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家・住宅購入コラム

書面の電子化、押印の廃止

宅建業法上で義務付けられている重要事項説明時や契約締結時の書面交付については、電磁的方法による書面の交付を可能とすべく、賃貸取引については19年10月から、売買取引についても昨年3月から社会実験を開始すると共に、同年5月に改正宅建業法が成立・公布され、5月18日に施行されます。
昨年の宅建業法改正では、書面の電子化に加え、書面上、宅建士による押印を廃止しました。それまでは重要事項説明書と売買契約等における契約締結時の書面への宅建士の記名・押印、媒介契約書については事業者の記名・押印が必要となっており、いずれも書面での交付が業法上定められていましたが、重要事項説明書と契約締結時の書面については、宅建士の押印を廃止すると共に、いずれの書類も相手方の承諾を得た上で、電磁的方法での交付が解禁されました。
宅地建物取引事業者の押印が必要な媒介契約書については、文書作成者の申請性の担保や契約意思の確認、文書内容の申請性担保などに一定の役割を果たしているとみなされ、文書における書面への押印が残ったものの、電磁的方法で媒介契約書を交付する場合は、押印は不要となりました。
改正宅建業法の施行以降は、不動産取引時の各種書面が電磁的方法で交付できるようになり、契約者の希望によっては、不動産取引のすべての手続きを非対面・非接触で行うことが制度上、可能となります。
これによって、子供の進学時のアパート契約や空き家になった実家の処分といった、遠方の不動産における取引のための移動に要する費用や時間などの大幅なコスト軽減や、重要事項説明時のやりとりの録画・録音による取引時のトラブル防止、不動産事業者の業務効率化など、さまざまなメリットが見込まれています。
新型コロナウィルス拡大の影響などもきっかけとして、DXへの対応は一層加速するとともに、不動産業のベースとなる国民の住まい方・働き方についても、様々な変化が予測されます。
国交省は4月27日、「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」を公表しました。同マニュアルは、取り組みの経緯及び概要をはじめ、実施フローや具体的な要件など60ページで構成されています。また、参考資料として、書面の電磁公布およびIT重説実施におけるFAQ、これまでの社会実験結果も収録されています。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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