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家・住宅購入コラム

マンションストック長寿命化対策

国土交通省によると、日本国内の分譲マンションストックは約675万戸(20年末時点)に上ります。このうち旧耐震基準となる築40年以上は約103万戸を数え、今後10年ごとに倍増していく見込みです。適切な維持管理をはじめ、改修や建替えによるマンション再生の将来図について区分所有者や不動産事業者は意識を高め、具体的な選択肢を持つ時にいます。長寿命化改修を維持する国や事業者の動向をまとめました。

国土交通省が20年度から5年間にわたって取り組む「マンションストック長寿命化等モデル事業」。老朽化や管理組合の担い手不足が顕著な高経年マンションストックの再生を推進するため、再生の検討から長寿命化に寄与する改修や建替えに関してモデル的な取り組みを支援するものです。事業準備段階の「計画支援型」と実施段階の「工事支援型」(長寿命化改修工事、建替え工事)に分類。民間事業者などからの提案を受け、有識者による審査・採択を行います。
20年度(計3回実施)は、応募総数41件に対して採択は18件。内訳では、「計画支援型」は14件、工事支援型は「長寿命化改修」が3件、「建替え」が1件。提案者別に見ると、「計画支援型」はマンショック再生コンサルタントが11件で最多となり、以下、管理組合3件、設計事務所1件の順です。「長寿命化改修」は施工業者が3件で、応募があった設計事務所と管理組合の採択はゼロ。「建替え」は買取再販業者1件という構成です。具体的には、既存マンションの上部増築によるサービス付き高齢者向け住宅の導入に向けた検討(計画支援型)や災害時の停電に備えた防災・減災対策の改修工事(長寿命化改修)などが採択されました。
同省住宅局市街地建築課の担当者は、高級化対策の強化は急務とした上で、共用部分の改修の遅れや累計250件程にとどまる建替え実績の少なさを指摘。「これらに必要な解決手法や合意形成など先導的な取り組みを支援し、横展開したい」とし、現在、先導モデルの事例集の公開準備を進めます。
21年度は3回公募を実施し、2回目までに21件を採択。浸水対策や防災、敷地売却による建替え検討など新たな提案も増えています。年内の採択を目指す3回目では、公募段階から躯体の長寿命化や省エネ性能の向上、子育て・シニア世帯対応などを要件化し、今後の提案で期待するテーマを明確にしました。同モデル事業では21年度予算として前年度同様の17億円を計上しました。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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