上であること
「床面積」とは、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算定します。なお、吹き抜け、バルコニーおよびメーターボックスは除き、階段下のトイレおよび収納等の面積を含みます。
 
・建築する建物は、次の表にある住宅と証明書などで証明できること
 

ZEH住宅 強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅
高い省エネ性能等を有する住宅 次の1~3のいずれかの性能を有する住宅
1.認定長期優良住宅
2.認定低炭素住宅
3.性能向上計画認定住宅
一定の省エネ性能を有する住宅※ 品確法に基づく日本住宅性能表示基準で定める断熱等性能等級4かつ一次エネルギー
消費量等級4の性能を有する住宅

 
※2022年6月30日までに不動産売買契約を締結したものに限定
 

リフォーム工事をする場合

 
リフォーム工事をし、こどもみらい住宅支援を受ける条件は、新築住宅建築・購入の場合と異なり、年齢制限がありません。
 
リフォーム工事し、こどもみらい住宅支援を受けるための、リフォーム工事をする人の適用要件は、次のとおりです。
 
1.こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事を行う
工事請負契約等が結ばれていない工事は、こどもみらい住宅支援の対象となりません。
 
2.リフォームする住宅の所有者等であること
所有者等とは、リフォーム住宅の所有者(法人を含む)およびその家族​、賃借人または管理組合・管理組合法人のいずれかに該当する人のことをいいます。
 
こどもみらい住宅支援の対象となるリフォーム工事は、次のとおりです。ただし、(4)~(8)については、(1)~(3)のいずれかと同時に行う場合のみ補助の対象となります。また、申請する補助額の合計が5万円未満のリフォーム工事は補助の対象になりません。
 

A (1)開口部の断熱改修 いずれか必須 補助額が
合計5万円
以上で
補助対象
(2)外壁、屋根・天井または床の断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置
B (4)子育て対応改修 Aと同時に行う
場合のみ補助対象
(5)耐震改修
(6)バリアフリー改修
(7)空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
(8)リフォーム瑕疵保険などへの加入

 

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業とは

 

 
3つ目の補助制度は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業」です。
 
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH住宅)支援事業(以下、ZEH支援事業)とは、2050年のカーボンニュートラルを実現するために省エネ性能が高い住宅の建設促進を図るための制度です。
 
ZEH住宅とは、太陽光蓄電池などで作り出したエネルギーと、省エネ性能を高めて削減したエネルギーを合計し、生活で使うエネルギーとの収支をゼロにするような省エネ性能を持った住宅のことです。
 
ZEH住宅は省エネ性能ごとに4種類に分かれます。
 

ZEH 高断熱、太陽光発電システム、省エネ設備を導入したエネルギー収支0の住宅
ZEH住宅には、次のような住宅も含まれます。
・Nearly ZEH(エネルギー75%以上削減できる住宅のことをいい寒冷地、低日射地域、多雪地域に限り認定されます)
・ZEH Oriented(都市部では太陽光発電の性能を発揮できないため、都市部に限りZEH基準を超える断熱性・省エネ性を備えていれば、太陽光発電や蓄電池が無くても認定されます)
ZEH+ ZEHの省エネ性能をさらに向上させ、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費
拡大設備などを導入した住宅
次世代ZEH+ ZEH+に蓄電システム、燃料電池などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備などを導入した
住宅
次世代HEMS 次世代ZEH+に、太陽光発電エネルギーの自家消費を拡大するために、AIやIoT技術などによる
最適制御を行う設備が整った住宅

 

ZEH支援事業の適用要件

 
ZEH支援事業の補助対象者は、新築住宅を建築する人や新築住宅を購入する人が対象です。
また、この住宅は自宅として利用することも条件となります。
 
ZEH支援事業の建物の条件は、前述した4種類のZEH住宅を建築または購入し、かつその住宅は、登録済のZEHビルダー・ZEHプランナーが建築や設計、販売している住宅であることが条件になります。
 

国の補助制度を利用するときの注意点

 

 
国の補助制度を利用する場合は、適用要件を満たしているのか確認することはもちろんのこと、他にも注意すべきポイントがあります。
 
注意すべきなのは、国の補助制度には予算があり利用できる期間が限られたり、期間内でも予算を使い果たしたときには打ち切られてしまったりすることがあります。そして、その期間内に建物の建築や、第三者評価機関の認定を受けるなどを行わないといけないことなどがあるため、制度利用のための行動を早めたり、スケジュール管理をしっかり行ったりする必要があります。
 
また、各制度の住宅性能については、建築会社などの専門家でなければ分からない基準が多いため、建築や購入する住宅が補助制度の適用条件を満たすのか、早めに確認するようにしましょう。
 

まとめ

 

 
日本政府は2050年のカーボンニュートラルを実現するために、さまざま住宅補助制度を設けています。また、住宅の建築費が年々増加してきているため、このような補助制度を利用して、住宅建築・購入の費用を抑えていくことが重要になります。
 
しかし、制度を利用するには、各制度に設けられた細かな適用条件を満たす必要があります。そのため、補助制度を利用することを検討している場合は、早めに不動産会社や建築会社のような専門家に相談することが、制度をスムーズに利用するコツです。

平野 直子

所属会社:
FPオフィスLife&Financial Clinic
所属会社のWEBSITE:
http://www.mylifeplan.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、宅地建物取引士、 貸金業務取扱主任者資格、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター2級
著書:
30代夫婦が働きながら4000万円の資産をつくる考え方・投資の仕方
All about:
「夫婦FP・平野泰嗣と直子が応援!ふたりで学ぶマネー術」担当ガイド

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