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家・住宅購入コラム

22年度及び23年3月の建築着工統計調査報告

国土交通省は4月28日、22年度及び23年3月の建築着工統計調査報告を発表しました。22年度の新設住宅着工戸数は86万828戸(前年度比0.6%減)で、前年の増加から再び減少となりました。新設住宅着工床面積は6865万1000平米(同3.5%減)で、同じく前年の増加から減少に転じました。貸家、分譲住宅は共に2年連続で増加しましたが、持ち家が二桁減少に転じた為、直近10年間の総計は、新型コロナの感染が拡大した20年度に次ぐ低水準となりました。同省建設経済統計調査室は「着工戸数の減少幅に比べ、着工床面積の減少幅が大きいのは、平均床面積の狭い貸家が増え、同面積が広い持ち家の着工が減ったため」と説明します。

22年度の利用関係別戸数を見ると、持ち家は24万8132戸(前年度比11.8%減)で、前年の増加から再び減少しました。直近10年間では最低水準となり、単年度で25万戸を下回るのは直近10年間で初めてであり、実に1960年度以来といいます。また、貸家は34万7427戸(同5.0%増)で2年連続の増加となりました。同省住宅局によれば、駅前の好立地を所有する法人からの引き合いが堅調で、受注につながっている点を指摘します。
また、分譲住宅は25万9549戸(同4.5%増)で、2年連続で増加し、直近10年間でも上から3番目と比較的高い水準となりました。このうちマンションは11万3900戸(同10.8%増)で4年ぶりの増加、戸建ては14万4321戸(同0.1%増)で2年連続の増加となりました。
同省住宅局は、分譲マンションについては大規模案件の影響が出やすく、波があると指摘。戸建てについては一部事業者からの声を踏まえ、「下半期は土地の流通不足と、資材価格の高騰による顧客の消費マインド低下により、足元の販売が弱含みました。一方、上半期は販売の好調さが続いたため、22年度としては増加した」と説明しました。持ち家が二桁減少に転じた点については、「オミクロン株の流行による商談の遅れや住宅展示場への来場者数の減少、更にウクライナ情勢等に伴う資材価格の高騰により、顧客の消費マインドが低下し受注減につながった」(同省住宅局)との見方を示しました。

23年3月の新設住宅着工戸数は、前年同月比3.2%減の7万3693戸で、2ヶ月連続の減少となりました。新設住宅着工床面積は556万8000平米(前年同月比6.5%減)で、2ヶ月連続の減少。季節調整済年率換算値は87万7000戸(前月比2.0%増)で、前月の減少から再びの増加となりました。
戸数の内訳を見ると、持ち家は1万7484戸(前年同月比13.6%減)で、16ヶ月連続の減少となりました。貸家は3万2585戸(同0.9%増)で25ヶ月連続の増加となりましたが、増加幅が一服しています。更に、分譲住宅は2万3053戸(同0.4%減)で2ヶ月連続の減少となり、このうちマンションは1万1378戸(同7.2%増)で4ヶ月連続の増加。戸建ては1万1583戸(同6.9%減)で、5ヶ月連続の減少となりました。
同統計調査室によれば、持ち家が3月に2万戸を下回るのは直近10年間で初めて。加えて、持ち家の減少と貸家の増加というトレンドについて、3月分では持ち家の減少幅が二桁に拡大したこと、貸家の増加幅が1%を割り込んだ点を指摘し、今後の注視が必要としました。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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