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家・住宅購入コラム

23年度与党税制改正大綱

12月16日、23年度の与党税制改正大綱が決定しました。「NISA」の抜本的拡充・恒久化やスタートアップ・エコシステムの抜本的強化をはじめ、焦点だった防衛費増額の財源は法人、所得、たばこの3税を増税する方針を示しました。国土交通省関係ではマンションの大規模修繕工事に係る特例創設をはじめ、空き家や低未利用地に関する特例措置の拡充・延長などが盛り込まれました。
国交省が目玉に掲げた「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の創設」は、2年間(23年4月~25年3月末)の特例措置が決まりました。高経年マンションにおいて安全上および居住機能上必要な改修の実施の必要性を踏まえたもので、管理組合の合意形成を後押しする狙いです。
管理計画認定マンションその他の一定の要件を満たすマンションで、必要な修繕積立金を確保し、長寿命化に寄与する大規模修繕工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額を減額します。減額割合は「6分の1」~「2分の1」の範囲内(参酌基準:3分の1)で、市町村の条例で定めます。業界団体からは不動産協会や不動産流通経営協会、全国住宅産業協会が創設を要望。検討過程の自民党税制調査会「マルバツ審議」では「×」とされていましたが、委員からの意見を受け、検討を示す「△」に修正された経緯があります。なお、対象要件として「築後20年以上経過している10戸以上のマンション」「長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施」などが加えられました。
マンション対策と並ぶ重点項目の空き家対策も順当に盛り込まれました。「空き家の発生を抑制するための特例措置」は、被相続人が住んでいた家屋とその敷地を相続した相続人が、当該家屋または除却後の土地を譲渡した場合に譲渡所得から3000万円を特別控除するもの。空き家の早期有効活用に寄与する手法として年間1万件程度の利用実績を持つが、現行措置を4年間延長(24年1月~27年12月末)する。更に、適用対象として「売買契約等に基づき、飼い主が譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修または除却の工事を行った場合、工事の実施が譲渡後であっても認める」とします。

「低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置(100万円控除)についても、拡充および3年間の延長となりました。これは低額な不動産取引に伴う売却時の負担感を軽減すると共に、新たな利用意向を示す新所有者への譲渡を促進するため、長期譲渡所得から100万円を控除するもの。現行では500万円以下とされる譲渡価格の要件について、所有者不明土地対策計画を策定した自治体の都市計画区域内に所在する土地など要件を満たした場合、上限を800万円に引き上げるものとしました。
土地の所有権移転登記等に係る特例や長期保有土地等に係る事業用資産の買い替え特例などの延長要望も盛り込まれました。買取再販で扱われる住宅取得等に係る特例も現行措置を2年間延長します。

徳本 友一郎

所属会社:
株式会社スタイルシステム
所属会社のWEBSITE:
http://www.style-system.net
保有資格:
CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、 宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
著書:
初めての不動産購入で失敗しない17のチェックポイント

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