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家・住宅購入コラム

首都圏における22年の新築マンションPER

東京カンテイはこのほど、首都圏における22年の新築マンションPERをまとめました。これは新築価格(70㎡換算)が新築相当の賃料(同)の何年分に相当するかを算出し、マンションの収益力や賃料見合いでの買いやすさを表した指標。PERが低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、高ければ割高で買いにくいことを示します。今回は、賃料の上昇率よりも新築価格のそれのほうがおおきかったためPERが上昇し、割高感が強まったことが分かりました。
首都圏のPERは25.67(対象128駅)で、前年と比べて1.11ポイント上昇し、00年の調査開始から初めて25ポイントを上回りました。新築マンションの平均価格は8912万円(前年比13.8%増)、平均賃料は28万2417万円(同8.2%増)で共に大幅に上昇しましたが、価格の上昇率が大きく上回ったことで、回収に要する期間は前年比で1年以上も長期化する結果となりました。
同社によると、販売価格の水準が押しあがってきた中で、22年にはロシアによるウクライナ侵攻を契機とした物価高を受けてコストアップ分を価格に転嫁する動きが加速。それにより賃料見合いでの割高感が一段と強まりました。
PERが低かった(割安感が強かった)駅ランキングをみると、トップはJR京葉線の検見川浜でした。回収期間は首都圏平均と比べて10年も短い。同社では、検見川浜や海浜幕張、稲毛海岸といった臨海部では継続的にマンション開発が行われていますが、販売ターゲットには都心のほか千葉市など近郊域への通勤者も多く含まれるため、首都圏の中でも比較的安価に設定される傾向が強いといいます。
一方、PERが高かった(割高感が強かった)駅は、前年同様、東急東横線の自由ヶ丘でした。回収期間は首都圏平均と比べて20年近くも余計に掛かる計算です。要因は前年同様、新築物件と賃料事例が発生していた物件のスペックに大きな乖離があったため。新築物件は大手開発業者が手掛けた2物件で、いずれも徒歩2、3分の立地です。人気のある住宅地でもあり、平均価格は1億円を超えています。賃料事例が発生していたのは3物件で、駅まで徒歩8~18分と、いずれも新築物件と比べて駅遠に立地していました。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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